アンカツを応援するブログ

アンカツこと、安藤勝己騎手を応援するブログです。

ダイワスカーレット引退

2009-02-16 22:19:11 | 競馬
ダイワスカーレットの現役生活が終わった。


屈腱炎の発表から数日たって、気持ちの整理をしてきたつもりだが、
しかし、ついにこの日が来てしまったか、という思いだ。
さて、何を書けば良いだろうか。
思い出は山ほどあって、何から触れて行けばいいのやら。
我がブログを振り返ればスカーレットの思い出ばかりであり、
改めて触れることもないかなあと思ったりもするのだが、
引退が決まった日なので、少しだけこれまでの軌跡を。
また事あるごとにスカーレットの思い出に触れることにはなるだろう。



スカーレットはアンカツが中央入りして以来始めて、
アンカツが全鞍で騎乗した馬となった。
(生涯1戦とかの馬はもちろん除いているけど)
ビリーヴに始まって、ドン、カメ、メジャーなどなど、
アンカツと共に競争生活を駆け抜けた名馬はたくさんいるが、
最初から最後まで共にした馬はこれが初めて。

アンカツといえばスカーレット、スカーレットといえばアンカツ。

競馬ファンなら誰もが認める最高のコンビだったと思う。
アンカツが素晴らしい馬に巡り合えた事を、
スカーレットに関わった全ての関係者に感謝したい。


全てはデムーロの騎乗停止から始まった。
デムーロの停止でダイワメジャーが回ってきて、
それからコンビを組むことになったメジャーと共にG1戦線を駆け抜け、
その縁でオーナーの依頼で回ってきた馬がスカーレットだった。
当初は豊が乗ることになっていたが、
まず長い距離を使いたいということで豊が乗れなくなり、
ならばということでオーナーの依頼で乗ることになった経緯もある。
偶然に偶然を重ねたような巡りあいだったが、
この出会いが競馬史を大きく塗り替えるんだから競馬は、人生は面白い。

メジャーのマイルCSの日にデビューし、
明らかに大物と分かるレースぶりで現役生活をスタート。
年が明けて桜花賞トライアルで宿命のライバルと出会うことになった。
ウオッカ。
最初にぶつかった時は、何それ、と半笑いになったものだw
生涯立ちふさがることになりそうだと覚悟したチューリップ賞だったが、
たった1走後の桜花賞で全てを覆す大勝利。
勝負師というのはこういう人のことを言うんだと、
20年アンカツを応援してきながら、改めて認識を深め感動したものだ。
その後、ウオッカとの戦いは5度に及び、最終的にスカーレットの3勝2敗。
最後の戦いとなった秋天は、永遠に語り継がれるものとなった。


しかし、スカーレットの現役生活は決して順風満帆ではなかった。
最初のアクシデントはオークス。
ライバルのウオッカがダービーに向かったことで完全に1強状態。
2冠は確実と言われていた中で、木曜日にまさかの熱発で回避。
さまざまな結果を残してきた今だからこそ言える。
出れていたら99.99%勝っていただろう。
牝馬3冠の偉業を自ら棒に振って、秋に賭ける事になった。

3歳の秋競馬は実に順調に始まった。
オークス上位馬を相手に、復帰初戦のローズSを楽々と逃げ切り。
ウオッカとの再戦となった秋華賞では、
後続を幻惑しまくって何の苦もなく押し切り。
今度はウオッカが直前回避となったエリザベス女王杯では、
古馬を相手に淡々と逃げて楽々と逃げ切った。

そして兄メジャーとの最初で最後の戦いとなった有馬記念。
2番手から余裕を持ってレースを進め、
迫ってくる後続をどう料理しようかと構えているところ、
相手に想像もしなかった伏兵マツリダゴッホに出し抜かれた。
スカーレットは2着で兄は3着。
KY(空気読め)なんていう言葉が流行った年だったが、
こんなKYは他にねえよなあと苦笑いするしかなかったけどw
それでも、兄の意思を受け継いだ気はした。


2008年は苦難の連続だった。
ドバイ遠征を計画してその始動戦に選ばれたのがフェブラリーS。
芝の最強クラスの馬が砂に参戦することは稀有で、
ワクワクさせてもらったが、目に怪我をしてしまい1週前に回避。
夢の世界制覇、ドバイ遠征は流れてしまった。
気を取り直して迎えたG2大阪杯は、
同年の宝塚記念馬エイシンデピュティ以下を完封。
倒した相手には春天の2,3着馬もおり、まさに現役最強の姿だった。

行きがけの駄賃のような感じで挑もうとしていたヴィクトリアマイル。
このレースは体調が戻りきらずということで回避。
安田記念を目標にするということになったのだが、
その矢先に骨瘤が出たということで春全休になった。
故障の報道が流れたときはヒヤッとさせられた。


復帰戦に選んだのは秋の天皇賞。
休み明けで通用するようなレースではない。
歴史的名馬であるルドルフやテイオーですら敗れた舞台。
それに挑んだスカーレットは、初めて我を見失っていた。
アンカツの制御を聞かず、本能をむき出しにして走った。
これまで見せた事のないペースで暴走し、
しかし後続に飲み込まれずにウオッカとの死闘を演出した。
スカーレットがいつも淡々と逃げ切ることについて、
半信半疑だった全ての人間が納得せざるを得ない走りだった。

日本最強を目指すべく選んだ舞台は有馬記念。
今度はアンカツの制御下の元で力を出した。
速いペースで進め後続を巻き込む展開を作り、
自分だけ残って追ってきた馬がまさに全滅する展開。
有馬記念史上でもトップ5に入るであろう強いレースだった。
展開、時計、全てに文句のつけようがなく、
秋天で敗れたウオッカや3歳最強のディープスカイを差し置いて、
現役最強馬という言葉が相応しい存在となった。

そして今度こそ世界制圧へ。
ドバイから欧州からアメリカへ。
かつて日本馬が描いたことのない壮大な計画が立てられた。
スカーレットならやってくれると思っていた。
本当ならばスカーレットがいたはずの今週のフェブラリーS。
カネヒキリやヴァーミリアンをちぎり捨てると思っていた。

しかし、ここでまさかの屈腱炎の発表。
そして今日の引退発表となった。

本当にもう終わりなのか。
まだ何か信じられない気持ちもある。
ついこの間まで元気に走っていたじゃないか。
そんな思いも脳裏を駆け巡っている。



思えばスカーレットは体質の強い馬ではなかった。
よくぞこれだけの成績を残せたものだ。
じっくり振り返れば、アンカツの功績はとても大きかったと思う。
大阪杯後もそうだったのだが、
少し本気を出すと体が痛んでしまう馬だった。
圧倒的な能力に身体がついてこなかった。
そんな馬が大レースばかり12戦もしてこれだけの成績を残せたのは、
後続を幻惑する競馬を多用してきたからだと思う。
テンが速くギアチェンジが速いスカーレットの特殊能力を生かし、
いかに楽に負担なく勝つかを追求していた感じがする。
実際、アンカツに騙されてる気がしてならなかったのだろう、
スカーレットのことを秋天まで認められない人は多かったようだ。
そうして、負担を最小限に抑えながら実績を積み続けた。
秋天で不本意ながらスカーレットが暴走してしまい、
それでも身体が大丈夫だったことから、
初めて有馬記念で本気を出させたんじゃないだろうか。
本当に、大事に大事に乗ってきたと思う。

しかしこの日が来てしまった。
世界制覇は夢物語だった。
結局スカーレットの体質では、フェブラリーS参戦はなしだったのだろう。
体質の強さも競走馬の大事な資質の一つである。
スカーレットは素晴らしいサラブレットだったが、完全ではなかった。
そんな完全ではないスカーレットを、
アンカツと松国厩舎スタッフが、よくぞここまで持ってきてくれた。
このスタッフでなければこの絶大な名声は得られなかったと思っている。
みんなが組み合わさって、完全な存在だったと思う。



志半ばにして終わる競争生活。無念の一言だ。
しかし、言い換えれば夢の始まりでもある。
スカーレットにはこれからその血を残す仕事が始まる。
偉大なサラブレットに与えられる使命、第二の馬生のスタートだ。
牝馬なので毎年1頭ではあるが、だからこそ血は重い。
これから10頭ちょっとの子供を残すことになるだろう。
その子供達がまたターフに現れ、
スカーレットの果たせなかった夢を果たすために頑張ってくれる。
その鞍上にはきっとアンカツがいるはずだ。

それが競馬だ。
物語はまだ折り返し地点に過ぎない。
きっとスカーレットが与えてくれた数々の興奮と感動を、
また味わうことが出来ると信じて待っているぞ。


とりあえず、スカーレットの最初の物語はこれでお終い。
残念ではあるけれど、同時にホッとした気持ちもある。
言葉もろくに整理出来ていない、複雑な気持ちだが、
今日この日に、これだけは言っておかないと。


ありがとう、スカーレット。最高の2年間だったよ。


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15 コメント

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Unknown (パノラマカー)
2009-02-16 23:53:36
私も夕方に引退のニュースを見た時は、覚悟はしていましたが、寂しい気持ちで一杯でした。でも、今春から早速フランス産の新種牡馬を付けられるとのことで、早ければ3年後には子供がデビュー出来るかもしれませんね。来春以降には、カメとの子供も期待したいのですが、どうでしょうか?アンカツの騎乗でデビューできたら、まさに夢の続きを見る思いでしょうね。ひとまずは、少しだけでもゆっくりししてください。お疲れ様でした。
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感動しました (さむらい)
2009-02-17 00:08:14
過去のレースが鮮明に思い出せれて少し涙ぐみました。アンカツとスカーレット。競馬人生で一生忘れないと思います。
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Unknown (タナカツ)
2009-02-17 06:45:51
名馬が去る時はいつも寂しい気持ちになりますが、今までで一番寂しい気持ちになりました。

正直、秋天や有馬を見ても能力の全貌を見せてもらえたとは思えません。
ですが、余力を残しての引退は繁殖にあがることを考えると結果的には良かったのかもしれません。

世界制覇はダイワスカーレット産駒に期待してます。アンカツさんも2世に乗りたいと仰っていたので、このブログで取り上げられることを楽しみにしております。

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ありがとう (a-t-)
2009-02-17 09:20:22
気持ちの整理がつかないままスカーレットの引退を悲しんでましたが、このブログを読んで自分の気持ちを思い出とともに整理してくれました。

このような同じ気持ちを持った方がたくさんいると思うととスカーレットは幸せな馬ではないかと思います。

ありがとうございました。
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残念だね・・・ (通りすがり)
2009-02-17 14:32:36
スカーレットブーケの仔ということで注目してたらそれ以上の活躍でした。
僕はリンデンリリーが好きだったのでライバルだったスカレットブーケの産駒が走っているのはうらやましかったです。
これからはスカ-レットブーケの孫が走るんですね。

期待しています。
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Unknown (fuuco)
2009-02-17 18:38:45
ここに来る多くの皆様と同じく、なかなか気持ちの整理がつかなかったですが、sankyoさんのこの記事で、色々昇華できました。ありがとうございます。

アンカツのコメントも前向きに見えるので、数年後を楽しみにします。

でも、メジャーみたいな引退式、見たかったなぁ…!
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Unknown (アンカツ)
2009-02-17 19:08:00
スカ-レットご苦労様でした
本当にお疲れ様
競馬歴は長~いですが
今まで出会った馬で
一番好きな馬でした
アンカツとスカーレット
の巡り合わせそうだったんですか
私は新馬デビュー戦ですごく印象に残り それ以来大好きになりました
今はただご苦労様の言葉をかけたいです
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Unknown (Unknown)
2009-02-17 19:16:11
ごめんなさい
先ほどの名前アンカツ
アンカツ大フアンからです
スカーレット引退から
ずっと動揺しています
落ち着かなくては
sankyoさん
情報ありがとうございました
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Unknown (ユラ)
2009-02-17 19:43:20
発表があってからいろんな思いがごちゃまぜになって
なかなか気持ちの整理ができませんでしたが、
今はただ「ありがとう」の気持ちでいっぱいです。

スカーレットとの思い出は語り尽くせませんね。
本当に大好きな馬でした。
アンカツがこだわって乗り続けた馬だし、いつも期待以上の走りで応えてくれました。
走ってる姿も美しいですが、ほんと綺麗で可愛いかったです。

世界制覇の夢は叶いませんでしたが、それはスカーレットの子供たちに託したいですね。
カメとの子供も見てみたいな。ものすごいスピードがありそうw
アンカツを背に夢の続きが見れたらこんな素晴らしいことはないです。
また別の楽しみができました。
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夢のつづき (Wings)
2009-02-17 21:54:51
スカーレットに関わった全ての関係者にありがとうと感謝したいです。引退は悲しいですが、スカーレットが果たせなかった世界制覇の夢は必ず子供達が引き継いてくれることでしょう。もちろんその時に鞍上がアンカツならいうことありません。
最後に2年間お疲れ様でした。
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