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インド映画の平和力

ジャーナリストさこう ますみの NEVER-ENDING JOURNEY

祝!『主人公』日本初上映:サタジット・レイ監督に「彼のようなヒーローは未来永劫現われないだろう」と言わせたウットム・クマール(Uttam Kumar)

2023年01月08日 | ベンガル語映画
 日本におけるインド映画輸入の惨状を見るにつけ、自分が生きているうちに、いや、現世にいとまごいを告げたあとでも、こういう日が来るとは思ってもみなかった。  感無量だ。  サタジット・レイ監督、ウットム・クマール主演の『主人公』〈Nayak,1966〉が、「アカデミー・フィルム・アーカイブ 映画コレクション」で日本初上映中である。  場所は、東京都中央区にある国立映画アーカイブの小ホール。  上映 . . . 本文を読む

1990年に起きた “女子高校生レイプ殺人事件”:無実をうったえ続けた死刑囚の実話に基づく『Dhananjay』〈ドノンジョイ、2017〉③ ドノンジョイのインタビュー

2022年05月03日 | ベンガル語映画
 日本でも映画祭などで上映されてきた『熱風』〈Garm Hava、1974〉という劇映画がある。タージマハル廟で知られる、北インド・アグラを舞台に、印パ分離独立が迫るなか、インドにとどまるかパキスタンへ向かうか逡巡するムスリム家族を描いたクラシックだ。  インド映画ファン歴が長い観客には、『熱風』といえばM・S・サティユー(M. S. Sathyu)監督と条件反射に出るほど有名である。  その . . . 本文を読む

1990年に起きた“女子高校生レイプ殺人事件”:無実をうったえ続けた死刑囚の実話に基づく『Dhananjay』〈ドノンジョイ、2017〉②

2022年04月30日 | ベンガル語映画
 洋の東西を問わず、冤罪事件には、捜査機関の予断と偏見がつきものだ。  ドノンジョイ事件も例外ではない。そして、この事件に特徴的なのは、被害者家族、とくにドノンジョイを犯人だと名指しする被害者の母親の主張に、警察が全面的に依存していたことである。  2015年7月、インド政府の Law Commission(司法委員会)が死刑制度の是非を問う公聴会を開催した。  それと時を同じくして、Peopl . . . 本文を読む

1990年に起きた “女子高校生レイプ殺人事件”:無実をうったえ続けた死刑囚の実話に基づく『Dhananjay』〈ドノンジョイ、2017〉

2022年04月30日 | ベンガル語映画
 4月23日、NHK BS1スペシャル「正義の行方〜飯塚事件 30年後の迷宮〜」が放映されていたのに気づいた。私はまだ見ていないが、冤罪の可能性が非常に高い飯塚事件の再審請求の進展には、常に注目している。    かつ、いつも連想してしまうのが、飯塚事件の2年前にインドで起きた事件である。  ベンガル語映画『Dhananjay』〈ドノンジョイ、2017〉は、1990年3月、インド・西ベンガル州都カ . . . 本文を読む

日本映画『すばらしき世界』(2021)を見た方にも、そうでない方にも;『Muktodhara』〈自由の流れ、2012〉と短編ドキュメンタリー『The Jail』〈監獄、2009〉

2022年02月06日 | ベンガル語映画
 本ブログでは、インド・西ベンガル州の映画界を「ベンガル語映画界」としている。  バングラデシュの映画界も同じベンガル語を使う映画界ではあるが、南アジアに馴染みのない日本の観客の混乱を避けるため、こちらは「バングラデシュ映画界」とカテゴライズしている。  そして「ベンガル語映画の平和力」も「バングラデシュ映画の平和力」も、さらにこれから展開していかなければならない。やるべきことはたくさんある。 . . . 本文を読む