964
つかさとけて侍りける時よめる
平さだぶん
うき世には(者)か(可)どさせりともみえ(衣)なくに などか(可)わが(可)身のいでが(可)てにす(春)る
司が解けていた時に詠んだ歌
憂き世には、門を閉ざしたと、思わないのに、どうして我身が外出しかねているのかな……浮き夜では門を閉ざしたと思われないのに、どうして我身が浮き夜を抜け出せないのだろう。
「司解けて侍りける時…解任されていた時…引継ぎ終え解由状得たりして宮仕えを解放された時」。「うき世…憂き世…つらい俗世…浮き夜…ものに耽る浮かれた夜」。