【創作びより】

怒濤の締め切り日


締め切り当日。泣いても笑っても、今日しかない。と言っても、夕方、下の二人が帰ってきたら、また原稿を汚されかねないし、長女を空手に送り迎えもしないといけない。タイムリミットは3時半。それまでに、何が何でも、原稿を仕上げたい……。
今日は、タイトルと推敲だけのはずだった。でも、朝、お茶碗を洗ってると、ラストがすごく気になった。2日前、書き出し部分を変えたのに、最後がストンと落ちてない。なにかが違う!!
だーっとシーンが浮かんできたんで、書いていく。この作品で言いたかったことが出てきた。よしっ、このラストでいこう!
タイトルも何案か考えて、自分の好きなかんじのができた。
プリントアウトして、推敲する。まだまだ矛盾点や気になる点がポロポロ出てくる。チェックしては直し、声に出しては、書き直す作業が続く。何度も何度も推敲して、2時半、ようやく、納得する原稿ができあがった。最終プリントアウト!
プリンターのスイッチを入れる。お昼を食べてなかったんで、卵かけご飯をかきこむように食べていたその時、ピンポーンとインターフォンが鳴った。
今頃誰や!?と、モニターをのぞく。おばさんが映ってる。新聞の集金か?とよく見たら、お、お、お、おかあさーん!? えーっ!! こんな大切な時にーっ!!
携帯もしないで、突然来るなんて、滅多にないのに!! いつもなら、まあまあ、あがってと、お茶でも飲んで、世間話でもするとこやけど、タイムリミットまで、あと1時間しかない! そうだ、今日は悪いけど、時間がないねんとハッキリ言おう。そうだよしっと待ち構える。
玄関のチャイムが鳴る。「ごめん、今日は締め切りで時間がないねん」言ったのに、言ったのに、母はニヤニヤしながら、ずんずん家にあがってくる。ちょ、ちょっと、ちょっと! ドタバタの昼ドラやないねんから!!と思いながら、あとをついていく。
「なんか、あったん?」と聞くと、「いや、よしひろさんから、電話があって…」ドキッ!ドキーッ!! また、悪妻ぶりを告げ口された!?(←過去に数回あり)「そ、それで?」「いや、何回電話しても、携帯にも家にもつながれへんからって…」
「うっそーっ!! 携帯ちゃんとオンにしてるよー」と叫んで、あっ!と思い当たった。今日は朝から、何回もファックスが流れてきては切れていた。こんな忙しい時に!!と思ってたけど、夫だったんだ。はー、そうかい、わかったから、お母さま、お引き取りを…とは言えない。
ソファーにすわりこんだんで、お茶を出す。原稿がどんどん刷り上がってくる。あー、早く声に出して音読しないと、間に合わない!! でも、まさか母の前で読むわけにもいかないんで、封筒に宛名を書いたり、ガムテープを探したり、ソワソワ歩き回る。母は、運動会のプログラムを見たり、そこらに転がってる雑誌などをパラパラとめくって、2時45分、やっと立ち上がった。たった15分が、どれだけ長く感じられたことか。母を送りだし、はあ、やれやれとトイレに入ってると、またもピンポーン!とチャイムが鳴った。げーっ!!戻ってきたぁ!?とあわてて出ると、長女だった。長女の前なら、大丈夫。刷り上がってくる原稿を音読していく。思った以上に時間がかかる。3時15分。夫から電話。「あのー、青いふでばこ、忘れてなかったかなあ?」 な、なにーっ!! そ、それで、今日、何回も電話をかけてきてたのか!! 心配してくれてると思ってたのに!しかもこんな忙しい時に!! 怒りが何倍にもふくれあがるけど、それをぶつける前に、電波が悪くて、携帯が切れた。これ幸いと、そのままにして、音読の続き。ああ、こんなとこに来て、まだ気になる部分が出てくる。長女はすでに空手の胴着に着替え、自転車のカギを持って、待っている。ちょっと待ってね、もうすぐやからと言って、ギリギリまで直しては、プリントアウト。3時40分、原稿がすべてできあがる。トントンと束ね、クリップをして、封筒へ。神様に手を合わせて、急いで家を出る。長女を送って、郵便局へ。
4時2分、無事、投函。次女と三女を保育所へ迎えに行く。自転車の前と後ろに子供達を乗せると、足がガクガク震えてきた。燃え、つ、き、た。ガクーッ。

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