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「さとかず」の読書のススメ

シンガポールから送る独断的な読書録
(基本ルールとして、単行本は出版社名、文庫本は文庫シリーズ名を記載)

昨日読了、「五衰の人 徳岡孝夫」

2006-07-17 08:39:12 | 歴史・戦争
なかなか興味が尽きない1冊でした。

昨日読了
「五衰の人 三島由紀夫私記 徳岡孝夫 文春文庫」

この本を魅力的な1冊にしているのは明らかに著者の三島由紀夫に対する心情的シンパシーが文章の中に読み取れるからでもあるのかな、と思えます。人が輝くばかりの才能に恵まれた1人の人間に偶然出会うことの僥倖と戸惑い。はたして自分自身にこのような機会が生じた時に、同じ態度が取れるのか・・・・・・。

オススメの1冊です。

ただし三島由紀夫の本をせめて1冊読んで手に取ることを。できれば「豊饒の海」全4冊を読んで手に取ると言うことなし。
私の場合、3日で4冊読んだのは11~12年前のことでした。

昨日読了、「サンダカンの墓 山崎朋子」

2006-07-14 07:45:31 | 歴史・戦争
昨日読了
「サンダカンの墓 山崎朋子 文春文庫」

本の内容は一読の価値あるとは思いますが、書かれた時代がそうなのか、ご本人がそういう人なのか。作者の筆に関してちょっと引っかかるものがあります。過剰な感情移入とその表現をマルクスの唯物論的思想なども持ってきたりもして書かれると、ちょっと・・・・・・です。

作者に対し生理的嫌悪感をいだく1冊でもあります。

7月8日(シンガポールタイム)読了、「20世紀特派員1 産経新聞」

2006-07-09 00:58:04 | 歴史・戦争
7月8日(シンガポールタイム)読了

「20世紀特派員1 産経新聞 扶桑社文庫」

四章あるこの本は
1、ロシア革命とソ連
ソ連の設立から解体について
2、太平洋序曲
戦前の日本の世界舞台への進出
3、隣国への足跡
日本と朝鮮半島
4、アメリカとその「敵」
戦時期における日本人、日系人の苦闘と米国政府。米国政府の共産主義への対応の歴史(主に戦中、戦後の冷戦下において)

簡単にあげるとこのような項目につき各記者が文章を書いています。
簡単な注がついており、読みやすいこの本はなかなか楽しめました。

ちょっと厚い本なので、寝室において寝る前に少しずつ読んでいました。
この手の本はいっぺんに読むと辛いので。

「20世紀特派員2」も読了済み。

昨日読了、「20世紀特派員2 産経新聞社」

2006-06-26 08:03:58 | 歴史・戦争
週末は久しぶりに読書三昧でした。

昨日読了
「20世紀特派員2 産経新聞社 扶桑社文庫」

産経新聞の記者が新聞の特集として書いた記事を本にまとめたもの。

1と2を持っていますが、2の方を先に読了。
第一章、シャネルについて
第2章、ヒトラーについて
第3章、スカルノとスハルトについて
97年時点の記事なので、第3章はスハルトの零落前の段階で終わっています。

なかなか面白く読めました。シャネルなどはあまり興味がないので、読むのにつらいかなとも思えましたが、反して一挙に読むきりました。
ただ、やはり面白かったのは第2章と第3章。
悪いのははたしてすべてナチなのか?と以前から思っている私ですが、書かれる大衆と言う概念を持ち出してみると興味深いものです。時の指導者を選ぶのは大衆であって(それが小泉現首相であっても、小泉劇場と呼ばれるマスコミの使い方がヒトラーに似ていること)、その責は・・・・・・。ヒステリックにならずに時の指導者を選びたいものです。
スカルノからスハルトへと権力が移行する時のスカルノの判断ミス。そしてスハルトのその後を考えると権力者の身の引き方の難しさを感じます。特に独裁状態になるとそれは困難を極めるのでしょう。

新聞に連載されただけに読みやすい本です。ただ概説のひとつにすぎないことを注意して読むこと。

昨日読了、「日中十五年戦争史 大杉一雄」

2006-06-20 08:04:20 | 歴史・戦争
昨日読了
「日中十五年戦争史 なぜ戦争は長期化したか 大杉一雄 中公新書」

米国との戦争に繋がる中国との戦争への初頭までを纏めた本の1冊。
満州事変の企画者であるが為に、陸軍を抑え切れなかった参謀本部時代の石原莞爾(この後急速に力を失う。戦後病死)と何もしなかったと酷評される外務大臣の広田弘毅(戦後A級戦犯として絞首刑)、対応を誤った近衛文麿(戦後戦犯として拘束される前に自殺)など。

泥沼の日中戦争は外交努力によって防げた点がいくつかあった、とする著者の書に胆力がなかった当時の政治家の責任を強く感じます。統帥部の独立は当時の政治制度でも内閣(政府)サイドに抑えうるものであったとする著者の視点を興味深く読めました。

あとがきで書かれてある米国との戦争が起こらず、負けずに時代が移行すれば、どうなるかの著者の見解に頷けます。あまりにも米国との戦争にて失われたものは多いのだから。

なかなか面白い1冊でした。

本日読了、「マクナマラ回顧録 ロバート・S・マクナマラ」

2006-05-02 21:17:04 | 歴史・戦争
ベトナム戦争の主役の一人、マクナマラ元国防長官の回顧録を本日読み終えました。

「マクナマラ回顧録 ベトナムの悲劇と教訓 ロバート・S・マクナマラ 共同通信社」

数年前にあったマクナマラのインタビュー映画(見たかったのですが、日本帰国時に上手く時間を作れず、見に行けませんでした)も見てみたい気がします。

この本は米国でもかなり反響を生み出した一冊とは知っていましたが、何となく持っているだけの1冊でした。

読むとまるで米国がベトナム戦争へと進む道は戦前の日本が中国戦線、そして米国との戦争(真珠湾)への道に似通っているところも多く見られるのでは?と思えます。国の指導者達の見解の不一致、戦争当初のマスコミと国民の態度、政策の根拠のない楽観的な見通し、一般に明らかにされなかっ思わしくない不利な状況など。数えればきりがないようです。
また、奇しくも同じようにベトナムが絡んでくるとは(日本の南ベトナム侵攻が米国との戦争を決定的にしたとの説あり)。

しかし、95年に書かれたこの本、ベトナムの失敗をどう活かすか?マクナマラの提言に照らし合わせ、ブッシュ・ジュニアの始めた戦争を考えてみると興味深いものです。

オススメの1冊です。


後ろに載っている登場人物の略歴を読むと、ちょとは読みやすいかもしれません。

本日読了、「ストックホルムの密使 上 佐々木譲」

2006-04-05 08:39:17 | 歴史・戦争
歴史小説でも太平洋戦争ものを好んで読む私です。

本日読了
「ストックホルムの密使 上 佐々木譲 新潮文庫」

佐々木譲の戦争ものシリーズは登場人物が重なっているので、一気に読むのが読むのが良いのかもしれません。

この手の小説はある程度歴史的なものを知識として得てから読まないと、史実とは何かを見失い可能性があるので注意が必要です。

この上巻は数年前にタイの古本屋で50バーツで買ったもの。さて下巻をどうするか?シンガポールのとある古本屋で見かけたのですが、上下セットでしか販売しないとのこと。

ん~、悩みます。

本日読了、「シンガポールのユニオンジャック 遠藤雅子」

2006-04-02 18:39:08 | 歴史・戦争
本としては緻密さに欠ける点があり、書かれていることもどう捉えるかは読者の知識などにもよるといえる本のひとつ。

本日読了
「シンガポールのユニオンジャック 遠藤雅子 集英社」

簡単に書かれてあることも?なことが多い中、著者しか知りえない内容にどれだけご自身が吟味をされたのかが、不安。

軽く読むに限る。私は海外の古本屋で数年前に買ったので、180タイバーツでしたが、定価を見ると1800円。果たしてそれだけの価値がこの本にあるか?疑問。

著者は歴史を語るには稚拙すぎる面が否めません。

本日購入、「THE SYONAN YEARS LEE GEOK BOI」

2006-03-11 21:33:34 | 歴史・戦争
本日は朝歩いて20分程度の「旧フォード工場跡」に行きました。
日本陸軍がシンガポールを攻略した1942年2月15日の「イエスかノーか」の舞台となったところです。

今年、2月に歴史記念館として生まれ変わりました。

「THE SYONAN YEARS:SINGAPORE UNDER JAPANESE RULE 1942-1945 LEE GEOK BOI NATIONAL ARCHIVES OF SINGAPORE ABD EPIGRAM PTE LTD」
価格39.90シンガポールドル

なかなか興味深い本のようです。時間をみてちらちらと読んでみます。

近々、私のシンガポール写真ブログの方に写真などをアップします。

註)昭南島とはシンガポールのこと。

写真で見る二二六事件の虐殺状態

2006-02-26 23:59:23 | 歴史・戦争
70周年になる二二六事件。
雑誌週間文春に今まで公開されていなかった二二六事件の虐殺写真が掲載されています。むごたらしい写真、やはりこれにて当時の政治家は口を噤んでしまったのでしょうか。木戸元内大臣がそのことを述べているらいしいのですが、関係本未読。

戦前の日本の政治的転換のポイントの大きなひとつがこれであったことは疑うことのできない事実。当時の侍従長鈴木貫太郎が生きていたのは不幸中の幸いと後にわかるのは歴史の不思議なところ。また、当時の首相岡田啓介の代わりに殺された松尾大佐は瀬島龍三の義父。

週間文春3月2日号

昨日購入、「Singapore’s Best Restaurants 2006」

2006-02-11 21:13:12 | 歴史・戦争
シンガポールも住んで数年経つと決まったレストラン以外へのチェレンジをしなくなるものです。昨日は新規開拓への意思を強くし、ではと一冊購入。

「Singapore’s Best Restaurants 2006 Singapore Tatler」

あれ~っと思う評価があり、笑えます。よく綺麗にとったなと思える写真があり、参考にもなります。

兎にも角にも、新しいお店ができては消えるここシンガポール。なかなか飲食店業界には厳しい面もあるのでは?と色々とお店を思い浮かべては・・・・・・。

本日読了、「朝鮮戦争 萩原遼」

2006-01-23 11:00:11 | 歴史・戦争
深夜に読了。

「朝鮮戦争 金日成とマッカーサーの陰謀 萩原遼 文春文庫」

1950年6月25日に戦火がひらかれたこの戦争準備を北側がどう周到にし、またそれを利用したアメリカ合衆国(このところは簡単にしか触れられていませんが、日本が真珠湾を仕掛けた時も幾分この要素があったのでしょう)。

なかなか読み応えのある本でしたが、朝鮮半島の地図を眺めながら読む必要があるようです。再読に耐えうる本としていつかまた読んでみたいと思います(今回は地図を準備していなかったので、次回は地図を片手に)。

後書きで書かれてあるように、何故か韓国のジャーナリストや学者がアメリカ合衆国にある膨大な資料を読み、歴史の検証をするまえに、日本人がその作業をし、この本を出したということが皮肉です。
やはり、韓国という国では歴史の検証という作業が遅れているのでしょうか?これは国民性によるものか・・・・・・。

萩原遼、また次の本を読んでみたいと考えております。
*個人的には「北朝鮮に消えた友と私の物語」の方が本が手放せないできです。「朝鮮戦争」は研究書の類と思えます。

昨日購入、「朝鮮戦争 萩原遼」

2006-01-18 08:57:50 | 歴史・戦争
昨日は仕事の合間に日本の本を置いてある古本屋に行き、一冊購入。

購入本
「朝鮮戦争 金日成とマッカーサーの陰謀 萩原遼 文春文庫」

現在、朝鮮半島を巡る問題の発生は日本の敗戦後の半島におけるソ連とアメリカ合衆国の駆け引き。買いたいと思っていた本の1冊です。

価格:4シンガポールドル(約260円)

本日読了、「フーコン戦記 古山高麗雄」

2006-01-10 18:26:51 | 歴史・戦争
ここ数日雨が続く雨季のシンガポール。戦争中の熱帯の兵が雨季の中で辿った敗残路はこの世の地獄。

「フーコン戦記 古山高麗雄 文芸春秋社」

ビルマ(ミャンマー)北部のフーコン谷地で行われた軍の展開を菊兵団(第18師団)55連隊、56連隊を中心に描く本。小説として淡々と続く物語は、ひとりの老人の遠い記憶を辿ることでフーコンで行われた戦闘を浮かび上がらせてくれます。

熱帯に住み、自然公園などを歩く機会があると想像しますが、恐怖を感じながら道なき道を歩き、そして倒れていく人たち、それがこの熱くうっそうとしたジャングルの中で繰り広げられたというのは、陰惨な風景だったのでしょう。

主人公は傷痍軍人として、戦後を生きるのですが、そういえば親戚に戦争で片足になった人がいたことを思い出しました。

本日読了、「マレー捕虜記 本田忠尚」

2006-01-08 13:27:40 | 歴史・戦争
シベリアの抑留、強制労働話はよく知られていますが、南方にてもこの暑さの中、捕虜がどう扱われたかを伝えるべく、残された本。

「マレー捕虜記 本田忠尚 図書出版社」

会田雄次著「アーロン収容所 中公文庫」(読了済)も合わせて読むことを勧めます。
戦後の抑留というものは、ある面復讐的要素もありえるのでしょう。また、戦後のイギリス本国の国力の低下も捕虜の扱いに深く関係することであったでしょう。アメリカ合衆国がある面寛容であったのは、国力の違いであったのか?国民性なのか?他の本に、日本に進駐したオーストラリア人士官のアメリカ兵の一般日本人に対する態度は今まで殺し合いをしていたのが信じられない。我々はこうはできない。といった回想がありますが、これは何に起因したのか?

東南アジアでは、日本による占領によって、現地民の意識の確実な変化があっ
たのは間違いないところです。帰って来たイギリス人達にとって、現地民は以前のままではなかったのはせめてもの日本が成しえたこと。

どのような境遇に落ちても、矜持を保つこと。これは現在の我々にも共有できる大切なもの。

*:
JSP=Japanese Surrendered Personnel(降伏日本人)
マウントバッテン大将、1979年IRAのテロにて爆死
沼正三の「家畜人ヤプー」(読了済)を想起させる記載有