前回の続きである。
武藤友治氏は、大阪外国語大学インド語学科(当時)でヒンディ語を学び、卒業した1953年、外務省に入る。以後40年、ロンドン(英国)、ロサンゼルスおよびボストン(米国)を除いて、ほとんどをインドで費やした。ニューデリー、カルカッタ(現コルカタ)、ボンベイ(現ムンバイ)各公館での勤務を通算すると18年。
ボンベイ総領事(Japanese Consul-General in . . . 本文を読む
与党・インド人民党(BJP)や、その母体 RSS(民族奉仕団)に象徴されるヒンドゥ右翼による、インド映画界、とりわけ最大のボリウッド(ヒンディ語映画界)を、完全な骨抜きにする、もしくは封じ込めようとする動きについては、これまでもたびたび言及してきた。
それは、2014年に成立した第1次モディ政権下では、相対的に水面下で進行していたが、2019年からの第2次モディ政権以降、さまざまなかたちであ . . . 本文を読む
先日、近い将来インド映画界は「ヒンドゥ神話専門映画界」になってしまうのではないかと書いたが、より正確には、ヒンドゥ右翼の好みに合った「ヒンドゥ神話プロパガンダ映画界」ということである。
その意味合いで、2023年のインド映画界も、年明けから気が滅入りそうな作品が公開される。
本来は今年8月公開だったようだが、『Laal Singh Chaddha』〈ラール・シン・チャッダ〉というビッグタイ . . . 本文を読む
前回の続きである。
「タタ・モーターズの奇跡」は何を導いたか。手近なところでティースタ・セタルワルの著作『Foot Soldier of the Constitution: A Memoir』から引く(P.133)。
After the Tata’s embrace of Modi, the Ambanis of the Reliance group, Shashi Ruia of the E . . . 本文を読む
前回の末尾で、ヒンドゥ右派勢力が有する莫大な資金力について触れたので、その観点から、インドの巨大財閥が2000年代半ばに果たした役割を書いておきたい。
2014年のインド総選挙、現与党インド人民党(BJP)が勝利し、第1次モディ政権成立にいたった当時の選挙キャンペーンで、盛んにアピールされたのが「タタ・モーターズの奇跡」だった。
インド筆頭の財閥で、多国籍・多角的に事業展開するタタ・グル . . . 本文を読む