金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

6月、相場は好転するか?

2006年06月01日 | 株式

昨日(5月31日)、東証では日経平均株価が392円マイナスと大幅続落した。しかし同日ニューヨークでダウ平均は73.88ドルアップと反発した。これは昨日発表された連銀の5月の議事録から市場が利上げは最終コーナーに来ていると判断したことによる。またライス国務長官がイランとの直接交渉の可能性を示唆したこともプラスに作用した。以上もようなことから、米国ではブルーな5月は最後に相場の反発を見て終わったが、この良いセンチメントは持続するだろうか?その判断の前にウオール・ストリート・ジャーナルの記事のポイントを見てみよう。

  • 5月にダウは198.83ポイント(1.7%)下落した。これは2005年6月以来最大の下落。またS&P500は5月に3.1%下落した。これは5月のパフォーマンスとしては、1984年以降最悪のパフォーマンスである。
  • 世界の株式市場は5月10日の連銀ミーティングの後、欧州・日本の中央銀行が引締政策に動き、世界景気のスローダウンの引き金を引くという懸念から大幅に下落した。
  • 5月の連銀の議事録は、連銀がインフレと景気減速双方に懸念を持っていることを示している。EKNのハイマン氏は「利上は最終局面に来ている」「6月後半に連銀はもう一度金利を引き上げ、5.25%にするだろうが、それが打ち止めになる」と予想するが、今週金曜日の雇用統計次第では6月の金利引き上げが中止になる可能性を否定しない。
  • ライス長官はもしイランが核濃縮等を見合わせるなら、1979年以来途絶えている米国・イランの直接交渉を行なうかもしれないと述べた。これを受けてクルドオイルは74セント下落して71.29ドル(バレル当たり)となった。金もまた11.50ドル下落。米国とイランの外交交渉再開は総てのマーケットにプラスだが、原油価格は弱含む。もっともイランがブッシュ政権の要求に応えるかどうか分からない。

ここで敢えて大胆な予想をすれば、米国金利はそろそろ天井に来たと私は考える。その理由はこうだ。

今年は米国の中間選挙の年であるが、米国の消費者の最大関心事はガソリン価格とモーゲージ金利である。つまりガソリン価格や住宅ローン金利が上昇する傾向であれば選挙に勝てない。そこでブッシュ政権としては金利引き上げの打ち止め感とガソリン価格の安定感を出したい。一方金利引き上げがないと米ドルが下落するリスクがあるが、これについてはドル高支持者のポールソン氏を財務長官に据えてドル価値維持の姿勢を示した。またイランとの対話を模索して、原油価格の安定を図るというものだ。

この推論が正しいとすれば、金利引き上げ打ち止め・原油価格の安定から株式市場は上昇に転じるということになる。

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