Diary Of 酒田の人

田舎住まいの60代サラリーマンの趣味の日々

回想の古伊万里 171(初期柿右衛門四寸皿)

2021-12-03 23:28:16 | 古伊万里
 シリーズ171回目ですが、我ながら「ウチに古伊万里が171個」(中には違う品もありますが)もあったことに驚いています。
さて、探せばあるもんで、まだ江戸中期以前の古伊万里がありました、小品ですが結構好きな品だったりします
「初期柿右衛門四寸皿」
一般的には「初期柿右衛門」として売られていることの多い小皿で、確かに輪郭線を黒で描いている点や、色使い、赤の発色は
「柿右衛門様式」の特長を供えていることは確かです。
デザイン的にはいわゆる芙蓉手になっており、青、赤、緑の三色で絵付けされています

古九谷様式にも見られますが、重ね焼きされており、見込みの青で塗られた円形の部分は釉剥ぎされた上から絵付けされています。
色絵は比較的厚塗りで、この点でも古九谷様式に近い特長を供えていると言えるでしょうか。
いわゆる「兜形」の成形がされており、生地の感じは濁し手ではないものの、古九谷様式とは明らかに違いを感じます
高台は内側へ傾斜した「内股高台」になっており、この点は古九谷様式と似た特徴を持っているように思います。

さて、かの栗田美術館の創立者である栗田英男氏はこの手の品につて、次のような論評をしています

これは寛文時代輸出の花形で大量に生産されたものである。
この作品を初期柿右衛門と称する人もあるが、柿右衛門と称する意味の全くないものである。
然しこの手のものには大量生産の妙味ともいうべきものがあり、手練れた味は滋味きくすべきものがある。
縁の周辺に書き詰めた模様は、中国の明時代に大量に日本に輸出されていた、芙蓉手と称する染付皿と同一形式のものを赤、青、緑で描いたものである。

個人的にはこの意見は一理あるように思っています。




最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
酒田の人さんへ (Dr.K)
2021-12-04 11:24:28
まだまだ良い物が残っているようですね(^_^)
私もこの手は大好きです。
でも、高かったので、あまり、数は所持していません(~_~;)

私は、栗田美術館に憧れてコレクションをしてきたようなものですから、故栗田館長さんのこのような見解には賛同していました。
私が古伊万里のコレクションを始めた頃は、このような見解は異端で、ほとんど相手にされていませんでしたね。
でも、今では、このような見解が通説になりましたね。
返信する
Dr.kさんへ (酒田の人)
2021-12-04 21:03:56
ウチの古伊万里は間違いなく残り僅かなんですが、紹介するのを忘れていた品もあるようで
今回の品などは結構いい品なのに忘れられていた品です。
こういった伊万里の歴史が見えるような過渡期的な特徴を持った品は魅力がありますよね!
昔は結構なお値段がしましたし、現在では市場に出てこないようです。

栗田美術館、未だに行けていませんが、リタイアしたら行けるかも知れません
この手を柿右衛門様式に混ぜるのは違和感を感じなくもありません。
返信する
酒田の人さんへ (遅生)
2021-12-04 21:39:01
上がりの良い皿ですね。
言われてみれば、確かに色絵の芙蓉手です。それが日本流のアレンジとは知りませんでした。
釉剥ぎ上の太い青円がきいて、全体が締まって見えますね。
返信する
遅生さんへ (酒田の人)
2021-12-05 08:24:52
こういった品が作られた寛文~延宝期は伊万里の技術革新の時代でしたし
VOCから注文が入り始めた時代でもありますので
色々と工夫したんあと思われます。
その結果がこういた芙蓉手の色絵によるアレンジだったんでありましょうか。
ドクターさん同様、この手は大好きなんですが、なかなか入手できません。
(中国出来の七寸~尺皿が出回ってますが・・・)
返信する

コメントを投稿