「検証:入管開示請求」その11
~推測:入管庁の裁決書~
8月27日付けで入管庁から裁決書が送られてきて、北朝鮮の帰還事業に関する行政文書51枚が公開されるとのことである。なぜ、入管庁は審査請求を自ら取り下げてまで採
決を急いだのか、私なりに推測してみたい。
私は、平成30年1月11日に法務省に対して、「北朝鮮の帰還事業に関して、その事業の制度的内容が記載されている行政文書」の開示請求を行ったが、法務省は同年6月29日付けで部分開示決定処分を下した。この処分内容を不服とした私は、同年7月30日付けで審査請求を行ったところである。
入管庁は、この度の採決の理由として、「原処分に係る行政文書には「帰還事業の枠組みに関する情報」が記載されているところ、これを公にしたとしても、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがある(以下「前述の理由」という。)ものとはいえないことから、法第5条第3号には該当せず、開示することが相当である。」としている。
しかし、法務省が情報公開・個人情報保護審査会へ提出した「理由説明書」には、前述の理由を掲げたのちに「オ 以上から、本件不開示情報は、法第5条第3号に該当すると認められるため、不開示を維持することが相当である。」と結論付けている。なぜ、法務省の判断は一転したのか、私の推測はこうである。
まず、法務省が法第5条第3号に該当するとして列挙した前述の理由は、これまでに同様の理由で私の開示請求を不開示とした厚労省並びに外務省に対する審査請求において、総務省の情報公開・個人情報保護審査会から「法第5条第3号には該当せず」との答申が厚労省並びに外務省に対して出されていることから、先に手を打って審査請求を取り下げて面目を保とうとしたのだろう。
つぎに、このまま情報公開・個人情報保護審査会で審査が続き、答申書において法務省により大きな譲歩を迫る内容が明記された場合、法務省としては相当のダメージを被るものと推測する。それなら、今のうちに取り下げて小さく情報開示し、それによって大きな情報を隠した方が得策ではないかと判断した可能性を否定できない。
いずれにせよ、拉致問題をはじめストックホルム合意に明記された日本人の諸問題に関する情報公開請求において、政府は、今後前述の理由を盾にして不開示処分をできなくなったことは確定したと判断して良いだろう。これで、自らの組織の保身を第一に考えている政府関係省庁に小さな風穴があき、やがて戦後史の闇が明らかになり、拉致問題をはじめストックホルム合意に明記された日本人の諸問題の解決が実現することを願わずにはいられない。
※この文章は、令和元年9月3日付けで私のブログに掲載したものです。
~推測:入管庁の裁決書~
8月27日付けで入管庁から裁決書が送られてきて、北朝鮮の帰還事業に関する行政文書51枚が公開されるとのことである。なぜ、入管庁は審査請求を自ら取り下げてまで採
決を急いだのか、私なりに推測してみたい。
私は、平成30年1月11日に法務省に対して、「北朝鮮の帰還事業に関して、その事業の制度的内容が記載されている行政文書」の開示請求を行ったが、法務省は同年6月29日付けで部分開示決定処分を下した。この処分内容を不服とした私は、同年7月30日付けで審査請求を行ったところである。
入管庁は、この度の採決の理由として、「原処分に係る行政文書には「帰還事業の枠組みに関する情報」が記載されているところ、これを公にしたとしても、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがある(以下「前述の理由」という。)ものとはいえないことから、法第5条第3号には該当せず、開示することが相当である。」としている。
しかし、法務省が情報公開・個人情報保護審査会へ提出した「理由説明書」には、前述の理由を掲げたのちに「オ 以上から、本件不開示情報は、法第5条第3号に該当すると認められるため、不開示を維持することが相当である。」と結論付けている。なぜ、法務省の判断は一転したのか、私の推測はこうである。
まず、法務省が法第5条第3号に該当するとして列挙した前述の理由は、これまでに同様の理由で私の開示請求を不開示とした厚労省並びに外務省に対する審査請求において、総務省の情報公開・個人情報保護審査会から「法第5条第3号には該当せず」との答申が厚労省並びに外務省に対して出されていることから、先に手を打って審査請求を取り下げて面目を保とうとしたのだろう。
つぎに、このまま情報公開・個人情報保護審査会で審査が続き、答申書において法務省により大きな譲歩を迫る内容が明記された場合、法務省としては相当のダメージを被るものと推測する。それなら、今のうちに取り下げて小さく情報開示し、それによって大きな情報を隠した方が得策ではないかと判断した可能性を否定できない。
いずれにせよ、拉致問題をはじめストックホルム合意に明記された日本人の諸問題に関する情報公開請求において、政府は、今後前述の理由を盾にして不開示処分をできなくなったことは確定したと判断して良いだろう。これで、自らの組織の保身を第一に考えている政府関係省庁に小さな風穴があき、やがて戦後史の闇が明らかになり、拉致問題をはじめストックホルム合意に明記された日本人の諸問題の解決が実現することを願わずにはいられない。
※この文章は、令和元年9月3日付けで私のブログに掲載したものです。