●トロンハイムを折り返し地点に選んだわけ
ひらめきの旅、どうしてトロンハムを折り返し地点に選んだか。
それは、3つの条件から。
1.トロムソと雰囲気の違う、暖かい所へ脱出したい!
2.まだ行ったことがない中ノルウェーの、トロムソより大きな町
3.10日でゆっくり滞在・往復できる距離にある。
そこで浮上したのが、トロンハイム。
かねがね行ってみたかったのもあり、即決定!
●北緯66.33度に立ってみて
中ノルウェーとの間には、大きな境界線がありました。
「66.33°」。
ここより北が北極圏。
大雑把に言うと、
「真夜中の太陽」が見えるかどうかの境目。
ここには、第二次世界大戦中、
ドイツ軍がロシアから捕虜収容所を移した跡地もあり、
なんとも厳しい気候と環境が覗われます。
私には、かなり衝撃的な場所でした。
「ここから、まだ北」。
当時、どんなイメージを持たれていたでしょう?
●暖かさで、こうも違うのか
寒い地域には針葉樹なんて、単純に思っていましたが、
実際には樺(白樺でなく)が多く、
さらに標高300mからは、木が生えません。
樺はストーブの薪に最適、つまり北極圏には必須の木。
木材に使われるエゾ松へと変化していきます。
また、高い山々が、丘になり、
狭いジャガイモ畑から、
広い麦畑が延々と続くようになります。
ノルウェーになかった小麦が品種改良され、
今や小麦の自給率75%だそうです。
景色の変化に、線路も加わります。
「わあ、線路だ。電車来るかな~」とワクワク。
おいおい、あんたは、昭和初期の子どもかい?
●トロンハイムの街は、明るく暖かく文化的
お目当ては、
ニーダロス大聖堂と
火事で焼けた後復興された音楽歴史博物館。
ニーダロス大聖堂は、国王の戴冠式もされていた教会。
中世の建築様式で、
1140年以来増築・改築を続けたこの聖堂は、
ヨーロッパの風景とも重なります。
この日は、サックスの演奏が屋上から聖堂一体に響き渡りました。
うーん、こういう趣向、心に響くわあ。
音楽歴史博物館は、個人が世界から集めたコレクションが元。
私は、ノルウェーハープの歴史を知りたくて行ったのですが、
「農民のハープ(そうなの?)」と記されただけで、
それ以外の情報は何もありません。
残念しかり。
※ 中は素晴らしいんですよ。行かれた方には、お勧めです!
ランゲレークというハープについては、沢山情報があるのになあ。
●やっぱり、暖かいって、いいわあ~!
しょぼくれた私、植物園の芝の上に横になると、
1時間も眠ってしまった!
暖かいって、なんて気持ちいいんでしょう。
もうそろそろ北ノルウェーというところでは、
車から綺麗な湖を発見!
そこで、降りて・・・
泳ぎました!(一応水着は持っていた)
ああ、やっぱり暖かいって、いいなあ。
●再びトロムソの風景に迎えられて
この旅にも十分満足。
このままトロムソまで帰ろう、ということになりました。
日が暮れていた時間でも、
トロムソに近づくほどに明るくなってきます。
静かに頬を染める山。
いちごミルク色の空。
8月1日 22:27
8月1日 23:14
そう言えば、旅の間、この風景はありませんでした。
「これが、北ノルウェー、北極圏だったんだ」。
次に迎えてくれたのは、
海上から山のすそ野を埋め尽くす濃い霧。
昼間は暖かく、太陽が沈んで急に気温が下がった時に起こる現象です。
8月1日 23:22
こんな神秘的な風景もなかった。
デンマーク、スウェーデンにも通じる中ノルウェーの風景が、
北ノルウェーでコロッと変わるのです。
EDELに来たお客さんの言葉を思い出しました。
「全く違う気候・風土を味わいにトロムソに来たの。
オーロラだけのために来ないわ」。
確かに。
ここは、
ノルウェーの中でも、
北欧の中でも、
ヨーロッパの中でも、
世界の中でも
特別なところ。
もうちょいと、ふんばるか。
と、書いたところで、
相方さんが呼ぶ。
私は毛布をつかみ、電気を消して、ベランダへ。
満天にオーロラが広がっています。
そして、今夜は明るい流れ星も。
いろいろあるでしょうが、
皆さん、10月も元気でまいりましょう。
「ひらめきの旅より」最終話まで
お付き合いくださって、
ありがとうございました。