ワニと読むミステリ(愛は売るもの)

読むと、甘い言葉に気をつけて。

(ジル・チャーチル著)
 《グレイス&フェイヴァー・シリーズ》 第4弾。
 リリーとロバートのシリーズも、もう4冊目になるんですね。
 大きなお屋敷に住むのも、だんだん慣れてきたようです。
 
 11月のある日、かつらで変装した男がやってきて、宿泊の申込みをします。
 なんだかあやしげなので、リリーは申し出を断ろうかと思うのですが、少しでも足しになるならばとみんながいうので、このグループを泊めることにします。 前払い金が巨額なのです。
 グループは、4人。
 部屋にこもって、何ごとか相談しているらしい様子ですが、食事も部屋のドアのところまで運ばせるだけで、中にいれようとしません。
 そして、朝、この一行の1人がバスルームで死んでいるのが発見されます。
 他殺!
 そして、この一行は、悪名高き「神の介在協会」の幹部で、殺されたのはそのラジオ伝道師だったのです!
 捜査が進むにしたがって、この協会のやっていたことや、伝道師の悪事が暴かれていきますよ。
 といっても、このシリーズのこと、おどろおどろしいところはなく、なんだかのんびりした展開です。
 はたして犯人は、この宿泊客の1人なのか?
 
 屋敷は巨大で、鍵のかからない出入り口も多く、完全に内部にいる人物が犯人と断定することもできません。

 
町の話題は大統領選挙で持ちきり。
フーヴァーが勝つか、ルーズヴェルトが勝つか。
ちょうどフーヴァー・ダムが建設中の時代で、この静かな町にもその影響が及んでいます。

町の小学校の教師が急に休みをとってしまい、困ったターキントン校長は、リリーとロバートに代理教師を頼みます。2人は、図書館で勉強したりして、良い先生ぶりを発揮します。 
いつも感じの良い兄妹ですね。
 
巨大な屋敷《グレイス&フェイヴァー》に今回新たな下宿人が加わることになります。
満場一致で下宿人を迎えることになりましたが、さて誰でしょうか。

今回は、イヌのアガサは出番がありませんでした。
 
■ジル・チャーチル
 ジル・チャーチルには、このシリーズとは別に、主婦探偵ジェーン・ジェフリイのシリーズもあります。
   飛ぶのがフライ 
   このほかにも、「忘れじの包丁」、「地上より賭場に」、「豚たちの沈黙」、「エンドウと平和」。
   
《グレイス&フェイヴァー・シリーズ》は、
   闇を見つめて
   このほかは、「風の向くまま」、「夜の静寂に」、「闇を見つめて」。

 まだ読んでいない方は、まとめて買うと1500円以上で、送料が無料になります。

主人公: リリー・ブルースター  (妹)
     ロバート・ブルースター (兄)
場所:  USA、ニューヨーク州ヴォールブルグ
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中




愛は売るもの (創元推理文庫 M チ 4-13)
ジル・チャーチル,戸田 早紀
東京創元社

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ワニと読むミステリ(悪魔はすぐそこに)

読むと、善も悪も根はひとつ。

(D・M・ディヴァイン著)
 なぜか日本への紹介が遅れた作家です。
 こんなにすばらしいのに、どうして翻訳がタイムリーにでなかったのか、とても不思議です。
 
 事件は、イギリスのハードゲート大学内で起こるのですが、若い学部長が古参の上級講師を追い出そうというたくらみから始まります。
 ハクストンが、夏期公開講座を開いたときのお金をごまかしていたらしいとの匿名の手紙がきて、それを調査することになります。
 この講師は、ピーターの父(故人)の友人でもあり、今ではピーターのチェス相手でもあります。人の良いピーターは、請われればつい断れずに父の友人と毎週チェスの試合をしています。
 このへんの設定が、時代を感じさせますね。 なんとなく優雅。
 横領の嫌疑をかけられたハクストンは、不自然な状況で死亡しているのが発見されます。
 
 まだ女性の進出が始まったばかりのころで、ルシール・プロヴァン(経済学科講師)は、特別な存在のようです。 非常に冷静で、頭脳明晰。
 でも、ピーターと恋に落ち、それはもう激しい情熱を燃やします。 でも、なかなか他人には理解してもらえないのです、熱い情熱にあふれた女性だということが。
 
 学生たちのいたずらがでてくるのですが、まだそんなにたちの悪いものでなく、ちょっとほほえましいくらいです。 でもこのいたずらを仕組んでいた最中に、殺人が起きます。 
 誰が何のために? 
 次は、名誉学長就任式で暗殺を仄めかす脅迫状が大学に届きます。
 それぞれの事件は、なんのつながりもないように見えるのです。
 が、次第に、8年前のある女学生の死亡事件にさかのぼっていきます。
 なかなか事件全体を見渡すことができないので、途中で読むのをやめることができなくなるくらいに熱中してしまいますよ。 
 昔の推理小説って、いいですね。
 ワニは、大好きです。  
 
■ディヴァイン 
 未訳が、まだ多数あります。 
  既訳は、以下のとおりです(ワニの既読)。
     五番目のコード
     ロイストン事件
     こわされた少年

 これも、続きが翻訳出版されるように、みなさん、絶対に買って読んでください。

主人公: ルシール・プロヴァン (経済学科講師。ピーターの婚約者)
     グレアム・ラウドン  (法学部長)
場所: イギリス、
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 小

  
悪魔はすぐそこに (創元推理文庫 M テ 7-1)
D.M.ディヴァイン,山田 蘭
東京創元社

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ワニと読むミステリ(記憶をなくして汽車の旅)

読むと、根源は遡ります。

(コニス・リトル著)
 これも日本に紹介の遅れた作家です。
 オーストラリアが舞台のミステリは、ワニには珍しいです。
 それに、トカゲが出るミステリも珍しいです。
 
 主人公は、記憶をなくした女性です。
 汽車の中で、棚の上からスーツケースをおろそうとして、落ちてきたスーツケースに頭を直撃され、気がついたら自分が誰だかわからなくなっていたのです。 記憶喪失ものって、しばらく前に流行ったような気がするのですけど、これもそのころの流れでしょうか。
 ふとした事故で記憶喪失になるって、なんだかミステリアスで、わくわくしますよね。 自分がこうなったらどうするんだろう、なんてね。
 
 「わたし」は、記憶をなくしたまま、初めて会うおじさん一家と落ち合いオーストラリアを汽車で横断することになります。それと、婚約者のふりをしている青年医師も現れ、いったい「わたし」は、何を意図してこの旅に来たのか、だんだん不安になってきます。ジョーおじさんは、トカゲの絵を描くのが楽しみで、そのトカゲの絵が、なぜかいつも誰かに損なわれるのですが、おじさんが自分でやってそのことを忘れているのか、そこのところも良くわかりません。 おじさん初め、みんななんだかヘンな家族です。ほんとに「わたし」は、このおじさんの親戚?
 ときどきフラッシュバックする記憶の断片とこの旅はどうつながっていくのでしょう。
 
 で、途中から乗ってきた女性が、殺されます。
 見知らぬ女性のはずなのですが、なぜか知り合いのような気もする。
 さらに殺人が起こり、「わたし」は、容疑者にされてしまいます。
 被害者と「わたし」の接点は、いったいなんでしょう?
 
 時代は、1940年代です。
 のんびりして広大なオーストラリア大陸の景色を想像しながら読むとゆったりした気持ちになります。    
 
■鳴くトカゲ
 トカゲが歩いた足跡が赤いのは、もしかしたら、血?
 鳴くトカゲがでてくるのですけど、これはどういう種類のトカゲなんでしょう。
 不思議ですね。

 これを読んだら、リチャード・シャタックを思い出してしまいました。
 男性名ですが、実は女性です。
 あわせて読むとおもしろいと思いますが、もうあまり売っていませんね。
   こうのとり狂騒曲
こうのとり狂騒曲
リチャード シャタック,Richard Shattuck,藤村 裕美
東京創元社

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   ハネムーンの死体
ハネムーンの死体
リチャード シャタック,Richard Shattuck,藤村 裕美
東京創元社

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 コニス・リトルの著書はまだたくさんあります。翻訳が続いてでるように、絶対に買ってください。ワニは、とても好きです。

主人公: わたし(一人称) (記憶喪失の女性)
場所:  オーストラリア、大陸横断
グルメ: なし
動物:  トカゲ
ユーモア: 中小



記憶をなくして汽車の旅 (創元推理文庫 M リ 5-1)
コニス・リトル,三橋 智子
東京創元社

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