この6月、東京・京橋にある国立映画アーカイブ(NFAJ)が「NAFJ所蔵外国映画選集2021」の一環として『2エーカーの土地』〈Do Bigha Zamin、1953〉を再上映していた。
詩聖ラビンドラナート・タゴールの詩文学から着想し、イタリア・ネオリアリズモの代表作『自転車泥棒』〈1948〉にもインスピレーションを得た、ヒンディ語映画黄金時代のクラシックである。
西ベンガル州の農村を舞 . . . 本文を読む
サタジット・レイ監督生誕100周年を見た5月2日、ニューヨークを拠点に活動してきた、インド系のベテラン映画ジャーナリスト、アシーム・チャブラ(Aseem Chhabra)が「When Satyajit Ray got UPSET」(サタジット・レイ監督の叱責)というコラムを、『Rediff.com』に寄せていた。
スティーヴン・スピルバーグ監督の大ヒット作『E.T.』〈1982〉と『未知との . . . 本文を読む
この6月から7月にかけて、東京・大阪・愛知で上演中の輸入ミュージカル『マタ・ハリ』関連のニュースをたまたま目にして思った。
ベルナルド・ベルトルッチ監督『ラストエンペラー』〈伊・中・英・仏・米、1987〉での描かれ方が、よくも悪くも記憶に残る川島芳子にしても同じことがいえるが、“世紀の女スパイ”のように語られるマタ・ハリに、わざわざミュージカルにするほどの実質があったのか。
もっとも、私に . . . 本文を読む
今年はサタジット・レイ監督生誕100周年でもあるので、日本未公開作品から異色のエンターテインメントを紹介しておきたい。
『Chiriakhana』〈動物園〉という1967年のミステリ映画で、オーセンティックなフーダニットである。
以前にも書いたが、レイ監督自身、みずから生みだした名探偵フェルダーを主人公にしたミステリシリーズを書いており、一部は映画化した。
本作のほうは、フェルダーと負けず . . . 本文を読む
前回に触れた、『グリード ファストファッション帝国の真実』と合わせで見ることを積極的に勧めたい作品とは、『Bostrobalikara: Garment Girls of Bangladesh』〈衣料品産業で働く女性たち、2007〉である。
劇場用ではなくテレビ用につくられた、バングラデシュのドキュメンタリーだ。
ふと気づけば、今年はバングラデシュ独立50周年。
ボリウッド映画(インド . . . 本文を読む