前回の記事に例示した、『カーマ・スートラ 愛の教科書』ほかインドを舞台にした欧米映画は、すべて「オリエンタリズム映画」である。
この「オリエンタリズム」とは、一般にいう東洋学とか東洋趣味のことではない。パレスチナ系米国人研究者、エドワード・W・サイード(Edward Wadie Said; 1935-2003)が1978年に発表した論考『Orientalism』の意味合いで使っている。
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最近読んでいる仕事関係の資料をきっかけに、ミーラー・ナーイル監督『カーマ・スートラ 愛の教科書』(Kama Sutra: A Tale of Love、英=印、1996)について少し調べなおした。見たことさえ、なかったことにしたいほどの愚作であるが。
そういう評価は変わらないのだが、いまさらながらに「発見」があった。
その部分を書く前に順序立てで話すと、1997年7月22日にロードショー公 . . . 本文を読む
本ブログで何度も書いてきたが、インド内閣府直属の Research and Analysis Wing(RAW; 調査分析局)は、インド情報機関のなかでも Intelligence Bureau(IB; 情報局)と双璧をなし、とくに対外活動を所管する機関である。
そういう機関の元トップが、ある映画についてプロパガンダだと言明するのを聞いて、常識的にはどう考えるか。
「その映画には公権力が隠蔽 . . . 本文を読む
先日、9・11米国同時多発テロ事件(2001年)にまつわる映画のプレス試写を見ていて、以前に触れたヒンディ語映画『シャヒド』(①②)の1シーンを思いだした。
そこから、「9・11」と「11・26」(ムンバイ同時多発テロ事件、2008年)との「関連」について、日本ではあまり報道されていない問題を展開しようと思ったのだが、その前に、字幕問題には触れておこう。
ここで言いたいのは、専業の字幕翻 . . . 本文を読む
ここ1年ほど、ナチスドイツ関係の映画記事を書く機会が多い。
これらのうち、『週刊金曜日』2017年7月7日号に掲載された『ヒトラーへの285枚の葉書』(独=仏=英、2016年)の監督インタビューを、ある読者が自身のブログで批判している。
筆者の大山千恵子氏は、人権団体「救援連絡センター運営委員」。
私は過去に法律学専門誌のスタッフライターを9年間つとめていたこともあって、いわゆる「代用監 . . . 本文を読む