次の三つの理由で人は生まれ変わるのです。
一つ目は、罪を犯すことによって。
二つ目は、人にまだいくつか満たされていない欲望があることによって。
三つ目は、知識の欠如や無知なことによって。
これらの三つのことが原因となって人は生まれ変わるのです。SSIB74p243
ポニョ:台風21号、凄かったですね。おいらの住んでいるところは、新御堂筋も終日閉鎖じゃなかったし、あまり大きな影響はなかったのですが、被災に遭われた読者の方がいましたら、心からお見舞い申し上げます。
ヨシオ:俺がガン治療で忙しくしている間に、QPマヨネーズ情報を載しているみたいやな。
ポニョ:QPマヨネーズじゃないズラ。あんたは世俗的なことに何も興味が無いから。おいらが書けることってこれぐらいの事しか書けないのでヤンス。でも先日、朝日新聞までQの事を記事にしていたぜよ。陰謀論だとか何とか言って。日本のマスコミはネオコンに支配されているから真実を報道しないんやぜよ。読売が特にひどいな。
ところであんたも、この前まで死にかけやったのに、少しリカバリーして来たそうですね。やっぱり抗がん剤治療をやめたからやろ。副作用がきついもんな。おいらがずっとやめとけって言ってるのに聞かないからや。
ヨシオ:ところであんたもって、台風と俺と何の関係があるんや。でも俺も少し頭を打ったな。家族を満足さす為に治療を受け入れたんや。でもポニョが抗がん剤治療を止めろと強く勧めたから、医者にもう抗がん剤治療を止めると宣言したんや。だって白血球の中のバクテリアと戦うニュートロフィリスが殆どゼロやったので、すぐに感染症にかかってしまうし、その他にもいろいろと副作用が出て来たんや。
医者が、今度のCTスキャナーの結果や血液検査の結果が思わしくなかったら、免疫療法も止めると言い出したので、抗がん剤治療だけやったら最初からガン治療なんてやる気はないので、全ての治療を止めると言ったんや。
それで今まで世話になった、たくさんの看護婦さんたち、約二十五人に日本から持って来た、歌舞伎の役者が印刷してあるスカーフをプレゼントとして配り、みんなにサヨナラの挨拶をしたんや。俺がもう治療はやめてホスピスに行くと言うと、中には俺の身体を強くハグして泣いてくれた看護婦さんも少なからずいたんやで。
ポニョ:温かい心を持った看護婦さんやな。確かにホスピスに入居すると、ガン治療をせず、もう後は死を待つだけやもんな。
ヨシオ:その後、病院の隣にあるホスピスがどんなところか知りたくて夫婦で見学に行ったんや。そのホスピスの部屋数はたった二十しか無いのに空室があって、いつでも入居出来るって言ってたな。
施設の中や部屋の中は結構広くて、いろんな宗教の人たちがお祈りが出来る部屋があったり、キッチンや瞑想室、ヨガや気功を学ぶ部屋、そして工作室もあってタイル張りのモザイクテーブルを作ったりする教室もあったり、コンサルタントの人もいて、人々が死ぬまでにいろんな心の準備が出来るようになっていたな。
ポニョ:ふーん。結構充実してるやんか。日本でも個室代金だけ支払えば結構充実したホスピスはたくさんあるで。
ヨシオ:日本にもホスピスが出来て来てるんや。昔は淀キリしか無かったけどな。俺はここなら人生の最後を迎えるのに悪くは無いな、と思って早速申し込もうとしたら、係の人が「あなたが入居されるんですか?」と驚いた顔をして聞いて来たんや。
俺は「そうやけれど、何か?」と言うと係の人は「あなたのように自由に歩き回り、健康そうな人はここには入居しませんよ。もっと症状が悪くなってから入居される人ばかりです。」と言ったので、俺は「そうなんか。ここは海岸にも近いし、夏になれば毎日泳ぎに行けるからちょうどええなと思っていたけれど、もうちょっとガタガタになってからでないとまずいかな。」と言うと
「ホスピスに海パンでビーチから帰って来る人なんて見たことないですよ。」と言われたので
「じゃあ、ビーチから帰って来た時は、車椅子に座ってヨロヨロ状態のフリをして帰って来たらええねんやろ」と言うと、めちゃ笑っていたな。
「もう少し経ってから来られた方が良いですよ。」と言われたんや。だからしばらくホスピスには入居出来そうにないな。
ポニョ:あんたは夏になると毎日泳ぎに行って、ブギーボードで波乗りをして遊んでいるけれど、ホスピスに入居し、海パンいっちょで身体が濡れたままブギーボードを抱えてホスピスに帰って来たら、誰でもここから出て行ってくれって言われるやろな。
ヨシオ:でも俺はステージⅣの末期がん患者なんやで。胃の腫瘍から出血したりして、いつ死んでもおかしくないんや。ホスピスぐらい入居させろや。
ポニョ:無理無理。痛みは無いし、食欲もあるんやろ。そこら中ウロウロと自由に歩き回っているし。
ヨシオ:やっぱりそうかな。心拍数は依然高いけどね。その後、CTスキャナーと血液検査の結果を聞きに医者に会ったんや。すると「免疫療法で使っているオプジーボが少し効き始めて腫瘍が小さくなり始めているし、白血球のニュートロフィリスも、普通の健康人よりも8.5と、多さんあるのでこのまま治療を続けましょう」と言われたんや。
ポニョ:前は0やったのに8.5ってすごいリカバリーやんか。
ヨシオ:俺はタフなんや。そして「胃の中に、直径が12センチもあって厚さが5センチもあるハンバーガー並みの腫瘍があり、胃の外壁をぶち抜いているけれど、その厚みがチーズ一枚分無くなって、厚みが薄くなっている」と言われたな。
俺は「チーズが入っていないハンバーガーなんて美味しくないな。」と言うと、
「それじゃぁレタスを抜いたハンバーガーかな」と医者も乗って来たので、お互い冗談を言い合いしていたんや。
でも俺が「ここんとこ元気なのは、しばらく抗がん剤治療をしてないからやろ。そんな少しぐらい腫瘍の厚みが薄くなっても抗ガン剤の副作用がきついので、やっぱり抗がん剤治療を止めたいな」と言ったら、「抗がん剤治療の薬を三割ほど少なくするので続けなさい。免疫療法と抗ガン剤治療の併用が一番効果があるから。それに三割ほど少なくすると副作用はほとんど無くなるよ」と言われたので、一緒に同席した家族も医者の言葉に納得したので、仕方なく治療を続けることにしたんや。
ポニョ:でも看護婦さんたちに別れのプレゼントを手渡したんと違うんか?
ヨシオ:そうなんや。だからみんなに「さっき渡したプレゼントを返してくれ」と言ったけれど、笑いながら断られたな。
ポニョ:それって恥やぜよ。ハグして泣いてくれた看護婦さんたちにどう言い訳するんや?
ヨシオ:あるがままに言うだけや。というわけでしばらくの間、免疫療法と抗がん剤治療を続ける事になったんや。でもホスピスに早く入りたいな。良さそうなところやった。
ポニョ:あかんって。もっとガタガタになってからです。
ヨシオ:でも肉体はいつかは脱ぎ捨てなければいけないやろ。俺の肉体の役目もそろそろ終わりが近づいているし、一体肉体って何の役割があったんやろなと思っていたんや。そんなある日、サイババさんが夢に来られたんや。
夢の中で、俺は学校の校舎の中にいたんや。
数ヶ月前の夢の中で、その学校でテストがあり、俺はそのテストに合格したので、その学校から卒業して自由になったんや。
その時試験官だったサイババさんは、俺の答案用紙を見て「上手く書けたな」と褒めて下さったんや。
今回の夢は、その同じ学校の校舎の廊下を歩いていると、サイババさんが学校にやって来られたと誰かが言ったので、俺の元いた教室に走って行くと、サイババさんの御付きの方が四人ぐらい教室の入り口に座っていて、誰も入れないように入り口で見張っていたんや。でも俺の顔を見て、黙って教室の中に通してくれたので入って行ったんや。
サイババさんは、誰もいない教室の窓の横の教壇の前に座り、教室に入って来た俺の方を見ておられたんや。そして俺はサイババさんにニコッと笑って会釈をしながら、サイババさんの前に座ったんや。
するとサイババさんが俺に「何か質問はあるか?」と尋ねられたので、俺は別に何も聞きたいことはなかったけれど、「神の創造物の中で肉体の役割って何なのですか?」と質問をしたんや。
するとサイババさんは、「肉体のこの世での役割の一番大きな理由は次のようなものだ。
肉体は滅び行く五大元素で出来ている。だから人が死んで神界や霊界へ旅立っても肉体はなんの役も立たない。でもその肉体を使って、本来、名や姿を持たない至高神がこの地上界に降臨することが出来る。
そうすれば人々が、肉体を取って姿や名を持った至高神を礼拝することが出来る。
それだけではなく、それらの人々が死んで肉体を抜け出した後、霊界や神界で自分が礼拝した、名や姿かたちを取った神を、自分たちの想像力を使って再び顕わすことが出来て霊界や神界で至高神を礼拝する事が出来るのだ。人間の持っている素晴らしい能力の一つは、自分の霊体に刻んだ神のイメージを再び再現出来ることなんだ。
それがこの地上界での肉体の一番大きな役割なのだ。」と言われたんや。俺は「なんで、こんなしょうもないレベルの低い質問をしてしまったんやろ。もっとレベルの高い質問をした方が良かった」と少し後悔して、別の質問を考えていたら目が覚めてしまったんや。
ポニョ:おいらに取ってはレベルの低い質問じゃないズラ。それにしても納得出来る説明じゃのう。さすがサイババさんじゃ。でもそれだけではないズラ。この地上界では、いろんなレベルの霊たちが一緒に生まれ変わって生を送っているやろ。霊界では霊的親和の法則で、同じ波動を持っている霊同士しか交わる事は出来ないけれど、この地上界ではいろんなレベルの霊たちが交わることが出来るんや。だから霊界では出来ないような、他の霊的レベルの霊たちを助けたりすることが出来るんだってばよ。
ヨシオ:サイババさんは、人が肉体を持つ一番大きな役割について話されたんや。だから、人が肉体を離れてもサイババさんのお姿にしがみつけば、必ずあっちの世界でも恩寵を与えて下さるんや。
ポニョ:と言う事は、「ムッディナハリはやめときなナハリ」をフォローしている人を何人か知っているけれど、サイババさんの微細体が取り憑いていると言われるマドゥスーダンの写真を祭壇に飾っている人もいるぜよ。それって全然駄目じゃんか。死ねばマドゥスーダンが神となって導いてくれる事になるやんか。
ヨシオ:「ムッディナハリはやめときナハリ」の件はホットケーキや。それより昨日、もっと興味深い夢を見たんや。
ポニョ:あんたの死期が近いから、いろいろとサイババさんが手取り足取り面倒を見て下さっているんやな。ラッキーな奴じゃ。ところでそれはどんな夢ですか?
ヨシオ:俺はもう直ぐしたら肉体から離れるけれど、一番の心配事は嫁さんの事なんや。嫁さんと一番最初に出会ってもう五十年にもなるし、もうお互いに空気のような関係なんや。嫁さんは「あなたが死んだら私は生きてはいけない。あなたと一緒に死にたい」と言って、毎日のように泣いているし、俺への執着心がとても強いんや。
もちろん俺はこの世のものに何も執着はしていないから、サッとあっちの世界に逝けるけれど、嫁さんとは長年連れ添って来たから、俺が死んでも導いて行かないといけないな、と思っていたんや。
でも最近、いろいろと話をしているから、ようやく以前のように毎日のように泣かなくなったけれど、それでも嫁さんの気持ちを考えると、サッと向こうに行けないなぁとずっと思っていたんや。
それに嫁さんはまだ胃にチャクラがあるし、五感も十分コントロール出来ているとは言えないんや。
でも嫁さんは、今まで俺にしっかり尽くしてくれたし、ここで一肌脱いで嫁さんの為にもう一回生まれ変わって嫁さんを導き、夫婦そろってモークシャに達してもええかなと思い始めていたんや。
そんな時に、昨日めちゃ興味深い夢を見たんや。
それは、俺が自分の大きな宮殿の廊下を、奥の院にある自分の部屋に一人でゆっくりと歩いていたんや。
ドアを開けて自分の部屋に入ると、そこは400平米ぐらいの大きな寝室で、壁には二十メートルぐらいの長いクローゼットがあり、俺が過去六千年間、何度も人として生まれて来た時に着た、六十着ぐらいのいろんな衣装が掛けてあったんや。
俺は次の生で着る衣装を着ようと、この生で着ていた衣装を脱ぎ、上半身裸で次の生で着る衣装をクローゼットから捜していたけれど、次の生で着る服が見つからなかったんや。
それで仕方無しに上半身裸でベッドに腰掛けていたら、ドアが突然開いて嫁さんが部屋に入って来たんや。嫁さんは部屋に入るや否や、真っ直ぐ自分のクローゼットの方に向かって歩いて行き、その前で歩を止めて服を捜していたんや。
嫁さんのクローゼットは入り口近くにあり、俺のクローゼットと比べると十着ぐらいしか掛かっていない小さなクローゼットやったけれど、嫁さんは迷わずその中から紺色のワンピースをハンガーから取って、そのワンピースに着替えてから、俺に何も言わずに直ぐに部屋から出て行こうとしたんや。
俺はベッドに座りながら、その嫁さんの行動の一部始終を見ていたんや。面白かったのは、還暦を迎えた嫁さんがそのワンピースに着替えた途端、二十歳そこそこの美しい若い女性に変身し、髪型は今と同じショートカットやったけれど、今のように玉ねぎ髪型ではなく、髪の毛が外に少し開いたショートカットの髪型やったんや。
ポニョ:それって秘密のアッコちゃんヘヤースタイルって呼ぶんやぜよ。
ヨシオ:ポニョだけやろ。そんな呼び方をするのは。ワンピースに着替えた後の嫁さんの顔も変わっていて、その姿はもっと小柄で華奢そうやったんや。
嫁さんは着替えるや否や、再びドアを開けて出て行ってしまったので、俺は急いで嫁さんを呼び戻して、次の人生でも必ず一緒になれるように、お互いの顔をよく見て覚え、生まれ変わる前に抱き合って口付けだけでもしておこうと言ったんや。
ポニョ:助平そうなあんたが思い付きそうな行為やぜよ。
ヨシオ:だって嫁さんの姿や顔も違っているし、生まれ変わっても嫁さんを見つけ出すのは大変だと思ったんや。
その俺の呼びかけに応えて、嫁さんがもう一度部屋に戻って来たんや。俺は嫁さんの姿や顔は違っても相変わらずそそっかしくて慌てん坊やし、部屋に入って来てもドアを閉めずに戻って来たりするので、次の生で生まれ変わっても相変わらずオッチョコチョイな女性になるんやろなと呆れながら、嫁さんに「入口の扉ぐらいしめろや」と言って外を見ると、なんとサイババさんがドアの直ぐ前に椅子を置いて座り、少し怖い顔をしながら、誰も俺の部屋から出れないように見張っておられたんや。
そこで目が覚めた。
ポニョ:ギョエー!めちゃ意味深な夢やぜよ。先ず、あんたの方が先に部屋に入ったって事は、嫁さんよりあんたの方が先に死ぬって事やろ。
ヨシオ:当たり前やないか。今でも死にかけているのに。
ポニョ:でもあんたは次の生で着る衣装が無かったって事は、この生でもう終わりって事やろ。輪廻転生はしないって事や。でも嫁さんは紺色のワンピースを着たって事は、まだ生まれ変わらなければいけないんや。でもサイババさんが、嫁さんが再び生まれ変わらないように、ドアの外に座って嫁さんが部屋から出て行かないように見張って下さっているから、嫁さんも生まれ変われないんや。夫婦で一緒にモークシャですか?それってめちゃ面白いよな。
ヨシオ:その夢を見た後、俺はもう嫁さんの心配をしなくても良いな、と安心したんや。これでサイババさんの方だけ見て死ねるって。
ポニョ:たとえあんたが生まれ変わっても、あんたには着る服がないから一生裸やぜよ。あゝ恥づかし。もし生まれ変わっても、いつも年中裸のジャイナ教徒になって生まれ変わるんやろな。
ヨシオ:なんでやねん。
人は皆、自分の源からはぐれて荒野をさまよっています。
そして、その源へと戻る帰り道を見つけるために、肉体をまとって、この喜びと悲しみ、成長と衰え、希望と失望の世界にやって来るのです。
それは決められた滞在時間内で果たさなければなりません。
一日ごとに太陽は、こっそりと、ほんの少しずつその期間を盗んでいきます。
けれども、幻の明かりと荒野のざわめき、そして、それらの強い印象の見せかけの甘さに心引かれて、人は運命の神の呼び声をないがしろにしています。
五感は人をだまし続け、迷路の奥へ奥へと連れていきます。
これは人が笑顔と感謝の身振りをしながら死んでいく代わりに、うめき声と嗚咽を上げながら死んでいく時まで続けられます。
生まれてから死ぬまでの年月は、無駄なものを手に入れること、価値のないことを達成することに費やされています。
なぜなら、満たされない欲望と不健康な感情でハートがいつもチクチク痛み、それが人の本性である平安に影響を及ぼしているからです。
これがずっと人につきまとっている迷妄、マーヤー(幻力)であり、それが人の神髄である神性を影に隠しているのです。22/12/70