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月刊「光陽」編集部ー岩槻・光陽書道

・城下町・小江戸、小京都散歩
・古寺・仏教美術巡礼
・光陽書道教室(さいたま市岩槻)の学習・教育日記

良寛釈文

2020年02月24日 | 聖風が編集「光陽」

38雑詩巻 良寛 紙本二七・二×二五四糎

 「天気稍和調」に始まる詩から「粲々倡家女」に始まるまで、長短三十六篇の詩から成る一巻である。

越後、与板町の庄屋新木屋に伝わっていたものであるが、非常に緊張した態度で書かれている。

というのも、新木屋は良寛の父以南の出た家で、そこに贈るための執筆であったからであろう。

詩はいずれも五合庵在住時代のもので、書かれたのはその時代の末期、良寛五十五、六歳ごろかと想像されている。

ともかく、良寛の細楷を見るには好適の遺墨である。

 

 余家有竹林  冷々數千干

 筝逬全遮路  梢高斜拂天

 經霜陪精神  隔烟轉幽間

 宜在松柏列  那此桃李妍

 竿直節彌高  心虚根兪堅

 愛爾貞清質  千秋希莫遷

 

 四大方不安  累日倚枕衾

 牆頽積雨後  窓寒脩竹陰

 幽徑人跡絶  空階蘚華深

 寥落有知此  何因慰我心

 

44 45 書簡 由之宛

良寛 東京国立博物館

紙本 一六・二×八五・七糎 

 和歌をそえて蒲圑を贈ってよこした弟由之に対する礼状で、初めに近況を報じ、つぎに長歌一首並びに反歌一首、最後に返歌二首をしたためている。

書風から見ると、良寛晩年に近いもののようである。

 

ふとんたまはりうやうやしくおさめまいらせ候。春寒信に困り入候。然ども僧は無事に過候。ひぜむも今は有か無かになり候。

かぜまぜに、雪はふりきぬ、雪まぜに、風はふきゝぬ、うづみびに、あしさしのべて、つれづれと、くさのいほりに、とぢこもり、うちかぞふれば、きさらぎも、ゆめのごとくに、すぎにけらしも

つきよめはすでにやよひとなりぬれどぬべのわかなもつまずありけり

 みうたのかへし

極楽の蓮のうてなをてにとりてわれにおくるはきみが神通

いざさらばはちのすのうへにうちのらむよしや蛙と人はいうとも

 やよひ二日

由之老 良寛

 


新字と旧字

2020年02月19日 | 聖風が編集「光陽」

先月から研究科写真版点数が倍増しました。これまでの「手本に忠実に」から、さらに自分の工夫を加えた研究をと願う課題として出題しています。チャレンジ下さい。

▽保坂春翔先生の第一課題は、荘子を出典にした四字を素材の行草。大きな志を託して雄大な気持ちを表現しています。下段に簡単に参考書体を掲載しました。
 作品を制作するに当って、字典で調べる必要について度々注意喚起しています。なぜかと言えば、書道の世界で扱う漢字は、国際言語としての漢字文明圏共通の言語であるからです。何気なく使っている漢字は、実は戦後、日、中、韓などそれぞれの国の国民教育の必要から、それぞれの国で漢字の簡略化・大衆化に取り組んだ結果、中国では「簡体字」、日本では「新字体(しんじたい)」を制定した事情によります。これにより、各国で新しい文字を決める前の文字を「旧字」と呼んで区別しているのです。日本の「新字体」は、漢字の行書体及び草書体を活字体として楷書体化して、新字体として採用されたものがあります。圖→図、觀→観、晝→昼など。中国では台湾、香港は康煕字典体を正字として採用し、大陸は「簡体字」として独自の略字を採用しました。日本では1923年の『常用漢字表』に示された「略字」制定以降、1949年告示された『当用漢字字体表』などを経て、小・中宇学校では漢字教育をしていますが、古い伝統に基づく書道の世界では正字が作品制作では求められるからなのです。▽第二課題の萩原青峰課題は、李白の「早発白帝城」の後半の二句。朔雲先生が求めた日本の情趣を求めた課題です。美しい墨色にチャレンジしてほしいものです。▽作村光風の第三課題は、小野小町の名歌を素材としました。潤滑のコントラストと、余白の空間を生かした課題としました。


「北斎/HOKUSAI 2020」展(7月18日(土)~8月30日(日)東京ミッドタウン・ホールにて)

2020年02月17日 | 聖風が編集「光陽」

特別展「北斎/HOKUSAI 2020」実行委員会は、

2020年の葛飾北斎の生誕260年を<wbr />記念して
世界で最も有名な日本の絵師・葛飾北斎の圧倒的な世界を、

実物×<wbr />デジタルで深掘りし、体感する
空前絶後の展覧会を、

7月18日(土)から8月30日(日)まで

<wbr />東京ミッドタウン・ホールにて
開催いたします。

本展では、葛飾北斎の画業の極みを、

万象を描くこと=《北斎漫画<wbr />》、
富士を描くこと=《冨嶽三十六景》《富嶽百景》と考え、

《北斎漫<wbr />画》全883頁、
《冨嶽三十六景》全46点、

《富嶽百景》全102図を通期で展示<wbr />し、
それぞれの画業の深みをかつてない規模で紹介します。

さらに、世界最高峰の文化財デジタルアーカイブ実績を誇る凸版印<wbr />刷が取得した
葛飾北斎作品の超・高精細なデジタルアーカイブデータを用い、

肉<wbr />眼では不可能な細部の鑑賞などから
作品の深みや描いた意図を体感的・直観的に学べる、

没入型の大型<wbr />デジタル展示を行い、
来館者と作品との新しい出会いのかたちを創造します。


魯山人館開館記念展 -新収蔵品を含む名品を一挙公開-

2020年02月12日 | 聖風が編集「光陽」

魯山人館開館記念展
-新収蔵品を含む名品を一挙公開-
「美の創造者 北大路魯山人―新収品を含む名品を一堂に―」

会期=4月1日(水)-6月30日(火)
会場=足立美術館 魯山人館 (本館内)
開館時間=9時~17時30分
休館日=年中無休 (6月16日〈火〉は新館のみ展示替えのため休館)
入館料金=大人2,300円、大学生1,800円、高校生1,000円、小中生500円 (各種割引制度あり)
※ 本料金で日本庭園や本館・新館で開催中の展覧会など、すべてご覧になれます(魯山人館のみの入館はできません)

足立美術館は2020年11月3日(火・祝)に開館50周年を迎えます。これを記念し、当館が所蔵する北大路魯山人(1883~1959)の作品を展示する専用の施設「魯山人館」を4月1日(水)に開館いたします。
 開館に合わせ、4月1日(水)から6月30日(火)まで、魯山人館開館記念展「美の創造者 北大路魯山人 -新収蔵品を含む名品を一挙公開-」を開催いたします。
 本展は、当館が誇る国内屈指の魯山人コレクションから厳選した120点を展示するものです。魯山人は書画や篆刻、陶芸や漆芸などの幅広い分野で才能を発揮し、優れた芸術作品を生み出しました。本展では、陶芸の代表作とされる「金らむ手津本」や「椿鉢」、刻字看板の傑作「淡海老鋪」といった各分野の傑作を展示します。さらに、新たにコレクションに加わった「いろは屛風」「武蔵野」「桃山風椀 十人」などの新収蔵品50余点も当館で初公開します。

魯山人の作品を常時120点前後展示する、国内で唯一の施設となる。

 

○北大路魯山人 「淡海老鋪」は、大正2年(1913) 縦76.0×横273.0cm 足立美術館蔵
大正2年、福田大観と名乗っていた魯山人は近江長浜の紙問屋・河路豊吉に招かれ、書や篆刻を
制作。長浜滞在をきっかけに、多くの支援者を得て作品を遺した。本作は、その河路の依頼で彫ら
れたもの。若き日の記念碑的な作品であり、魯山人の刻字作品の中でも傑出した出来栄えを示す。

○ 北大路魯山人 「かに平向 六人」昭和34年(1959)頃
高3.7×径17.8cm 足立美術館蔵
信楽の土を鞍馬石で叩いて作り出した器肌に、
鉄絵でユーモラスな蟹を一匹、大きく描いている。
それぞれの蟹の動きが異なり、魯山人の作品の
中でも最も愛らしい一作。

○北大路魯山人 「そめつけ詩書花入」昭和15年(1940) 高36.9×径26.2cm 足立美術館蔵
白い器肌に、呉須で描かれた詩文が美しく映える花入。文字の輪郭線を引
き、その内側を色で埋める籠字(かごじ)という技法で彩った器は、書と陶芸
に天与の才を示した魯山人ならではのもの。

○北大路魯山人 「いろは屛風」昭和28年(1953) 各 縦166.7×横364.8cm 足立美術館蔵
六曲一双の屛風に「いろは歌」を一文字ずつ、淡墨をたっぷりとふくませた筆で大胆に書い
ている。文字にはたらし込みに似た独特のにじみの効果が表れており、魯山人の能書家と
しての一面を垣間見せる。魯山人70歳の時のもので、晩年の書の代表作として知られる。