佐藤直曉の「リーダーの人間行動学」 blog

リーダー育成のための人間行動と人間心理の解説、組織行動に関するトピック

リーダー感覚58――ゆで蛙の危機

2007-03-29 11:21:28 | リーダー感覚
三洋電機の事業分離がいよいよ始まりそうです。こうなりそうなことは、野中ともよ会長が就任したときから、予感させられておりました。いずれ金融機関による管理体制になるだろうと、たいていの人は思ったのではないでしょうか。


◆三洋電機
今朝の日経新聞に三洋の事業構成が出ておりましたが、それを見ると想像していたほど悪い会社ではない感じがします。




充電池は世界一だし、空調などもかなりいいようではありませんか。これからの成長商品と思われる太陽電池だって世界シェア4位だというんですから。

これくらいだったら、もっとひどい会社はいっぱいあるでしょう。ふつうに経営していれば、金融機関に事業分離を宣告されるような会社ではないと思うのです。

金融機関は不採算事業をすぐ分離するように言いますね。将来の芽まで分離するように言わなければいいのですが。

金融機関ではありませんが、社長が金融畑出身だと、将来の有望技術がよくわからないため、そういう芽を摘み取ってしまう可能性が時々あります。

それによって、一時的に財務数字は見かけ上よくなりますが、長期的な成長性を奪われることは、しばしば見受けられるところです。アメリカの会社にはそういうところがよくあります。コダックなんかもそういうことで、随分苦しんでいるようです。

しかし、この段階になっては、三洋側としても、金融機関にものを言うことは難しい状況なんでしょうね。ここまできてしまっては…。

三洋電機といい、日本ビクターといい、ちょっと前までは優良会社として知られていた会社が、今ではガタピシ言うのですから、企業経営の怖さをあらためて感じさせられます。

特に電機業界というのは製品開発が日進月歩で、しかも競争が世界規模ですから、たいへんなことなのでしょうね。

私の友人にもそういう会社に勤めている人がおりますが、苦労されていると思います。がんばってほしいものです。


◆過去のしがらみ
 結局、過去のしがらみがあって、なかなか決断できなかったのでしょう。また、過去の成功体験が、解決を用意にしないこともよくあります。
 
 日産もゴーン社長になって、スパッと手を打てた。打つ手は社員はよくわかっていたと思います。ただ、決断できなかった。いろいろなしがらみがあったのでしょう。外人社長にはそういうものがないから、スパッとできた。
 
 今朝の日経新聞には、三洋電機の記事の隣に、プロ野球がドラフトの「希望枠撤廃を今秋から行う」とあります。
 
 つい一週間前に来秋から撤廃すると決めていたのを、アマ球界や世論の反発を受けて、急遽方針を変更したようです。
 
 反対をしていたのは、例によって巨人球団だったそうです。まったく見通しのきかないというか、過去のしがらみにとりつかれた球団ですねえ。
 
 時代が変わっていると気がつかないか、気がついてもなかなか新しい行動形式を獲得できていない、化石のような球団になってしまいました。こんなことでは、球界のなかでの地位もどんどん地盤沈下していくでしょう。こういう会社が危ないのですよ。

 
◆「ゆで蛙の危機」のたとえをご存知ですか? 
 蛙が、水の入った鍋に入れられて火にかけられる。最初蛙は自分の置かれている状況がよくわからなくて、温度の変化も穏やかなため逃げ出そうともしない。
 
 だんだん湯が温かくなるが、温いから出るに出れない。そのうちちょうどよい湯加減になって、「これはいいや」。
 
 ところが、そうこうしているうちに、お湯の温度が一気に高くなり、蛙は鍋から出るきっかけを失い、ついにはゆであがって死んでしまうという話である。
 
 問題意識はあっても、改善策や、行動プランがなかなかたたず、そうこうしているうちに、危機状況に陥っていく「ゆで蛙」になって、最後は手遅れ。
 
 これが「ゆで蛙の危機」です。人のことはともかく、ご自分だけはそうならないように気をつけることです。


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