ソムタム学級通信 ★さちえのタイ生活★

2010年6月より青年海外協力隊、養護隊員としてタイへ。バンコクより北へ450キロ東北部のコンケンで日々試行錯誤の記録。

まだまだ 応えられないけれど

2010年09月23日 01時40分02秒 | 日記
「きのうはどうだった? 楽しかった?」
と会う人あう人に聞かれる。
「楽しかったです、とても!」


お昼ごはんのときには、副センター長たちが呼ぶのでいってみると
 まず、「この辛いソムタムを食べてみなさい。ちょっとだけよ。」 → 食べる → か…辛い! 
 それを見て、わはは と楽しそうに笑っているセンター長たち。
いつも私に辛いものを食べさせるのが楽しそう。
かわいがってもらってありがたいことです。

「昨日どんなもの見たの。どうだったの。私たちに話して聞かせてちょうだい」
と言われてつたないタイ語で一生懸命話す。

「昨日は初めてエアコンなしのバスに乗りました。
 恐竜を見たのも初めてでした。
 恐竜は大きくて、たくさんいて、すごい迫力で、あんなすごいのは日本にはないと思います。
 友達や家族や、たくさんの人に見せたいと思いました。
 お寺は、美しかったです。
 私はタイのお寺が好きになりました。
 でも、寺にはすでに死んだタイ人の体がたくさんあったのはこわかったです。
 (高僧の遺体を安置してあると言いたかったけど、語彙不足でこういう言い回ししかできなかった。)
 怖かったけど、写真に撮りました。
 プロイが連れて見せてくれたけど、プロイはこわがらず “スーアイ(美しい)”
 と言っていました。
 私は、プロイの背中に隠れて、こわがりながら写真を撮りました。」

と話したら、食堂中が大笑い。
みんなが あっはっはっは と大声で笑います。
なにが、ツボだったのか それは分からないけれど、
笑いながらいろんな人が何度も繰り返していたのが

「ワット ミー コンタイ シーアレオ ユォッ」(=寺に死んだタイ人がたくさんいた)

これは、相当おかしな言い方をしたらしく、朝から話すたびにみな笑わない人はいなかった。
でも、笑うその顔にほのぼのとした愛を感じるから、ちっともいやじゃない。
私も一緒に笑う。
きっと子どもがしゃべることを、大人がかわいがって楽しんで笑うような感覚だと思う。

さちえ、怖がりながらプロイの背中から写真を撮ったんだって、
寺に死んだタイ人がたくさんいたんだって、
と、昼過ぎには、センター中に広まっていた。

食堂では、さちえ専用といって 唐辛子を1本だけ入れたソムタムを作ってくれるし
おいしいおいしいと言っていると、
「おーい、さちえに持たせてあげてー。」と
夕食に食べるように、またカオニャオとから揚げを袋に入れてくれるし
ありがたすぎる。



かわいがってもらってるなあ。 と思う。
その気持ちに応えたいし、喜んでもらいたいという気持ちにもなる。
でも、活動ではちっとも応えられない、うろうろしているばかりのお客さんの日々。

何かやりたくて、食堂の食器洗いをたっぷりしてきた。
「やらなくていい!」と言われるけど、意味が分からない振りして(こういうとき便利)
「え? 食器洗い大好き!」と言って
すごい数の食器を洗ってきた。
ああ、食器洗いって気持ちいい。
自分が、これならできるっていうことをやるのは気持ちいいし、楽。
食器洗いなら自信もってやれる。


食器を洗うのも好きだけど、
本来ここに呼ばれた活動において
なんとか役に立ちたいと思う。
いつそういう日が来るのかな。



午後の時間、机についてそんなことを考えていると
同じ部屋にいる女の子 プロイとギプトのパソコンから 流れてきたのが冬のソナタ。

あ! 冬のソナタ!  思わず叫んだら ギプトが
「ウインターラブソング」。
タイでこの曲を聴くとは。

冬のソナタが大好きで、ある時期は飽きもせず一日中見ていた母、その誕生日がもうすぐ。
今年はプレゼントがないけれど、娘は元気でタイでがんばってるよ。
今、暑い暑い国で 母の大好きな冬のソナタを聴いています。 
わがまま聞いて協力隊に行かせてくれてありがとう。


日本人、タイ人、たくさんの人の愛あり、応援アリで、ここにいるということが 
ふと胸にわく時がある。

その思いにいつになったら応えられるか分からないけれど、日々一生懸命に生きている。







手応え 少しあり

2010年09月23日 00時22分13秒 | 日記
聴覚障害のクラスに行くのが木曜日と金曜日の午前。
今日と明日の午前中、クーサーイはいく。


センターにはいろんな先生がいるけれど、先生達のほとんどが手話を使える。
すごい。
日本だったら、聴覚障害専門の人間以外がそうそう使えるものじゃないと思うのに、
このセンターの先生達、40人近くのほぼ全員。
こういうところでも、頭が下がるばかり。
タイ、すごい。


聴覚障害クラス 活動の一つ。
手話による絵本の読み聞かせ。

  

言葉を声で聞くよりも、もっともっと想像力を働かせてるんだろうな。
このクラスでは、アニメを見せる時間もある。
音が聞こえないこの子達は、アニメも目から入る映像から、ストーリーを想像している。
私も似ているな。
ほぼ、言葉として聞こえないタイ語の中で、想像しながら生活しているところが。

先生が
「さちえ、教えてみて。こうやってこうやって・・・」
と短い言葉で私に説明します。
どうやら、もともとある絵に先生が描きたし、その通りに模写させて、色を塗らせるというもの。
だけど、その目的がなんなのかが大事。
ただのお絵かきで終わらないよう、その活動の目的を考えて、目標達成できるように接しないと、意味がない。
目的は、きっとこうだろうと、私なりに考え・・・・


 よし、やってみよう。



この模写の目的 
 ・先生の指示をよく聞く。 口の動きを見る。 耳と目で指示をつかむ。
 ・思い込みや、自分勝手な活動をしない。 指示通り正確に慎重に。

これということで、勝手に決めてスタート。
私のやり方でやってみよう。


①「今から話を聞きます。そして、絵を描きます。」
 いまからやることの説明。 簡単に。短く。


②「アオマイ?」(=いりますか?)
  いやいや学習してはいけない。
  学習する意思があるかひとりずつ確認してプリントを渡す。

 「アオカァ」(=いります、ほしいです) と答えられれば最高。
  



③ 完成形はこれ  最終的に、子どもたちと一緒にやりながら私が描いたもの。
   

 この完成になるように、
  葉っぱの線は6本。
  草の山は5つ。
  雨のしずくは3つ。
  花の花びらは6つ。
  色は何
 と、一つ一つ、できるごとに次の指示を出す。 絶対に急がない。



④まず、描いているのをじっと見せて それから自分の活動をさせる。
 目で情報をとらえさせること。 早とちり禁止。
 
  

  



⑤力の差があるので、その子にあった難しさになるように微調整。
 この子なんてまだ2才だから。 難しいときは点々を描いてなぞらせてみた。
 少しだけ背中を押せるように、私がやりすぎないように。
  


 「かたつむり」ってタイ語でなんて言うの?? と困ったときには、保護者に教えてもらいます。
 「かたつむり」はタイ語で「ホイターク」でした。
 「ホイタークの色は何色ですか?」と子どもたちに質問。
 「茶色!」と答えが来てから、茶色で塗るように指示。
 となりで、手話でカタツムリを作ってサポートしてくれる先生も。
   



先生が写真を撮ってくれていたのだけど、子どもたちのなんと真剣なことか。
それに、私もなんて楽しそうなことか。
  

珍しい人が先生をやっているという新鮮さも手伝って、集中度が劇的にアップ。




⑥完成!!
 指示通り、いつもよりもずっと丁寧に作品を仕上げました。

 評価も大事! 日本式赤のハナマルと「よくできました!」
 タイでは赤はほとんど使わない。  
 これはけっこう喜んでくれて、キャアキャア騒いでいた子どもたち。 かわいい~
   



記念写真
お気に入りはこれ。 4者4様でおもしろいから。
にっこりしてる子もあり。 目つぶっちゃってる子もあり。 急に「メー!(お母さん!)」と叫ぶ2才児あり。
 



 ゆっくりやったので、おやつタイムに15分も食い込んでしまいました。
 だけど、せかさず、私のやり方でさせてくれた、そしてそっとサポートしてくれた
 このクラスの先生に感謝です。


赴任して、一斉指導はこれが初めて。
私も楽しい、私らしい時間だった。



そのせいか、帰り道、大きなきれいな雲を見た。
  


そういえば、タイに来て、こういう雲を見てなかった。
バンコクでは空を見た記憶もない。

白さが目に焼き付くほど、大きくて堂々として輝いた雲だった。