さきち・のひとり旅

旅行記、旅のフォト、つれづれなるままのらくがきなどを掲載します。 古今東西どこへでも、さきち・の気ままなぶらり旅。

栃木 酒場を求めて彷徨う

2019年08月11日 | 関東甲信越



ホテルから北へ歩き、伝統的建築物群保存地区を通過してようやくたどりついた居酒屋は
やってなかった。この街には本当に店らしい店はなく、ホテルの反対側に行ったところに
ラーメン屋があるのは知っていたので、最後にゃそこで餃子&ビールか、と思いつつ
そちらへ向かう。途中でもこんなラーメン屋があったが、まだあきらめずに歩こう。
酒を求めて何千里、ときたもんだ。

吉田類は「酒場という聖地へ酒を求め彷徨う」なんて言っているが、あれは繁華街で
「どの店をはしごしようか」って彷徨っているんだよね?しかも毎回必ず最寄りの駅から
歩いてくるところから始まるけれど、絶対車で移動しているよね?俺は本当に歩いて
酒場を求めて彷徨ってんだよ、マジw



だから途中でこんなものも見られます。お~空き家か。玄関のツタがオサレ~。



栃木のマンホールは蔵と鯉ですか。まもなく日が暮れる時間に、だ~れもいないところで
ひとり地面の写真を撮って、俺は「クララと恋」がいいな~♪なんて思っている私は
不審者かー。ただ酒を飲むところを探しているだけなんですよー。



「パブレストラン」「洋食喫茶」といろいろ書いてあるけれど、やってなきゃしょーが
ねーっつーの。ホテルの最初歩き始めた反対側までやってきて、押さえのラーメン屋は
やっていることを確認。しかしあくまで酒を飲むところだっ。



あっちもこっちもやってなひ。



そこでようやく!「酒処」という明かりのついた看板を発見。つるっときたオッサンが
とんかつ!なんて言ってて微妙だけれど、とにかく酒は出すだろう。



かれこれ1時間近く彷徨った。まずはビールである。このあと酒を飲んで最後は「日本一」
と豪語するとんかつですか。それならつまみは軽くせねばなるまいと、「鳥の竜田揚げ
3ケ」という最小のものを注文した。

他に客もいないし、流れ者だとバレバレなので、ママさんが話しかけてきた。栃木市には
居酒屋が全然ない、と言ったら、「車で10分くらい行ったところにちらほらあるんです」
ときたもんだ。これだけ大きな街なので、居酒屋をやれば需要があるだろうに、と言うと
「この街では、どこの誰がやっているというふうに血縁などがないと、誰も行かない」
ということでした。。。

この先にスナックを家族経営でやっているというので、「ではそこに行きますよ」と
いうと、「定休日w」ということでした。「それならこの街のレジェンドばーさんが
やっているような店がないですか。昔の話を聞くのが好きなんです」と言うと、「それ
ならばーちゃんを呼んできますよ」というお話。「わざわざ?どこから?」と聞いている
そばから「すぐ裏!」と出て行きました。すると数分でばーちゃん登場!

「腰が曲がっているから老けて見えるけど、まだ80!」というおばーさんが私の目の
前に座りました。日本酒がお好きということで、瓶を注文(もちろん私のおごりです)。
こちらは芋焼酎で乾杯。思わず面白くなってきましたよー。

この街は以前、石灰の商いで潤い、このすぐ近くには遊郭やら置屋やらがあり、大変
賑やかだったという歴史、このご家族4世代の話などに花が咲きました。プライベートな
逸話はここで公表できないので残念(^益^;


                上:赤ちゃんだった店主さんを抱いているのがばーちゃん。

しかしこのばーちゃんの旦那さん、大変な粋人で、店には9つもの水槽を持っており、
海水魚も飼っていた。夜中に車で海まで行き、釣った魚を水槽で育てて店に出していた
という。とんかつ屋ですぜ?しかし育てていたら次第に情が移り、さばくことが出来なく
なって、大きくなったら海水の水槽を乗せた車で海まで放しに行ったという。魚たちは
放流しても、しばらくは離れて行かなかったとか。

ばーちゃんは日本酒を一本飲み切り、俺もだいぶ焼酎を頂きましたが、とんかつを頑張る
よりも途中で通過したラーメン屋で〆るかと思って出ることにしました。飲んでばっかり
いて食ったのは唐揚げ3ケ!



さあてまだやってるよな?とラーメン屋に行ってみたら、そこは中華がメインであるが
オリジナルカクテルやら酒のラインナップが充実したところではないか。イチローズ
モルトまで置いてある。「酒あるよ!」と言ってくれなきゃわかんないでしょー!



迷った挙句、栃木の地酒でスタート。



この店のお勧め、「辛子ニラそば」。地酒を続けて頂く。たっぷり飲んだー。この街を
長々と彷徨ったけれど、なかなかいい店に続けて入れたじゃないか。

お支払いのときに、やはり若い御主人からいろいろと話しかけられる。他に客もいなかった
ですから、思わず帰り際に立ち話が始まった。とんかつ屋さんのご家族もよおくご存じ
でした。どちらの店にも「是非また今度」と言われました。全然酒を飲ませる店がない、
居酒屋がないという、「二度と来ないぞ」モードで始まりましたが、この街には常連に
なりたい良い
店、とんかつ屋とラーメン屋(実はナイスな酒場)がありました。
いつかまた(^益^)b