金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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バフェット、慈善活動にも効率性重視

2006年06月27日 | うんちく・小ネタ

昨日日本の新聞で、世界第2番目の富豪ウォーレン・バフェット氏がビル・ゲイツ財団に300億ドル以上の寄付を行なうという記事を読んだ。この記事を読んで色々なことを思ったが、その中の一つは「どうしてバフェット氏は巨額の資産をゲイツ財団い託すことにしたのか?」というもだった。それについて今日ウオール・ストリート・ジャーナルを読むと答が出ていた。

要は拠出資金の運用効率なのである。一つは資金規模である。ゲイツ財団自体すでに300億ドル近い資産規模であるが、そこに巨額の資金を追加することで慈善事業の規模を拡大することができる。もう一つはビル・ゲイツ氏がまもなくマイクロソフトの経営から退き、財団の事業に専念する。ビル・ゲイツ氏の慈善事業に関する関心と知識のレベルはきわめて高い。従ってバフェット氏は「慈善事業の専門家としてのゲイツ氏」に彼の資産を委託したことになる。いかにも全米の投資家から資金を預かり、バークシャー・ハザウェイ社という投資会社を経営し、成功を収めたバフェット氏らしい合理的な考え方である。

ところで明治のクリスチャン内村鑑三氏は人の生きる目的について次のようなことを述べている。

「事業を残せ。事業は人を養うことができる」「それができないなら金を残せ。金もまた人を養うことができる」「それもできないなら爽やかな人生を残せ」

ウオーレン・バフェット氏について毀誉褒貶なきにしもあらずだろうが、少なくとも事業と金を残すことはできた。もっとも過去形で書いては失礼だ。彼は75歳の今も赤身の肉とジャガイモを食べ、それを相殺するために週3回個人トレーナー付でジムで運動しすこぶる健康だそうだ。

彼は又子供にあまり多くの遺産は残さないという。「遺産は子供のモチベーションを奪い取りスポイルする」というのが、バフェット氏の主張だ。

バフェット氏の今回の話から学ぶべきことは、慈善活動も効率性が極めて大切だということと中途半端な知識や覚悟でクリティカルな慈善活動は出来ないということだ。暇になったらボランティア活動でもしようということでは駄目だということなのだろう。

日本では少し前六本木ヒルズ族の活躍が多少のやっかみを含みつつ、持てはやされた。マスコミは彼等の金の稼ぎ振りを喧伝していたのだ。だが本当に重要なことはどれだけお金を稼ぐではなく、稼いだお金をどう使うか?ということだ。バフェット氏やゲイツ氏の行動はその事を教えてくれる。アメリカはフトコロの深い国である。

コメント
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