インド映画の平和力

ジャーナリストさこう ますみの NEVER-ENDING JOURNEY

テルグ語映画『RRR』について、そろそろ「本当の話」をしよう④ ヒンドゥ右翼の影その3 「ラーマ神のよそおい」と「武器の獲得」

2022年11月26日 | インドの政治と司法
 テルグ語映画『RRR』の観客リアクションをチェックしていると、感知能力というか鑑賞センスの良さに感心するものが散見される。  それらの発信者は、インドについてほとんど知らない、インド映画もあまり見たことがないのが明らかなのだが、本編の主要な裏メッセージのひとつを察知し、違和感や抵抗感を覚えている。  何に対してかというと、ラーマの真の目的とその遂行に対してである。  たとえば、ビームが公開鞭打 . . . 本文を読む

ヒンドゥ右翼によるインド映画界封じ込め工作:番外編

2022年11月16日 | インドの政治と司法
WHEN THE HINDU RIGHT CAME FOR BOLLYWOOD (ヒンドゥ右翼、ボリウッド襲来) 『New Yorker』2022年10月10日付、タイトルはオンライン版  本記事の表題「ヒンドゥ右翼によるインド映画界封じ込め工作」は、数年前から書かねばならないと考えていた問題だ。  この『New Yorker』の記事に、私が摘出しようとしている要素はあまり含まれず、論旨の展開と . . . 本文を読む

テルグ語映画『RRR』について、そろそろ「本当の話」をしよう③ ヒンドゥ右翼の影その2 アイテムナンバー「Sholay」の裏メッセージ

2022年11月13日 | インドの政治と司法
 先に Einthusan.tv で『RRR』を見始めて20分で挫折した、展開に予想がついたからだと書いた。具体的には、オリジナルのストーリーでも何でもない、古代叙事詩『ラーマーヤナ』の、インドに腐るほどある翻案にすぎないと感じたからである。  こちらにまとめてある『ラーマーヤナ』サビの部分を参照してもらいたい。  警察官ラーマはラーマ王子、ゴンド族のビームが王子の従者である半神ハヌマン、魔王に . . . 本文を読む

テルグ語映画『RRR』について、そろそろ「本当の話」をしよう② ヒンドゥ右翼の影 ☆追記あり

2022年11月12日 | インドの政治と司法
 先に紹介したヒンディ語映画『Sardar Udham』〈殉士ウッダム、2021〉もそうだが、英国植民地支配と闘うフリーダムファイター(独立運動の闘士)を描くインド映画は、過去にたくさんつくられてきた。ここで念頭に置くのは商業娯楽映画をもちろん含めた劇映画で、便宜的に「独立運動映画」と呼ぶ。  それらを熱心に追ってきた立場からすると、テルグ語映画『RRR』は、凡庸で退屈な作品である。というより、 . . . 本文を読む

テルグ語映画『RRR』について、そろそろ「本当の話」をしよう

2022年11月11日 | インドの政治と司法
 過去にも同じようなことを書いたが、日本映画がサブカルチャーであるのに対して、インド映画はメインカルチャーである。日本映画が、日本の政治や社会、人びとの意識や生活に影響を及ぼすことはまずないが、インド映画は良くも悪くもインドの現実を大きく動かす。  だからこそ、インドの政治や司法、近現代史や社会問題への理解なくして、インド映画のレビューや批評はまともにできないというのが、私の持論だ。  公開中の . . . 本文を読む