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インド映画の平和力

ジャーナリストさこう ますみの NEVER-ENDING JOURNEY

バングラデシュ・レストラン襲撃事件を描く『Faraaz』〈ファラーズ、2023〉で、ハンサル・メータ監督は何が言いたかったか

2023年06月11日 | ボリウッド
 2016年7月1日にバングラデシュ・ダッカで起きたレストラン襲撃事件を描くヒンディ語映画『Faraaz』〈ファラーズ、2023〉。  2月のインド公開時に少し触れておいたが、その後 Einthusan にもアップされたので、既見の読者も多いかと思う。  この間、インドの批評家たちのレビューを多少チェックしていた。いちおう好評価はしているものの、全体的に通り一遍という印象だ。  他方、「なぜイ . . . 本文を読む

Ram Mohammad Singh Azad と名乗ったフリーダムファイターの生涯を描く『Sardar Udham』〈殉士ウッダム、2021〉

2022年09月11日 | ボリウッド
 9・11米国同時多発テロ事件の直後から多発した、ヘイトクライムによる殺人事件の最初の被害者は、報道された限りではシク教徒男性だった。ターバンによって、ムスリム、すなわち同時多発テロの主犯とされていたサウジアラビア人、オサマ・ビンラディンの “同類” と誤解されたためだった。  シク教徒男性にとってのターバンは、教義上の義務であるし(ただし、さまざまな事情からまとわない者もいる)、その形状は独特 . . . 本文を読む

『Lamhaa』のクライマックス:ジャンムーで「難民」生活を強いられるカシミール・パンディットに帰還を呼びかける元ミリタント

2022年04月19日 | ボリウッド
 先に紹介したカシミール紛争関連の劇映画からもうひとつ、『Lamhaa』〈その瞬間、2010〉について。  本作の Rahul Dholakia(ラフール・ドラキア)監督は、グジャラート大虐殺(2002年)で息子が行方不明になった、拝火教徒(パールシー)の友人の実体験を元に、『Parzania』〈パルザニア、2007〉という劇映画をつくり、高く評価された。  友人一家は、ムスリムが集住するコロニ . . . 本文を読む

カシミール関連のお勧め劇映画:筆頭は『No Fathers in Kashmir』、甘さはあるが『Hamid』、誠意を感じる『Lamhaa』と『…Yahaan』、KP エクソダスでは『I Am』

2022年04月08日 | ボリウッド
『The Kashmir Files』関連のインド報道のなかに、「本筋の議論から離れるが、そもそもカシミールを描いた劇映画に、これまで、どれだけまともなものがあったか」という趣旨の記事を見かけて、主だった作品だけでも挙げておきたくなった。 『No Fathers in Kashmir』〈カシミールに父はいない、2019〉  劇映画で最初の1本と言うなら、現時点ではこれを措いてない。  アシュウィ . . . 本文を読む

トランスジェンダーの存在を真正面から肯定する『Chandigarh Kare Aashiqui』〈チャンディーガルで恋が生まれる、2021〉

2022年01月22日 | ボリウッド
 本国では2021年12月にリリースされたばかりの『Chandigarh Kare Aashiqui』〈チャンディーガルで恋が生まれる、2021〉。  日本では『盲目のメロディ~インド式殺人狂騒曲~』(2018)で知られる、アーユシュマーン・クラーナー主演の最新作。  監督は名作『わが人生3つの失敗』(2013)のアビシェク・カプール。編集は『Main Madhuri Dixit Banna C . . . 本文を読む