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ワニと読むミステリ(黒猫ルーイとおてんば探偵)

黒猫ルーイとおてんば探偵 (RHブックス・プラス)
キャロル・ネルソン・ダグラス
武田ランダムハウスジャパン


Cat in a Crimson Haze: A Midnight Louie Mystery (Midnight Louie Mysteries)
Carole Nelson Douglas
Forge

読むと、目くらましに惑わされてはいけません。
 
(キャロル・ネルソン・ダグラス著)
 黒猫ルーイの探偵シリーズもいつの間にか4作目。
 前作の3作目でルーイの娘らしきルイーズ(またはキャビア)が登場しましたが、今回はルーイの父親まで現れます。3世代がそろいますが、あまり家庭的雰囲気は期待できなさそうです。
 今回テンプルは、フェニックス・ホテルの改装計画を作成することになり、アイデアを求めてホテル中を探検しています。カジノを見回っていると、クラップスの台に死体が落ちてきてまたもやテンプルは殺人事件にかかわってしまいました。
 フェニックス・ホテルはルーイが以前に住んでいたところですみずみまで知り尽くしています。独自の捜査を行おうとしますが、ルイーズ(またはキャビア)の父親探し(つまりルーイ)も気になって、思うような活動はできません。ルーイとルイーズは和解できるのかどうか。
 フェニックス・ホテルでは今年のグリダイロンが行われることになっていますが、いろいろと事故が起こり、誰かの妨害工作が行われているらしい。
 いろいろと事件は起こりますが、すべてがこの作品中で解決されるわけではありません。次の作に持ち越しになっているものもあります。そしてなにより最後のページでびっくりすることがあり、それがどうなるのかは、お楽しみ、といったところです。
 3作目でマット(テンプルの隣人)に助けを求めてきたシスターたちは今回もちょこちょこ顔を出します。常連になりつつありますね。
 今回の楽しい登場人物は、フォンタナ兄弟です。テンプルが妨害工作らしきもので足をくじいたので、テンプルの親衛隊となってテンプルの行くところはどこまでも守りについていきます。しかしテンプルは兄弟の見分けがつきません、あまりに似ているので。

■その他の作品
これまでの3作はこちらです。
黒猫ルーイ、名探偵になる
黒猫ルーイと死神の楽屋
黒猫ルーイと猫屋敷の怪
これから読むなら、AMAZONで購入できます。
黒猫ルーイと死神の楽屋 (ランダムハウス講談社文庫)
クリエーター情報なし
武田ランダムハウスジャパン


黒猫ルーイと死神の楽屋 (ランダムハウス講談社文庫)
クリエーター情報なし
武田ランダムハウスジャパン

黒猫ルーイと猫屋敷の怪 (RHブックス・プラス)
クリエーター情報なし
武田ランダムハウスジャパン


主人公: ミッドナイト・ルーイ(黒猫探偵)
テンプル・バー(フリーランスの広報)
場所:  USA、ラスベガス
グルメ: なし
動物:  ネコ:ルーイ(黒猫)
     ルイーズ(黒猫、ルーイの娘)
     スリー・オクロック・ルーイ(黒猫。ルーイの父)
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(ジーヴズの事件簿―大胆不敵の巻)

ジーヴズの事件簿―大胆不敵の巻 (文春文庫)
P・G・ウッドハウス
文藝春秋 AMAZONで購入できます


読むと、情報の速さが勝負の分け目です。
 
(P・G・ウッドハウス著)
 ジーヴズの事件簿、2作目です。これも短編集です。
 1つ目のジーヴズの事件簿 才智縦横の巻の続き。これはバーティの親友ビンゴの恋物語が多かったですが、2つ目は賭け事にまつわる話が多くなっています。
 ジーヴズのご主人バーティは、相変わらずのらくらした生活を送っていますが、避暑にでかけた先のトゥイング・ホールで、従弟ユースタスから誘われて賭けに参加します。
     長説教大賞ハンデ戦
教会での説教は誰が長いかを競うものです。それぞれにハンデがついているので、単純に長さだけでは賭けられません。説教の長さでは他を圧倒的に上回る牧師でもハンデがつくとなると少々頼りなげになるので、バーティは一計を案じ、もっとも長い説教を行うように画策します。うまくいったかに見えたバーティの計略ですが、その当の牧師が具合が悪くなるというアクシデントに見舞われ、賭けの行方は不透明になります。が、ここでもジーヴズは内部情報の伝達の速さで、勝ちを収めます。
 その他、村の小学校のお祭りでの競争。
    動物じゃがいも混合レース
    お母さんの袋跳び
    玉子スプーン競争
    聖歌隊少年のハンデ付き100ヤード徒競争
    など
胴元のさまざまな工作により、賭けはバーティやビンゴの予想通りにいきませんが、ジーヴズは独自の情報網を駆使して、胴元のウラをかいていきます。
 いつものことですが、バーティの服の趣味に異を唱えるジーヴズに対抗し、バーティは主義を全うしようとしますが、なかなか勝てません。
 前作ではバーティの結婚に精力を傾けていた叔母のアガサは、この作品ではバーティに就職の世話をしようとあの手この手です。バーティはそれから逃れようとジーヴズの力を借りますが、ジーヴズの作戦はどうもバーティには納得のいかない内容で。
 惚れっぽいビンゴ、ついに結婚!!

■その他の作品
 ジーヴズの事件簿 才智縦横の巻では、とにかく惚れっぽいビンゴの恋物語が盛りだくさんです。
 それとアガサ叔母によるバーティの結婚のお膳立て。
 いずれもジーヴズの才智で危機を乗り切ります。

 3作目の『ドローズ・クラブの英傑伝』が、2011年8月に刊行予定だそうです。さっそく予約したいですが、まだ無理でしょうね。

主人公: ジーヴズ(従僕)
バーティ・ウースター(ジーヴズの主人)
場所:  イギリス、USA
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 大
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ワニと読むミステリ(ゴルフ場殺人事件)

ゴルフ場殺人事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
アガサ・クリスティー
早川書房

The Murder on the Links (Poirot)
Agatha Christie
HarperCollins Publishers Ltd


読むと、うわべはどうでも、さがは変わりません。
 
(アガサ・クリスティー著)
 再読。ポアロものです。ヘイスティングズも一緒です。
 ポアロは南米で財を成したルノー氏からの手紙で、フランスに渡ることになります。ルノー氏は、警察に助力を求めることができないことがらで、ポアロにたっての援助を求めてきました。その手紙からポアロはのっぴきならない状況をみてとって、ヘイスティングズとともにフランスへ渡り、ルノー氏に会うことにします。
 が、時すでに遅し。ポアロたちが訪ねていったときにはルノー氏はゴルフ場ですでに殺害されていました。
 ルノー夫人は夫の死に激しい衝撃をうけていますが、なにやらどうしても明かすことにできない秘密も持っていそうです。
 ルノー氏の息子ジャックは、ルノー氏といさかいを起こして家をとびだしています。新しい恋人との結婚を反対されたとかで。
 富豪のルノー氏が亡くなればその財産はジャックの相続するところになるということで真っ先に疑われてしまいます。
 へんぴな場所で、関係者も少ないようなこういう設定の中でのミステリで、これほど首をひねらせてくれるのは、さすがにクリスティですね。アリバイや動機や、あれやこれや、ワニの灰色の脳細胞もフル回転です。
 今回は、フランス・パリ警察のジロー刑事が捜査にあたり、ポアロと推理合戦を行います。このジローとポアロのそれぞれの推理もおもしろいですね。
 ヘイスティングズはこの作品で生涯の伴侶に出会います。
 やっぱりクリスティのミステリはすばらしい。事件構成、人物の性格、推理の経過、どれも文句なしの面白さです。ワニは感涙にむせぶ。こういうミステリがもう出てこないのは実に悲しいです。

 巻末に、熊倉一雄氏の『ポアロとわたし』があります。ポアロの吹き替えを始めたのは1989年暮れか、1990年正月だそうです。吹き替えを始める以前からクリスティのファンだったそうです。
 あのポアロの魅力は、熊倉氏の吹き替えで増していますね。

主人公: エルキュール・ポワロ(ベルギー人の私立探偵)
場所:  フランス
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(ジーヴズの事件簿―才智縦横の巻)

ジーヴズの事件簿―才智縦横の巻 (文春文庫)
P・G・ウッドハウス
文藝春秋


読むと、ジーヴズはお見通し。
 
(P・G・ウッドハウス著)
 短編集です。前半はバーティ(ジーヴズの主人)、後半はジーヴズの語りです。
 20世紀初頭のお話。
 ジーヴズのご主人バーティは、人は良いのだけれど、少々間が抜けています。バーティの親友ビンゴはこれまた人は良いのだけれど、とにかく惚れっぽくて、たえず誰かに恋をして、しかも熱烈に恋をしてそのたびにバーティに相談にきます。バーティは、親友ビンゴの恋の成就のため毎回一肌脱ぐのですが、二人の計画は思いもよらぬ障害が発生し、あらぬ方向へと一人で走り出してしまいます。
 バーティの叔母アガサは、なんとかしてバーティを結婚させようとして、花嫁候補を探し出してくるのですが、結婚したくないバーティはなんとかしてそれから逃れようとして、それがまたとんでもない結果に終わります。
 主要な登場人物はみんな良い人なのですが、その人たちがからまると、なぜか事態は予期せぬ方向へと転がり出し、転がり出すと誰にも止めることができず、それでも結果は、まぁ、いいか、ということで納まってしまいます。
 バーティの服装の趣味を巡っての、ジーヴズとの闘いも、いつもジーヴズが先んじています。
 こんなにおもしろい話はありません。
 このごろは、こんなに文句なしに楽しめる作品がなぜ出てこないのでしょうか。
 もっとずっと読みたくなりますが、うれしいことにすぐに次の本が出版予定です。2011年6月10日がその日です。予約するもよし、その日に書店にかけつけるもよし、とにかくすぐに読みましょう。
 
■P・G・ウッドハウス
 ペラム・グレンヴィル・ウッドハウス。
本の解説によると、1881年イギリス、サリー州ギルフォード生まれ、1975年逝去。93歳。
コミックな作品をたくさん世に送り出す。
作品群や経歴については、巻末に詳しく載っているので、興味のある方はそちらを参照してください。

主人公: ジーヴズ(従僕)
バーティ・ウースター(ジーヴズの主人)
場所:  イギリス、USA
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 大


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ワニと読むミステリ(紳士と月夜の晒し台)

紳士と月夜の晒し台 (創元推理文庫)
ジョージェット・ヘイヤー
東京創元社


Death in the Stocks
Georgette Heyer
Arrow


読むと、なんとしても、というのが犯行にかりたてます。
 
(ジョージェット・ヘイヤー著)
 1935年刊行のミステリです。
 月夜の晩に、小さな村の広場の中の楡の木の近く、晒し台に足を入れて紳士が死んでいました。刃物で背中を刺されて。村の巡査に発見されたのは、ロンドンの実業家ヴェレカー氏。事件はロンドン警視庁が担当することになり、ハナサイド警視が調査を始めます。
 小さな村の月夜の死体。
 被害者はあまり愛される性格ではなかったようで、調査につれ次々と容疑者が現れます。
 異母兄弟にあたる弟と妹は、金銭問題や結婚問題で常に不満を持っていました。社員は金の使いこみが発覚し、窮地に陥っています。誰もが犯行の時間帯に明確なアリバイがなく、証拠物件もほとんどないところから事件の捜査は難航します。
 みんな饒舌で、ほとんど会話でなりたっているようなお話です。誰もが殺害の動機があることを隠そうともせず、どういう風に犯行に及んだら自分が犯人になりうるか、嬉々として論じ合い自説を譲りません。しかしうっかり口をすべらすこともあり、ゆえに耳をすませていると誰かのウソが見えてきますよ。
 誰が犯人でもおかしくない状況で捜査は暗礁に乗り上げたかと思われたところで、第二の殺人が起こります。
 強い動機を持っているのは誰なのか。
 登場人物はそれぞれ個性的で、とてもうまく特徴が書かれているので、人物が混乱することはありません。これは登場人物を覚えるのが苦手なワニにとっては大変ホッとすることです。被害者は最初から殺されているので、本人の挙動はありませんが、関係者の語ることからどういう人物だったのかがよくわかります。身近にもいそうですね。
 警視ハナサイドのシリーズはこのほかにもあるそうで、すべてが翻訳されることを望みます。それにはこの一作の売れ行きが大事ですね。本格もの大好きの人ならば、欠かせない一冊です。
 
■ジョージェット・ヘイヤー
 本の解説によると、1902年ロンドン郊外ウィンブルドン生まれ、1974年に肺がんで死去だそうです。
 摂政時代(1811~20年)を題材にした「ヒストリカル・ロマンスの始祖」だそうです。
 摂政時代で思い出しましたが、クッキー・ジャーのオーナー ハンナのシリーズで、ハンナの母ドロレスがロマンス小説を出版していますシュークリームは覗いている。 摂政時代の人気ははるか昔から続いているようです。
 1930年代に刊行された、または設定されたミステリというと、レックス・スタウトの手袋の中の手苦いオードブル、ジェームズ・アンダースンの血染めのエッグ・コージイ事件、マックス・アラン・コリンズのヒンデンブルク号の殺人、ギルバート・アデアのロジャー・マーガトロイドのしわざ、そしてジル・チャーチルの愛は売るもの。その他結構ありますね。

 警視ハナサイドものは、4作。この作品にもでてくるヘミングウェイ部長刑事(後に警部)ものも4作あるそうです。
 全部翻訳なるか。
 全作読めることを期待します。

主人公: ハナサイド(スコットランド・ヤードの警視)
場所:  イギリス、ロンドン
グルメ: なし
動物:  イヌ:イヌ:ブルテリア(アントニアの飼い犬)
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(犯人捜しはつらいよ)

ピザマンの事件簿2 犯人捜しはつらいよ
L・T・フォークス
ヴィレッジブックス


Lights Out: A Working Man's Mystery
L.T.Fawkes
Signet


読むと、痴情の糸はどう広がるのか。
 
(L・T・フォークス著)
 ピザ屋〈カーロ〉でデリバリーをしているテリー・サルツのシリーズ2作目です。
 ワニのお気に入り。
 テリーは、ダニー(屋根職人)、ジョン(新人警官)とトレーラー・ハウスで同居しています。ある朝トレーラー・パーク内で銃声がします。テリーたちが駆けつけてみると、男が1人死んでいて、そばにはテリーの妻メリールーが銃を持って立っているのが発見されます。メリールーはへべれけに酔っぱらっていて支離滅裂なことを言っています。男女間の痴情のもつれによる単純な犯罪かと思われましたが、最初犯人と目されたメリールーはいくらバカ女とはいえ犯罪を犯すような女じゃない。離婚届提出まぎわの夫婦ですが、テリーはメリールーの無実を信じています。
 テリーたちは、自分たちでこの犯罪の真相を探ろうと、仲間を動員して聞き込みを始めます。
 テリーとその仲間たちがなんともいえず良いですね。
 ピザ屋のカーロは経営者が変わって、とても働きにくくなってしまいます。誰もかれもむっとして、不満が爆発しそうです。テリーたちがカーロを辞めてしまったら、ピザマンの事件簿という題はあわなくなってしまいますね。
 元は大工だったテリーは、今回はスミティのバーの改装に精を出しています。だんだんできあがっていく工程が読んでいて楽しいです。シャンデリアを吊るすのはとても難しいのですね。
 男3人で住むトレーラー・ハウスはどんな惨状だろうと恐ろしい気がしますが、予想に反してとてもきちんとした生活のようです。外出から帰ったら、みんなちゃんとコートはコート掛けにかけます。ジョンは料理が上手なので週に一度は素敵なディナーを友人たちも一緒に楽しんでいます。
 テリーたちが食事に集まる〈ブルースター〉もとても気持ちが良さそうで、一緒にモーニングセットの4番を注文してメアリーにコーヒーのお代わりをついでもらいたいです。
 感謝祭のパーティも楽しそうです。
 このシリーズは、あと1つ“Early Eight”がありますが、その後はまだないようです。
 続けてほしいシリーズなのに。
 
■既刊
 これまでに1冊出版されています。
デリバリーは命がけ
テリーがデリバリーの仕事にありついたピザ屋で同僚が殺されます。

主人公: テリー・サルツ(ピザマン。本業は大工)
場所:  USA、オハイオ州スペンサー
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中

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ワニと読むミステリ(スリー・パインズ村の無慈悲な春)

スリー・パインズ村の無慈悲な春 (RHブックス・プラス)
ルイーズ・ペニー
武田ランダムハウスジャパン

The Cruellest Month
Louise Penny
Sphere

読むと、裏切りは美しい仮面をかぶっている。
 
(ルイーズ・ペニー著)
 アルマン・ガマシュ警部のシリーズ3冊目です。
 スリー・パインズ村は、家に鍵をかけないくらい静かで平和な村です。いまはイースターの季節。みんなタマゴを隠しています。
 オリヴィエとガブリの経営するB&Bに、占い師のジャンヌが休暇で訪れますが、ガブリに説き伏せられて降霊会を行うことになります。それが不満足な結果におわると、みんなは旧ハドリー邸でもう一度降霊会を行うことにします。旧ハドリー邸は村で唯一邪悪なところと思われて近づく人はまれです(旧ハドリー邸でのできごとについては、1作目のスリー・パインズ村の不思議な事件 を参照してください)。そこでの降霊会で、村の住人マドレーヌが恐怖のあまり亡くなります。しかし、それは薬物が投与された結果のようです。
 捜査にあたるのはおなじみのガマシュ警部。憎まれもののニコル刑事も捜査班に参加します。今回もいらないことを言ってグループの和を乱すようなことをしますが、これにはわけが。
 殺されたマドレーヌは美人で明るくて誰からも好かれていたようで、なぜ死ななければならなかったのか殺人事件の捜査は難航します。
 さらに、ガマシュ警部の個人攻撃をするような過激な記事が新聞に載り、それがガマシュの子供たちにも害を及ぼすようになり、ガマシュは警察を辞職するところまで追いつめられます。信頼していた人の手痛い裏切りが発覚し、ガマシュにとっては人生の大きな出来事となります。
 画家のクララ・モローに画商からコンタクトがあり、ついにクララの作品が世に認められるかもしれません。しかしそれには産みの苦しみが伴います。芸術家は苦しいですね。
 事件と、ガマシュへの陰謀と、両方が進んでいくので、600ページ以上もあるような結構長い作品ですが、中だるみすることもなくどんどんと読み進んでしまいます。
 ただ、登場人物リスト、これはもうちょっと充実させてほしいですね。スリー・パインズ村の住人は多くないので、もう少し細かな記述が望まれます。
 
■既刊
 これまでに2冊出版されています。
スリー・パインズ村の不思議な事件  ← 感謝祭の週末、老婦人が矢で殺されます
スリー・パインズ村と運命の女神  ← クリスマス直前のカーリングの試合中に女性が感電死します

シリーズ7冊目が8月30にUSとカナダで発売されるそうです。予約可。
A Trick of the Light (Chief Inspector Gamache)
Louise Penny
Minotaur Books


主人公: アルマン・ガマシュ(ケベック州警察殺人課警部)
場所:  カナダ、ケベック州
グルメ: なし
動物:  イヌ、数匹
ユーモア: 小
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ワニと読むミステリ(いたって明解な殺人)

いたって明解な殺人 (新潮文庫)
グラント・ジャーキンス
新潮社

A Very Simple Crime
Grant Jerkins
Berkley Trade

読むと、その人の行動は性格によります。
 
(グラント・ジャーキンス著)
 グラント・ジャーキンスのデビュー作です。
 会社役員のアダムが愛人との旅行から帰宅すると、頭をクリスタルの灰皿で割られた妻が死んでいるのを発見します。傍らには知的障害を持つ息子のアルバート。過去にも灰皿で同室の少年を殺害したことがあることから事件は単純なものと検察は判断しますが、それに反する現場状況をつきつけたのは、下級検事補(扱うのは交通法違反のみ)レオ。事件は夫であるアダムの犯行であるとされます。
 弁護するのはアダムの兄で弁護士であるモンティ。まれにみる美貌を武器に数々の裁判で勝ちをおさめています。
 アダムと妻レイチェルのなれそめから結婚生活まで語られますが、少し異常かもしれません。
 さらに両親を早くに亡くしたモンティとアダムの少年時代の出来事など、どの話も引き込まれるような感じです。
 この事件解決に大きな役割を果たすのは、将来を約束されていながら少女連続殺人事件で失敗してしまい、今は下級検事補の地位に甘んじるしかないレオです。レオの性格が事件の行方に大いに関係しますよ。
 最後は法廷での駆け引きなど、ペリー・メイスンを思い出させるようなところもあります。
 これからどうなるのか、知らず知らずに速読状態になってしまっていました。それだけストーリーに引き込まれてしまいます。
 
 訳者あとがきによると、この処女作はあるコンテストに入賞したことで出版への道が開けましたが、内容が暗すぎる、肩入れしたくなる登場人物がいないといったことを理由に、出版を何社からも断られたそうです。それが刊行とほぼ同時に、脚本ニコラス・カザン、監督バーベット・シュローダーの『運命の逆転』コンビで映画化の話が進行しはじめたということです。
 映画化されたら見てみたいです。

 次回作は南部色を意識したものだそうです。アトランタらしい風景がでてくるかもしれません。どのように描かれるのか、今から楽しみです。

主人公: アダム・リー(会社役員)
場所:  USA、ジョージア州アトランタ
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 小
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ワニと読むミステリ(首なし騎士と五月祭)

首なし騎士と五月祭 (創元推理文庫)
ケイト・キングズバリー
東京創元社

Eat, Drink, and Be Buried: A Gourmet Detective Mystery
Kate Kingsbury
Minotaur Books


読むと、愛憎は変わるもの。
 
(ケイト・キングズバリー著)
 ペニーフット・ホテルのシリーズ4作目です。
 今回は、ホテルの常連客フォーテスキュー大佐が〈ジョージ&ドラゴン〉亭で酔っぱらっての帰り道、恐ろしいものを見てしまうところから始まります。大佐が道に迷ってうろついていると、首なしの騎士が馬に乗り、猛然と大佐めがけて突っこんできます。間一髪で難を逃れた大佐が、やれやれとさまよっていると、今度はメイポールにからまった女の死体を見てしまいます。ホテルに帰ってからセシリーたちに昨夜の悪夢のような出来事を話すのですが、日ごろから少々常軌を逸している大佐のこと、誰も理解しません。
 が、宿泊客の一人から、昨夜妻が帰ってこなかったとの訴えを聞いてからは、セシリーはもしやと気になって仕方ありません。心配は現実となり、犯人はこのあたりに住み着いたジプシーではないかと疑われますが、それに納得のいかないセシリーは独自に調査を始めます。
 時代設定は1907年、五月祭が間近な季節です。
 メイポールの回りをまわるダンスを村の娘たちに教え込もうというフィービ(ホテルの催しもの担当で、牧師の母)の苦労は並大抵ではありません。いくら教えてもリボンがからまってしまいます。このダンスはずいぶんと難しいのですね。
 前作マクダフ医師のまちがった葬式でホテルの厩番頭イアンと結婚したガーティは妊娠してうれしいはずですが、イアンの秘密がほころんで、二人の仲はどうなってしまうのか、とても気掛かりな状況になってしまいます。
 ホテルの宿泊客の殺人事件もどう展開するかおもしろいですが、ホテルの従業員や村の人々の動静も見逃せませんね。

■既刊
 これまでに3冊出版されています。

 ペニーフット・ホテル受難の日  ← 宿泊客の婦人が墜落死します
バジャーズ・エンドの奇妙な死体 ← 灯台建設の現場監督が不審死します
マクダフ医師のまちがった葬式 ← マクダフ医師の葬儀でとんでもない事件が発生。柩のなかにいたのはドクターではなく、見知らぬ若い男で、心臓を刺されて殺されていました

主人公: セシリー・シンクレア(ペニーフット・ホテルの女主人)
場所:  イギリス、バジャーズ・エンド
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(帽子収集狂事件)

帽子収集狂事件【新訳版】 (創元推理文庫)
ジョン・ディクスン・カー
東京創元社


The Mad Hatter Mystery (Dr. Gideon Fell Mystery)
John Dickson Carr
Harpercollins


読むと、機会があるかが重要。
 
(ジョン・ディクスン・カー著)
 久々にカーの本を手にとりました。はるか昔にこの本は読んでいますが、新訳になったのでちょっともう一度読んでみようかと。
 時は1932年。ロンドンでは連続帽子盗難事件が話題になっています。その記事を書いているのはフリーランス記者フィリップで、高名な古書収集家のサー・ウィリアム・ビットンの甥です。サー・ウィリアム自身も帽子盗難の被害にあっています。
 ポーの未発表原稿を入手したサー・ウィリアムですが、その原稿を盗まれてしまいます。原稿盗難を解決すべく招かれたフェル博士とサー・ウィリアムが面会しているとそこにもたらされたのは、甥のフィリップが殺されているのが発見されたというニュースです。霧のロンドン塔の逆賊門のところで死体は発見され、しかもサー・ウィリアムの盗まれたシルクハットをかぶせられています。
 このロンドン塔が事件の現場というのが良いですね。ロンドン塔というだけで、なんだかぞくぞくします。しかも深い霧の中です。
 帽子盗難事件と、ポーの未発表原稿盗難事件と、2つの盗難事件が進行して、それがどうからみあっているのか、首をひねりながら、読んでいくことになりますよ。その次が早く知りたい!と叫ぶかも。
 ポーの原稿というのもミステリアスな感じを増します。
 フィリップはなぜ殺されなければならなかったのか。帽子盗難事件の解決に迫っていたからか。
 ポーの原稿はサー・ウィリアムの屋敷に保管されていて、外からの侵入犯の可能性が極めて低い状況にあり、犯人は家族・使用人の誰かに絞られるように見えますが、誰にも動機がないようです。
 多くの謎がだんだん解き明かされて、謎と謎の関係が明らかになっていく、ミステリファンにとってはこんなに楽しいミステリはなかなかないでしょう。
 さすが江戸川乱歩がミステリ黄金時代ベスト10に選んだだけのことはあります。
 1933年刊行。昭和8年です。時代の古さはこのミステリの魅力には関係なし。
 
■ポーつながり
 ポーに捧げる20の物語
スチュアート・M・カミンスキー編の、ポー生誕200周年記念アンソロジーです。
トマス・H・クック、メアリ・ヒギンズ・クラーク、S・J・ローザン、ドン・ウィンズロウなど、アメリカを代表するミステリ作家たちの書き下ろしです。

■1932年つながり
愛は売るもの
 これはジル・チャーチルの御屋敷に住んでるけどお金がないリリーとロバートのブルースター兄妹のミステリです。設定が、1932年のニューヨーク州です。

主人公: ギディオン・フェル博士(探偵)
場所:  イギリス、ロンドン
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(パイは小さな秘密を運ぶ)

パイは小さな秘密を運ぶ (創元推理文庫)
アラン・ブラッドリー
東京創元社


The Sweetness at the Bottom of the Pie: A Flavia de Luce Mystery
Alan Bradley
Bantam

読むと、イリュージョンにはだまされてしまいます。
 
(アラン・ブラッドリー著)
 11歳の化学大好き少女フレーヴィアのシリーズ第1作めです。ワニは、2作目の人形遣いと絞首台から先に読んでしまいました。
 舞台は1950年代に設定されています。第二次世界大戦直後ですね。
 フレーヴィアは化学実験に夢中で、なんでも知りたがりです。
 ある朝、キッチンのドアステップにコシギの死体が置かれているのが見つかります。フレーヴィアの父はそれを見て、息をのみ、驚愕します。晩には父が何者かと口論しているのを覗き見、そして翌朝その口論の相手の男がキュウリ畑で死んでいるのを見つけます。父の古い知り合いらしいこの男は何物?
 父は殺人の罪で拘束されてしまいます。フレーヴィアは父の無実を信じて事件解決に奔走します。
 イギリスの田舎町のゆったりした感じが良いですね。フレーヴィアは三姉妹の末っ子ですが、上二人と何かというと仲たがいしています。この本の最初はまさしく激しい姉妹ゲンカから始まります。なんとかして仕返しをしようとするフレーヴィアが考えた方法とはなんでしょう。
ケンカをしながらも助けたりするところが家族なんでしょうね。
 この殺人事件の発端は、父の学生時代にさかのぼります。自殺したラテン語教師に本当は何が起こったのか。
 フレーヴィアが父の無実を晴らそうとして一生懸命にかけまわるところはちょっとほろりとしますよ。
 かじりとられたパイが事件の鍵をにぎります。そしてきわめて珍しい貴重な切手も。
 2007年CWAデビュー・ダガー賞受賞作です。
 作者はカナダ生まれで、イングランドには授賞式まで行ったことはなかったそうです。行ったことがないから理想的な田舎町を創造できたのかもしれませんね。

 ■グラディス
 フレーヴィアが乗っている自転車は亡き母ハリエットのものでした。
 2作目で、フレーヴィアがそれをグラディスと呼んでいるので、そのような自転車の種類ででもあるのかと思っていましたが、1作目にその名前の由来がありました。
 ハリエットが、この自転車をリロンデル(つばめ)と名付けていたのを、フレーヴィアがグラディスと改名したのでした。古い三速のBSAキープフィットです。

主人公: フレーヴィア・ド・ルース(11歳の化学大好き少女)
場所:  イギリス
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(スタイルズ荘の怪事件)

スタイルズ荘の怪事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
アガサ・クリスティー
早川書房


The Mysterious Affair at Styles (Hercule Poirot)
Agatha Christie
Harper


読むと、怪しいと思われまいとしても怪しい。
 
(アガサ・クリスティー著)
 ポアロものです。アガサ・クリスティーのデビュー作です。
 1920年に刊行されました。
 ここからポアロが名探偵として世に出たのかと思うと、感慨深いです。
 ヘイスティングスは傷病兵となって、前線から本国に送還されています。疾病休暇をどこで過ごそうかと考えているところへ、旧友のジョンに会い、スタイルズ荘に招待されます。ジョンの母エミリーは若い男と再婚しています。スタイルズ荘に滞在するのは、エミリー、その夫、その義理の息子ジョンの夫婦、ジョンの弟、エミリーの友人、エミリーの旧友の娘、さらに近くには毒理学者がいて頻繁にスタイルズ荘に訪れています。
 エミリーの再婚によってスタイルズ荘には緊張した空気がたちこめています。
 そこで、スタイルズ荘の女主人のエミリーが毒殺されます。しかも密室状態で、どのような手段を用いて毒殺したのが、皆目見当もつきません。
 スタイルズ荘を訪れていたヘイスティングスは、かねてからの友人のポアロがベルギーから亡命して近くに住んでいるのを知り、事件解決を依頼します。
 ここでポアロ登場ですね。
 スタイルズ荘に集う人たちの人間関係、利害関係がからみあう事件で、誰が犯人でもおかしくない状況です。
 巻頭には、クリスティーの孫にあたるマシュー・プリチャード氏の序文があります。クリスティーがミステリを書きはじめた経緯などの話があり、ポアロの造形がどこから得られたのかもこれでわかります。
 序文の中で、プリチャード氏がどう読み進んでいったか、自分の推理の仕方を書いています。
 それぞれ好きな自分のやり方で事件解決しましょう。

 巻末は、ミステリ評論家 数藤康雄氏の解説があり、1920年のミステリ界の状況が語られ、この後ドリシー・L・セイヤーズなどの新しい作家が誕生していくところなどミステリの歴史がわかります。

主人公: エルキュール・ポワロ(ベルギー人の私立探偵)
場所:  イギリス
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(ホロー荘の殺人)

ホロー荘の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
アガサ・クリスティー
早川書房


The Hollow (Poirot)
Agatha Christie
Harper


読むと、みんな犯人はわかっている。
 
(アガサ・クリスティ著)
 ポアロものです。
 アンカテル卿の屋敷ホロー荘に滞在する客人たちとその近くに住む映画女優の9人が繰り広げる愛憎物語とそこで起こる殺人事件です。ホロー荘の隣人となっていたポアロが招待されてホロー荘を訪れると、プールの端に男が1人地を流して倒れており、そのかたわらには呆然としてピストルを手にする女。最初ポアロは彼を迎えるために拵えられたつまらない殺人劇かと思い不快な感情を抱きますが、実は本物の殺人が起こったところだったのです。
 屋敷に滞在する人たちが、いろいろな方向からやってきてプールに到達しますが、それぞれが直前まで単独行動をとっていて、誰にでも犯行の機会があるようです。
 AはBに思いを寄せ、BはCにプロポーズして、CはDと付き合っているが結婚する気はない、Dには妻がありさらに昔の恋人が突然出現する。と、どうなるのかなぁ、この人たち、と謎解きとともに愛憎の行方も気になってしまいます。こういう巧みな状況の作り方も良いですよね。
 ワニが好きなのはアンカテル卿夫人ルーシーです。とりとめのないおしゃべり、脈絡の見えない話、唐突に変わる話題にすっかり面喰いますが、それは考えているたくさんのことを断片的に口にのぼせるので聞いている方は何のことかさっぱりわからないというだけです。始まりは早朝の夫人のおしゃべりですが、そこで登場人物の性格が実によく描写されているので、ここは良く読むにしくはありません。
 最後のヘンリエッタが悲しみの中から創造していくところはいいですね。
 たくさんのミスディレクションがあるので、ご注意。
 最初にこの作品を読んだのがいつだったのかワニは忘れてしまいましたが、再読してよかったです。
 新訳もできたことだし、まだしばらくはクリスティの再読が続きそうです。

主人公: エルキュール・ポワロ(ベルギー人の私立探偵)
場所:  イギリス
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(嘆きのテディベア事件)

嘆きのテディベア事件 (創元推理文庫)
ジョン・J・ラム
東京創元社


The Mournful Teddy (A Bear Collector's Mystery)
John J. Lamb
Berkley

読むと、大義や事情があっても犯罪はいけませんね。
 
(ジョン・J・ラム著)
 テディベアのミステリです。シリーズになっていて、これは最初の作品です。
 ブラッドは元サンフランシスコの刑事で、公務中に足を撃たれて足を引きずるようになり、警察を辞めています。妻はテディベアの作家で、今は二人で妻アシュの実家のあるレメルケンプ・ミルに住んでいます。今日は“テディベア・フェスティバル”の日。アシュも自作のテディベアを出品しています。
 でかける前にブラッドが前庭でコーヒーを飲み、愛犬キッチナーが駆け回っているのを見るうちに、川に浮かんでいる男の死体を発見します。
さらにフェスティバル会場についてみると、オークションの目玉の“嘆きのテディベア”がまだ会場に到着していなくて、どうやら運搬の途中で消えたらしい。盗難?
 テディベアのウンチクにあふれて、小さな町の個性的な人たちも生き生きしていて、情景を楽しめるミステリです。
 平和で犯罪もめったに起こりそうもない町ですが、教会のバザーはなんだか怪しく、保安官とその息子の巡査部長の捜査のやり方はどうも納得がいかないという妙な雰囲気もあります。事件を事故あるいは自殺と片付けようとする警察に対して、元サンフランシスコ警察の刑事としての誇りが許さず、ブラッドは独自に調査を始めます。
 アシュもなかなかファイトにあふれて、良いおしどり探偵ぶりを発揮。
 ワニとしては、レストランの主人のセルゲイがもっとも気に入っています。素性を明かしませんが、どうやら旧ソ連のスパイだったらしいというブラッドの読みはあたっているのかいないのか。ブラッドに頼まれて捜査に必要な機材を提供したり、重要な相棒になりそうです。
 作者のHP(http://www.johnjlamb.net/index.shtml)をみてみると、元刑事でテディベアのコレクターのようです。お気に入りのテディベアとともに写っている写真はほんとにうれしそうです。
 
 すでにテディベアのシリーズは5作まで発表されているようですので、まだこの先も楽しめますね。
 
■嘆きのテディベア
 単なる作品の名前かと思っていたら、「嘆きのテディベア」という種類(?)があるそうです。
 本の中から引用すると、「沈没したタイタニック号の犠牲者を追悼するために、ドイツのおもちゃメーカーのシュタイフ社が1912年に発表した黒いモヘアのテディベアで、全部で655体しか製造されなかったという。世界一レアで貴重なぬいぐるみのひとつで、だからこそ世界じゅうのコレクターが今日のフェスティバルに集まってくるのだ。」ということで、オークションで10万ドル以上の値がつくものもあるそうです。

主人公: ブラッドリー(ブラッド)・ライオン(元サンフランシスコ市警察強盗殺人課の刑事)
場所:  USA、ヴァージニア州レメルケンプ・ミル(架空の街)
グルメ: なし
動物:  犬:キッチナー(オールドイングリッシュ・シープドッグ)
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(ウーロンと仮面舞踏会の夜)

ウーロンと仮面舞踏会の夜 お茶と探偵10 (RHブックス・プラス)
ローラ・チャイルズ
武田ランダムハウスジャパン
¥924(価格は変更になる場合があります)

Oolong Dead (A Tea Shop Mystery)
Laura Childs
Berkley
¥583(価格は変更になる場合があります)

読むと、Trustは信頼できる?。
 
(ローラ・チャイルズ著)
 インディゴ・ティーショップのオーナー、セオドシアのシリーズ第10弾です。いつの間にかもう10作品目なんですね。原作はすでに12作品出版されているようですので、まだまだおいしいお茶のシリーズは楽しめそうです。
 セオドシアはチャールストン・クロスカントリー競技大会に参加し、月毛のキャプテン・ハーリーにまたがってまさに第五障害を飛びこそうとしたところで、急に馬が何かにおびえていななき暴れ始め、セオドシアは落馬。目がまわって倒れたところからようやく正気になってみると、そこには障害にもたれかかっている女性の死体が。
 それはセオドシアの元カレジョリーのいとこでニュースキャスターのアビーでした。やり手のアビーは新しいニュース局に移ったばかりでなにやら昔の誘拐事件を追っていたらしい。セオドシアは、ジョリーに頼まれて事件を調べ始めます。
 セオドシアの住むチャールストンは、仮面舞踏会の話でもちきり。その前にティモシーのお屋敷でのパーティもあり、華やかな雰囲気に包まれています。
 インディゴ・ティーショップもさまざまな催しがあり、セオドシアやティー・ブレンダーのドレイトン、パティシエのヘイリーたちは大忙しです。
 ジョリーはセオドシアに未練があるのか、パーティへのエスコートを申し出たりします。そこでおもしろくないのは現在のカレのパーカー(ビストロのオーナー)です。セオドシアが事件の調査にのめりこむのにつれ元カレとの接触が多くなり、パーカーはちょっと怒ってしまいます。さて、セオドシアはジョリーとよりを戻すのか、またはパーカーとの関係を続ける方を望むのか、女心は揺れそうです。
 昔のプランテーションの跡地は歴史的建造物として残そうという活動があるのですね。
 「地下鉄道」がちょこっと出てきますが、これは病院が嫌いな猫につうずるものがあります、ちょっとだけですが。

 今回は、セオドシアの愛犬アール・グレイの出番はほとんどありません。残念!

 お茶のウンチクとレシピがあります。
 
■シリーズその他の作品
 過酷な広告代理店勤務からティショップを開店することになったセオドシアのシリーズは10作品が翻訳されています。その他はこちら。

ダージリンは死を招く
グリーン・ティーは裏切らない
アール・グレイと消えた首飾り お茶と探偵 3
イングリッシュ・ブレックファスト倶楽部 お茶と探偵4
ジャスミン・ティーは幽霊と
カモミール・ティーは雨の日に
ブラッドオレンジ・ティーと秘密の小部屋
ロンジン・ティーと天使のいる庭
ホワイト・ティーは映画のあとで

もうひとつのシリーズは、卵料理のレストランです。
あつあつ卵の不吉な火曜日
チェリーパイの困った届け先

日本語訳になっていないシリーズに、Scrapbookのシリーズがあるようです。こちらも読めると良いですね。

主人公: セオドシア・ブラウニング(インディゴ・ティーショップのオーナー)
場所:  USA、サウスカロライナ州チャールストン
グルメ: ティとお菓子
動物:  犬:アールグレイ(セオドシアの愛犬、セラピー犬)
ユーモア: 中


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