洋の東西を問わず、冤罪事件には、捜査機関の予断と偏見がつきものだ。
ドノンジョイ事件も例外ではない。そして、この事件に特徴的なのは、被害者家族、とくにドノンジョイを犯人だと名指しする被害者の母親の主張に、警察が全面的に依存していたことである。
2015年7月、インド政府の Law Commission(司法委員会)が死刑制度の是非を問う公聴会を開催した。
それと時を同じくして、Peopl . . . 本文を読む
4月23日、NHK BS1スペシャル「正義の行方〜飯塚事件 30年後の迷宮〜」が放映されていたのに気づいた。私はまだ見ていないが、冤罪の可能性が非常に高い飯塚事件の再審請求の進展には、常に注目している。
かつ、いつも連想してしまうのが、飯塚事件の2年前にインドで起きた事件である。
ベンガル語映画『Dhananjay』〈ドノンジョイ、2017〉は、1990年3月、インド・西ベンガル州都カ . . . 本文を読む
ガンガ、ジョムナ(ブラマプトラ)、メグナの3大河川が貫く、広大なデルタ地帯に位置するバングラデシュ。その名物のひとつだったのが、定期運行のロケットスティーマー(外輪船)である。ゆったりと大河をわたっていくその様子は、地元の人間にはむかしから当たり前すぎるものだったが、観光客が増えはじめた2000年代以降、呼び物企画にするツアー会社も多かった。
『Komola Rocket』〈コモラロケット、2 . . . 本文を読む
先に紹介したカシミール紛争関連の劇映画からもうひとつ、『Lamhaa』〈その瞬間、2010〉について。
本作の Rahul Dholakia(ラフール・ドラキア)監督は、グジャラート大虐殺(2002年)で息子が行方不明になった、拝火教徒(パールシー)の友人の実体験を元に、『Parzania』〈パルザニア、2007〉という劇映画をつくり、高く評価された。
友人一家は、ムスリムが集住するコロニ . . . 本文を読む
この記事である。
「なぜアメリカはウクライナ戦争を愛しているのか」を報道したインドのTVにゼレンスキーが出演」(2022年4月17日付)
これに対して、このようなツイートを見かけた。
私はこのツイート主をまったく知らない。だが、アルナブ・ゴースワミ(Arnab Goswami)と彼の Republic TV に関する指摘はまったくもって正しい。
問題は、このような常識的な反応をするだ . . . 本文を読む