Diary Of 酒田の人

田舎住まいの60代サラリーマンの趣味の日々

回想の古伊万里 57(染付水仙文長小皿)

2020-04-26 20:12:17 | 古伊万里
 前回は江戸後期の伊万里を紹介しましたが、昔は元禄あたりまでの品が「古伊万里」であり
それ以降の時代の品は研究が進むまでは、すべて「幕末の雑器」として扱われていた(特に染付は)
という内容の文章を、以前に読んだことがあります。
勿論、江戸後期の品でも優れた品はあるんですが、やはり盛期の品の完成度や品格を求めるのは難しいのは確かです

前置きが長くなりましたが、今回紹介するのは盛期(延宝あたり)に作られたと思われる、「染付水仙文長小皿」です


この形は延宝~元禄あたりにしか見られない器形だと考えますが、余白と濃みのグラデーションを生かした繊細で
シンプルな絵付けですが、白く上質な土、口錆と相まって高い完成度を感じさせます。


裏面は一般的な落款ですので、特別な品ということはなさそうですが、このピシッとした高台は技術の確かさを感じますね

この品と同じ器形の品は柴コレのI-306及びI-307に掲載されており、いくつか文様のバリエーションがあったようです
さて、この品を購入した理由なんですが、実は側面の文様が気に入ったからなんです





四方に濃い目の染付で山水文が繊細に絵付けされています
こんな部分まで十分に手を掛けている、このあたりが盛期伊万里を支えた職人さんの心意気なんでしょうか
ちなみに、柴コレに収蔵されている2つの品は落款が「渦福」なので、ウチの品とは違っているようです。

こういった品を見ると、「やはり盛期伊万里は魅力的だ」と思ってしまいますが、安くなったとはいえ、そう簡単に買えないのが難点ではあります。


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6 コメント

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Unknown (つばめ)
2020-04-27 00:42:00
たしかに、側面の文様が美しいですね!

「やはり盛期伊万里は魅力的だ」に同感です♪ 私などは、まだご縁がありません(涙)

でも、酒田の人さんの画像で、目の保養&学びになっています!
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酒田の人さんへ (Dr.K)
2020-04-27 08:35:24
私が古伊万里のコレクションを始めた頃は、元禄頃までが古伊万里で、その後のものは、十把一絡げで幕末物と言われていましたね。
その後、市場に元禄の頃までの伊万里がなかなか登場しなくなってしまったので、江戸時代まであれば古伊万里とされるようになりました。

やはり、江戸後期になりますと、大量生産されるようになりましたから、物は悪くなりましたよね。

そうした流れからみますと、この小長皿は、正真正銘の古伊万里ですね。
私も、側面の文様が気に入りました(^-^;
江戸後期になりますと、ほとんど、こんな手の込んだことをしませんものね。
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ギリギリの粋 (遅生)
2020-04-27 16:20:03
かわった皿ですね。
側面の中国風山水図と見込みの和風水仙の組み合わせがシュールです。
長皿ですから横向きに使うと思うのですが、中央にデンと横たわった花の皿は珍しいのではないでしょうか。皿の中央が凹型でアクセントがつき、さらに絞られているので、全体がグッとしまっていますね。これで、横向きの花が生き粋としてきます。
いろんな意味で、大胆に、ギリギリの粋を追求した皿だと思います。
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つばめさんへ (酒田の人)
2020-04-27 23:03:11
この品、側面の山水文がなかったら、たぶん購入しなかったかも知れません
表とは違う濃い色の染付だというのも、やはり盛期ならではかも知れません。
盛期の伊万里、ワタシの場合は予算の関係でとりあえず傷物からスタートしたように思います。
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Dr.kさんへ (酒田の人)
2020-04-27 23:08:17
やはり元禄までが古伊万里だったんですね~
古九谷や柿右衛門などは古伊万里とは違う別格の扱いだったようですし・・・
伊万里が高かった頃は盛期の絵柄の良い品は手の出ないものでしたが、その時代の憧れをなんとか実現できた品でもあります。
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遅生さんへ (酒田の人)
2020-04-27 23:14:11
さすが遅生さん、ワタシらには疑問にすら思わない点をちゃんと考察しておられますね!
確かに見込みの文様はは和風なのに、側面は中国風ですから、ミスマッチな訳ですよね~
このあたりの時代から伊万里は様式化が進んで行きますので、古九谷様式の頃の大胆さはなくなって行くように思いますが
それでも、こういった文様の組み合わせに対しては自由さが残っていたということかも知れませんね。
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