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月刊「光陽」編集部ー岩槻・光陽書道

・城下町・小江戸、小京都散歩
・古寺・仏教美術巡礼
・光陽書道教室(さいたま市岩槻)の学習・教育日記

隅寺心経と温泉銘

2019年09月24日 | 聖風が編集「光陽」

隅寺心経(すみでらしんぎょう) 伝空海(774-835)

「隅寺」は、奈良時代に平城京の東北にある藤原不比等の館の一部に建てられた海龍寺の別名です。唐から帰国したりゅうん学生により、天平七年(735)に五千余巻の一切経が納められたため、多くの学僧がかようようになり、空海がこの寺で「心経」(般若心経=大般若の要点を簡潔にまとめたもの)を千巻書写したと伝えられている。そのため、この寺に伝わる奈良時代の心経をすべてを「隅寺心経」と呼び、空海に手になる書と伝えられた。古くから般若心経のお手本として用いられ、現在は京都国立博物館に収蔵されている。

特徴として、①筆の弾力を利かせ、きりりと引き締まり歯切れがいい。②楷書のなかでも写経体といわれる独特な異体字が用いられている。③整然として美しい、楷書の奥義を学びたい。

温泉銘(おんせんめい) 唐太宗(598-649) 

温泉銘(648)は、日本に最も大きな影響を及ぼした、唐の太宗皇帝が、有名な驪山温泉(華清池)に離宮を置き、太宗自ら撰文し、筆を執り、石碑としたもの。華清池は、後の玄宗皇帝と楊貴妃が過ごし、白居易の「長恨歌」にも詠まれた。石碑は、昭陽門の碑廊ないに建てられたが、宋時代には失われ、20世紀初頭、フランスの冒険家ペリオによって、世界遺産・敦煌の蔵経堂より持ち出されたく本のみが(唐拓孤本)のみが、フランス国立図書館に残されている。

 特徴として、①表現力豊かな行書体で、ゆったり大きく書かれている②筆の抑揚と俯仰法を駆使した筆遣い③一国のになったつもりで、ダイナミックに豊かに描き上げるとよい。