読書の秋。このところ、陰陽道や宇宙に生命現象などの少々かたい本を読んでいたから、数日前からは、自分の手のひらのようにしっくりなじんだ本を読み返している。本屋で面白そうな新作を探すのも楽しいけれど、これといったものが見つからない時は、部屋の書棚の目につく場所に並べたなじみ本を手に取るのだ。
なじみの第一はやはり藤沢周平。内容で分類すると、実在の人物を扱った「史伝」ものから、市井の江戸庶民を扱ったもの、剣豪ものなどにわかれるが、どれをとってもハズレがないのが、ファンとしては嬉しい。剣豪がお家騒動で脱藩し、長屋暮らしをしながら陰謀をあばく、といった中身盛りだくさんの作品「用心棒シリーズ」は今年すでに3回も読み返した。
ストーリーも人物描写もすっかりわかっているのに、読みなおすたびに面白い。読書の楽しみを満喫させてくれる作品がたくさんある。で、今は短編連作集の「橋ものがたり」を読んでいる。この中の「吹く風は秋」という作品などはまさに今の季節に最適。終末近くの一部はこんな具合。
「日が立ち上がり、江戸の町に鋭く突きささってきたころ、弥平は猿江橋を渡っていた。川風が旅支度の合羽(かっぱ)の裾をはためかせた。胸の中まで吹きこんで来るひややかな秋風だった。」
「風の中に、明るい笑い声を聞いたような気がした。」
これがいい話で、読後感はさわやか。解説の井上ひさしも書いているように、「結末がまた泣けるのです。(中略)読み終えてしばらくは、人を信じてみようという気持ちになります」と。その通りと膝をぽんっ。いい本は心が暖かく、幸せな気持ちになる。と、吹く風に秋を味わう昼下がり。
なじみの第一はやはり藤沢周平。内容で分類すると、実在の人物を扱った「史伝」ものから、市井の江戸庶民を扱ったもの、剣豪ものなどにわかれるが、どれをとってもハズレがないのが、ファンとしては嬉しい。剣豪がお家騒動で脱藩し、長屋暮らしをしながら陰謀をあばく、といった中身盛りだくさんの作品「用心棒シリーズ」は今年すでに3回も読み返した。
ストーリーも人物描写もすっかりわかっているのに、読みなおすたびに面白い。読書の楽しみを満喫させてくれる作品がたくさんある。で、今は短編連作集の「橋ものがたり」を読んでいる。この中の「吹く風は秋」という作品などはまさに今の季節に最適。終末近くの一部はこんな具合。
「日が立ち上がり、江戸の町に鋭く突きささってきたころ、弥平は猿江橋を渡っていた。川風が旅支度の合羽(かっぱ)の裾をはためかせた。胸の中まで吹きこんで来るひややかな秋風だった。」
「風の中に、明るい笑い声を聞いたような気がした。」
これがいい話で、読後感はさわやか。解説の井上ひさしも書いているように、「結末がまた泣けるのです。(中略)読み終えてしばらくは、人を信じてみようという気持ちになります」と。その通りと膝をぽんっ。いい本は心が暖かく、幸せな気持ちになる。と、吹く風に秋を味わう昼下がり。
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