どうも自分は、偏った読書をしてきたらしい。。。と気づいたのはブログに読書の記録を書き始め、他の方のブログを読むようになってからだ(汗)。
そして、偏ったという内容はここで挙げればキリがないのだが(笑)、そのひとつに本書のような異国の世界を描いた物語を読んでいない。。。ということが挙げられる。『小公女』『若草物語』『秘密の花園』『赤毛のアン』『あしながおじさん』などなど古典的なものはひと通り読んでいるのだが。。。
……なぜだろう?
と思っていたのだが、思い当たることがひとつあった。
……自分の家にこの本がなかった……という単純な理由かもしれない(笑)。
小学生の頃に借りる本はだいたい決まっていたし(江戸川乱歩)、あとは主に家にある『少年少女 世界の文学(全集)』(小学館)を好き勝手に読んでいただけだった。
……というわけで、いまさら児童文学ー!?とは思うのだが(実は児童文学はキライではないし実際のところ読んでいる。笑)、やはり知らないというのも悔しいので手にとってみた(笑)。。。それに読書通の友人に第1巻、2巻まではぜったいおすすめというお言葉もいただいたので。
……いやあ。よかった!実によかった!
こころが解放される。違う世界を生きられる!
それもそのはず。本書の舞台は100年以上も前のアメリカ!。
目の前にクマ、ウシ、ブタが生き生きと動き出し、ローラ(5歳~6歳)といっしょに泣いたり笑ったりおいしい食事を食べたりできる。お母さんのお手伝いも楽しい!お父さんの仕事をみたり話をきくのもわくわくする。
仕事の内容も実に多彩。なんたって自給自足の生活なのだ!
乳搾り、チーズ作り、帽子づくり、カボチャ、トウモロコシ、豆などの料理、ケーキ、パイ、クッキー、はちみつ、キャベツと肉の煮込みなどぜいたくなものはひとつもないのだが、手をかけてていねいに生活を営んでいることが分かる。
いちばん印象に残ったのは、ローラの<はじめて>の経験が生き生きと描かれていることだ。
はじめて……憧れの人形をもらったこと。それまではなんと、トウモロコシの芯をハンカチで包んで人形を見立ててお世話していたのだ!
はじめて……町というものを見、お店というものに行ってみたこと!
はじめて……「あら男」(ジョージおじさん)というものを見たこと!
はじめて……姉と比べて自分というものを見つめたこと。
はじめて……お父さんの言ったことに疑問をもったことなどなど。。。
本書は著者の経験をもとに書かれているということをかんがみると、ローラが記憶しているすべてのことは、著者にとってなんらかの生き生きとした感情を抱いたということだと思う。うれしいこと、悲しいこと、楽しかったこと、つらかったこと。季節が変わるたびに経験がふえ、そのたびにどんどんローラの世界が広がって行く。それを読者は追体験できる。
お父さんもお母さんもいっしょうけんめいに働き、愛情をもって子どもをしつけ育てる。このお母さんができている人で、子どもが失敗しても感情的に怒ることをしない。危険なことにさらされても子どもを守ることを第一義に毅然としている。お父さんはユーモアがあり子ども好き。そして約束を守ることをしっかり教える。スズメバチにさされた子に安易に同情せず、世のなかの厳しさを教える(まだ、その意味が子どもに理解されないとしても)。
また挿絵がすばらしく、たのしそうに遊ぶ子どもの表情(実に雪遊びの楽しそうなこと!)、ローラの涙をながした悲しそうな顔、お父さんのバイオリンを弾く姿にひきこまれる姉妹の表情など。白黒なのだがどれも文章のイメージを引き出しその世界をより鮮明にイメージさせてくれる。
大きな森のなかでの小さな家のなかの一家族の日常。いわゆる北アメリカの開拓生活が描かれている。実際とっても厳しかったのだろうが、その語りは(ローラの目を通してのものなので)案外淡々としていて中身はとっても豊か。大人の自分が読んでもとっても楽しめる本だった。まだシリーズであるそうなので、続けて読んでみたい。