これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

ピカッと参上

2014年10月30日 21時50分44秒 | エッセイ
 先日、義弟がこんな話をしていた。
「うちは、門の前が暗くて、車一台分のスペースがあるから、立小便や犬のフンに悩まされていたんですよ。でも、センサーライトをつけたら、ピタッとなくなりました」
「へえ~」
 それは本当に犬のだったのか、という疑問は伏せておいた。
「やっぱり、やましい気持ちがあると、強い光を浴びたときに思いとどまるみたいですね。防犯対策につけるといいんじゃないですか」
「そんなに効果があるなんて」
「でも、近くを通りかかるだけで、パッと照らされと不愉快ですね。別に、悪いことをしようと思っているわけじゃないから。反応するエリアを絞らないと、近所迷惑になります」
 というわけで、うちも取り付けを決めた。
 義弟のアドバイスに従い、道を通行している人はスルーして、門の前まで来たらライトが作動する仕組みにしてもらう。
 横幅の広い夫が門に向かうと、「オイコラッ」とばかりにライトが光り、顔を狙ってビームを出す。
 しかし、背の低い私や娘には、なぜか無関心だった。門を開け、体が敷地内に入っても暗いままだ。門を閉めようとして後ろを向いたら、ようやく「ん、誰か来た?」と足元を照らした程度である。
 もし、不審者が背を丸めて侵入してきたら、何のためにライトをつけたかわからない。すぐに設定を直してもらった。
 その日、私の帰宅は19時を回っていた。辺りはすっかり暗くなっている。門まで、あと1メートルというところで、いきなり昼間になったかのような強烈な光を浴びた。



「な、なに!?」
 まぶしさに驚き、灰になるかと思ったくらいだ。
「寄り道してケーキを食ってきたな」などと指摘されたわけではないのに、どうにも落ち着かない気分になる。道理で、立小便がなくなるわけだ。
 センサーライト、おそるべし。
 これから、しっかり働いてもらおう。
 ちなみに今日は、「仕事を放りだして帰ってきたのか」と言われたような気がした。
 強い光が、心の闇を映し出すのかもしれない。


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (10)
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