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インド映画の平和力

ジャーナリストさこう ますみの NEVER-ENDING JOURNEY

1990年に起きた“女子高校生レイプ殺人事件”:無実をうったえ続けた死刑囚の実話に基づく『Dhananjay』〈ドノンジョイ、2017〉②

2022年04月30日 | ベンガル語映画
 洋の東西を問わず、冤罪事件には、捜査機関の予断と偏見がつきものだ。  ドノンジョイ事件も例外ではない。そして、この事件に特徴的なのは、被害者家族、とくにドノンジョイを犯人だと名指しする被害者の母親の主張に、警察が全面的に依存していたことである。  2015年7月、インド政府の Law Commission(司法委員会)が死刑制度の是非を問う公聴会を開催した。  それと時を同じくして、Peopl . . . 本文を読む

1990年に起きた “女子高校生レイプ殺人事件”:無実をうったえ続けた死刑囚の実話に基づく『Dhananjay』〈ドノンジョイ、2017〉

2022年04月30日 | ベンガル語映画
 4月23日、NHK BS1スペシャル「正義の行方〜飯塚事件 30年後の迷宮〜」が放映されていたのに気づいた。私はまだ見ていないが、冤罪の可能性が非常に高い飯塚事件の再審請求の進展には、常に注目している。    かつ、いつも連想してしまうのが、飯塚事件の2年前にインドで起きた事件である。  ベンガル語映画『Dhananjay』〈ドノンジョイ、2017〉は、1990年3月、インド・西ベンガル州都カ . . . 本文を読む

ファストファッション愛用者の臓腑をねじり上げるラスト10分;『Komola Rocket』〈コモラロケット、2018〉

2022年04月23日 | バングラデシュ映画
 ガンガ、ジョムナ(ブラマプトラ)、メグナの3大河川が貫く、広大なデルタ地帯に位置するバングラデシュ。その名物のひとつだったのが、定期運行のロケットスティーマー(外輪船)である。ゆったりと大河をわたっていくその様子は、地元の人間にはむかしから当たり前すぎるものだったが、観光客が増えはじめた2000年代以降、呼び物企画にするツアー会社も多かった。 『Komola Rocket』〈コモラロケット、2 . . . 本文を読む

『Lamhaa』のクライマックス:ジャンムーで「難民」生活を強いられるカシミール・パンディットに帰還を呼びかける元ミリタント

2022年04月19日 | ボリウッド
 先に紹介したカシミール紛争関連の劇映画からもうひとつ、『Lamhaa』〈その瞬間、2010〉について。  本作の Rahul Dholakia(ラフール・ドラキア)監督は、グジャラート大虐殺(2002年)で息子が行方不明になった、拝火教徒(パールシー)の友人の実体験を元に、『Parzania』〈パルザニア、2007〉という劇映画をつくり、高く評価された。  友人一家は、ムスリムが集住するコロニ . . . 本文を読む

アルナブ・ゴースワミと Republic TV の体質にまったく触れず、あたかも信頼できる情報源のように伝える Yahoo!ニュースの危険

2022年04月18日 | プロパガンダ
 この記事である。 「なぜアメリカはウクライナ戦争を愛しているのか」を報道したインドのTVにゼレンスキーが出演」(2022年4月17日付)  これに対して、このようなツイートを見かけた。  私はこのツイート主をまったく知らない。だが、アルナブ・ゴースワミ(Arnab Goswami)と彼の Republic TV に関する指摘はまったくもって正しい。  問題は、このような常識的な反応をするだ . . . 本文を読む