先日、ロールキャベツを作って焦がした。どうにか修復して(?)、食卓に出したところ、つれあいから「これ、できあい?」と尋ねられた(詳しくは、11月13日のダイアリー参照のこと)。
そして、これはどういう意味なのか?と漠然と思っていた。
……んで、この本を読んで、ふと思い当たった。
……「調味料(アミノ酸等)」!!
……これだ。これに違いない。できあい?という質問のわけは。。。
「できあい=化学調味料の味だったのではないか?」そう思うと合点がいく。
そして、修復に使った「デミグラスソースルウ」がまさにこれだ!缶の後ろにきちんと表示してある。原材料名に。
じゃあ、「調味料(アミノ酸等)」ってなに?
これは、実は添加物の「一括表示」。つまり、いくつかの添加物を一括して表示すること。「香料」や「乳化剤」など、同じ目的のために使われるのであれば、一括して表示していいと食品衛生法で定められているのだとか。
そして、その実態はー。
著者によると<「調味料(アミノ酸等)」も「等」を隠れ蓑として、実際にはどれだけの種類が入っているかわかりません。「グルタミン酸ナトリウム(化学調味料)」「DL-アラニン」「グリシン」などのアミノ酸系はもちろん、アミノ酸系以外の「核酸」なども「等」に入るのでOK。何種類入れてもいいので、加工する側としては非常に便利です。>とある。
そもそも「調味料」の目的は「うまみをつけるもの」で、その実は例として「5‘_リボヌクレオチドナトリウム」「コハク酸二ソーダ」などがあるのだとか(同書の一括表示の例の頁より)。
しかも、この缶には「香料」とも表記してある。これの実態例は、「イソ吉草酸エチル」「ギ酸イソアミル」など天然系約600品目。合成96品目だそうである(同上)。
なにやら、カタカナの添加物名が羅列され、それが身体にいいものではないというイメージはいだく。しかし、その実はどうなっているのか?
……前置きが長くなったが、この本は「食品添加物」について書かれた本である。著者は「食品添加物の専門商社」に勤めていて、それを売り歩く有能なセールスマンだった。「添加物」を使うことの有用性を手作りの職人さん等に説き、量産体制をとらせる仕掛けを作ってきた人。
……そんな人が、なぜこんな「食品添加物の裏側」ともいえる本を出したのか?
それは、自分が開発した<ドロドロのくず肉に添加物をじゃぶじゃぶ投入してつくったミートボールを、わが子が大喜びで食べていたという現実>を目の当たりにして。(たまたま早く帰宅したときにその光景を見たというのである)。
<「ポリリン酸ナトリウム」「グリセリン脂肪酸エステル」「リン酸カルシウム」「赤色3号」「赤色102号」「ソルビン酸」「カラメル色素」……。それらを愛する子どもたちが平気で摂取していたという現実>をつきつけられて変わったそうなのである。
それまで、このミートボールが自分にとって誇りにさえ思っていた(これのおかげで、このミートボールの会社は大きなビルが建ったとか)。しかし、「子どもにこれを食べさせたくない」と切に願った。自分のやってきた仕事に疑問を持ちとうとう会社をやめてしまった。こういう経緯からこの本が出版されたということだ。
著者の生き方についてここではふれないが、「食品添加物」の「情報公開」という点で見ていけば、本書は非常にわかりやすく、手作り料理をしていると思っている家庭でさえも、「添加物」を一日に何十種類も摂取しているのだという現実を知ることができる。
また、安いものの裏には、かならずその理由があるのだということも。
例えば、こんなことが書いてあった。
「コーヒーフレッシュ」。テイクアウトのできるカフェではとり放題。なぜそんなことができるのか?
……それは、「コーヒー用ミルク小容器」を言い換えれば<植物油に水を混ぜ、添加物で白く濁らせ、ミルク風に仕立てたもの>なのであり、それは「牛乳」や「生クリーム」を使用していないため。それは、袋の「裏」を見ればわかるとかー。
<「植物性油脂、乳化剤、増粘多糖類、PH調整剤、着色料、香料」>と表示されているとのこと。(容器や包装が小さい場合(30c㎡以下)は表示しなくていいと、食品衛生法で定められているので、1パックずつには表示されていない)。しかも「乳化剤」(水と油を均一に乳化させる)も「増粘多糖類」も一括表示だという。
他にも「明太子」「漬物」「練り物、ハム・ソーセージ」を作る際の添加物の使われ方、添加物からみた調味料の値段の違いなどを知ることができた。
また、「たんぱく加水分解物」(うまみのベース)と「ブドウ糖果糖液糖」を子どもに与えて欲しくない。これを与えることにより、子どもの味覚が壊れていくという話など冷や汗たらーりの箇所がたくさんあった。
食品添加物。どうしても「悪」のイメージがつきまとう。しかし、これがなければ「おまんじゅう」も「とうふ」も食べられない。忙しいとき、疲れたときにできあいのお惣菜もお弁当も買えない。多々「恩恵」がある。その恩恵に感謝しつつも、だからこそ「悪」の部分をきちんと知ることがとても大切なことだと実感した。
どんな食品にどのようにそれらが使われているのか。それを知った上で、店頭にある商品を買うかどうか決める。その選択権は、常に自分の側にあるということを思った。