これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

真夜中の訪問者

2014年10月23日 21時14分53秒 | エッセイ
 たしか、時計は0時20分を回っていた。
 寝静まった部屋の中で、家の固定電話が鳴り響く。うるさくて目が覚めた。
 
 こんな時間に、いったい誰!?

 固定電話は、めったに鳴ることがない。一瞬、身内の不幸かと身構えた。
 すると、今度は、家に面した道に乗用車が入ってきた。我が家は路地の突き当たりにあるため、通り過ぎる車ではない。エンジン音を唸らせながら、我が家の前でピタリと停まった。
 まるで、住人が寝ていることを確認してからやってきたように思えて、背筋が寒くなる。
 もし、犯罪を企てようとしている者であれば、エンジンやヘッドライトを消すだろう。運転者の目的がわからず、カーテンの陰から様子をうかがっていたら、まもなくバックして去って行った。

 気持ち悪い……。

 おかげで、その夜は睡眠不足となり、次の朝がつらかったこと、つらかったこと。
「えっ、そんなことがあったんですか? 怖いですね」
 席が近い若手の恭子さんに話したら、私と同じように、車と電話は関連性があると感じたようだ。
「自分の存在を知ってほしいんじゃないですか。お嬢さんのストーカーとか」
「うーん」
 それは思いつかなかった。私も夫も、どこかで恨みを買っている可能性があるから、怨恨の線だと睨んでいたのだが。
 ……まさか、私か夫のストーカーなどいるはずもないし。
 動機はともかく、また同じことが起きたら、絶対に犯人を突き止めたい。善は急げとばかりに、翌日、家を建ててくれた工務店に連絡をとる。
「防犯カメラですか? どこにつけましょう」
「道路に停まった車の、ナンバープレートがわかる位置にお願いします」
 屋外にカメラを置くことは、結構な手間となる。電源を家から引いてきて、回線を室内モニターにつながなければならない。
 見積もりを見たら「37万円」と書かれており、「ゲッ」とカエルのような声を出すところだった。
 これが、カタログのカメラである。



 高いけれど、安心には代えられない。
 冬のボーナス先取りというところだろうか。
 さあ、しっかり働かなくては!


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (16)
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