さて、倉渕の最終日。もろもろの事情を考え合わせ、少し早いが、11時37分落合発のぐるりんで帰ることにする。からりと晴れた五月晴れ。朝方Hの好意で榛名山神社に案内してもらった。榛名山神社というと東京人にはちょっと縁が遠いようにも思えるが、参道の石柵の寄進者の名前には、オカブ家からも程近い三軒茶屋や上馬在住の方の名も刻まれていた。さて、オカブはこの関東の名刹をとんとご存じなかったわけで、昨日の榛名湖もそうだが、こんな山深い奥になんと開けた一大山岳道場が存在しているのは驚きの一言であった。しかし、榛名湖も榛名神社も伊香保からの道が表口で、倉渕からの往来はあまりないというHの言だった。山道を車で登っていくと、人家が両脇に現れ、それはこの神社の講の宿坊であった。それがかれこれ七八軒もあったろうか。とにかく大規模な神社である。急勾配の参道の坂道をヒイコラ登っていくと、石畳が尽きて、今度は急な石段になる。石段の曲がり角の要所要所にはいわく因縁付の建造物や、瀧、岩などがあり退屈しない。途中にお土産を売る茶店などもあり、サービスに漬物を出すなどビジネスマインドも旺盛で榛名神社はなかなか侮れない。さて石段が尽きた奥社に着き、Hがこれがご神体だというに、頭の上を優に40mはあろうかという縦長の大岩の上にこけしの頭のごとく砲丸上の大岩が載っている。そこに注連縄・御幣が祭られご神体となっているのだが、なるほど、これほどの奇勝なら昔の人だったらきっと伏し拝みたくなるだろうと納得するほどの、驚くべき自然の造形である。まあ、謹んで参拝させていただいた。この朝早いのに神社に参拝する善男善女があまたいて、中にはHがあれは歴女だろうとするような若い女性のグループの参拝客などもいた。また麓まで戻ってきて、蕎麦や川魚料理を供する食堂や土産物屋などを横目で見ながら、駐車場にとめてあったHの車の車上の人となる。まだ時間が早かったのでH邸に帰り、茶など飲んで時間をすごした。そして、Hに落合まで車に乗せてもらって、再会を約し別れを告げ、「ぐるりん」で高崎へ。列車の接続もよく20分ほどで小田原行きの湘南スカイライナーに乗り込んだ。3時間後には自宅で、荷物をといてHから土産にもらった、筍と蕨の下処理をかーたんに命じ、すっかり寛いでいた。
初夏の岩清水の音の快き 素閑
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