さきち・のひとり旅

旅行記、旅のフォト、つれづれなるままのらくがきなどを掲載します。 古今東西どこへでも、さきち・の気ままなぶらり旅。

高田 日本最古の映画館

2020年05月13日 | 山陰・北陸日本海


さてこの日は高田に泊まります。まずは街歩きスタート。


高田の街は、このように道路に屋根がついています。これを雁木(がんぎ)と言います。
どこの家も庇(ひさし)を出していて、それで雪の深いときも人々は歩けるわけだ。


少し狭いところも、みんなこの造りです。江戸時代に雪国では広く日本中で見られた
そうですが、明治期になって少なくなったそうです。でもここ高田にはまだたくさん
残っているのです。


フム、言われてみるとあっちもこっちも。このあたりはドカ雪が降ると、建物の2階まで
来てしまいます。いまは除雪車があるけれど、むかしは大変だったのでしょう。


さてこちら「高田世界館」は、創業1911年、なんと100年以上続く日本で一番古い
映画館なのです。


見学のみでもOKですが、スケジュールを見ると、まもなく「プレッドウィナー」という
アニメ映画が上映される時間。そろそろ昼飯の時間なのですが、見てしまうとランチ・
タイムは終わってしまう。しかも映画は、戦時下で少女が苦労する話だとか。

ウーム、私はかなりの泣き虫で、むかし「火垂るの墓」を見てしまったときは、ひどく
号泣し、そのダメージは何年も続いたからなあ。。。耐えられるだろうか?


少し迷ったが、せっかくここに来たのだから見ていくことにした。


ワー、年代を感じるなー。とても素敵。


映画館は3密とか言われるけれど、大丈夫。だって客は俺ひとりでしたから。
真ん中の席でひとりなんて、大相撲を見たトランプよりすごいな。


映画はアメリカ同時多発テロ後のアフガニスタンが舞台。タリバン政権下で、女性は
ひどく差別されており、ひとりで町を歩くのは禁止されていました。学校の先生だった
父親は職を失い、さらには刑務所に入れられてしまいます。残された家族、主人公の
少女に母親、姉、小さい弟だけでは、食料を買いに外にも出られません。

そこで11歳の少女は、髪を男の子のように短く切り、家族のために男の子として
ブレッドウィナー(食料を得てくる人)になって外に出るのです。

原作はカナダの女性作家、監督はアイルランドの女性という異色の作品です。

タリバンの圧政下にある閉じ込められた生活のなかで、語られるのが父から受け継いだ
少年の冒険物語。それを少女は幼い弟に語ってあげるのです。

はるか昔から、人間は寄り添って物語を語り継いできました。いま思い出すのは
ボッカチオの『デカメロン』。1348年にイタリアでペストが蔓延したことから、郊外の
屋敷へ避難した若者たちが、交代でいろんなお話を順番で披露します。スケベな話が多い。

私もフラフラと旅に出られないいま、次から次へと物語の世界のなかを彷徨っています。
言葉の世界は限りなく広く、いろんな人と出会って様々な経験ができますぞ。

「ブレッドウィナー」ですが、やはり泣かされました。でも最後は。。。ネタバレ禁止



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