すぎなの風(ノルウェー編)       ∼北欧の北極圏・トロムソから∼

北欧の中のノルウェー、
北極圏でも、
穏やかで住みやすいトロムソから
お届けいたします。

垂水に1000年を生きる三重県指定文化財 ~ 成就寺・大日如来 ~

2013-09-24 | 垂水たんけん隊

●2013.9.23.より


この日が、垂水たんけん隊最後の活動でした。
夜明け近くの雨は上がり、
晴れやかな朝日に清々しい風が吹く中、
彼岸花に迎えられて、成就寺へ。

本堂に入れていただき、
10年に一度開帳されるという三重県指定文化財の大日如来を
特別に観覧させていただきます。

そこで、まず最初に
雲龍さんから、献笛をしていただきました。

● 織田攻めまでの栄え振り

まず、ずっと成就寺の守りをしていらっしゃる市川さんより
成就寺について、お話を聞かせていただきました。

垂水は水に恵まれないところでしたが、
質の良いお水が出ていたようです。

参宮街道沿いにあり、
水を求めて立ち寄られる方も多かったそうです。

その一人西行法師が歌った歌が
境内に残っています。

垂水の水によって視力を回復した白河法皇によって、
成就寺は建立されました。

七堂伽藍が建てられ、
200人近くの僧侶が修行に励んでいたとのことです。

また、住民に対しても、農業の営み方を指導するなど、
この一帯が海山と自然に恵まれているだけでなく、
住民の暮らしぶを豊かにしていたこともわかります。

それが、織田勢による焼き討ちにあい、
残ったのが成就寺と清水不動院、南晶寺、金剛寺だけ。

その後、今一つ振るわなかったのは、
なぜか?

まだまだ潜んでいることがあるように思います。


●織田勢の焼き討ちをも免れて

次に津市教育委員生涯学習課の米沢さんから 
仏様についてお話していただきました。

「垂水城」の勉強会以来、
米山さんには、資料の確認をしていただいたり、
「西方遺跡」発掘中に見学のチャンスをいただいたりと、
何かと「垂水たんけん隊」に関わっていただきました。

行基によって平安後期に作られた大日如来は、
織田信長による焼き討ちの中心地にありながら、
どのように免れたのでしょう。

文化財に指定された時、
修復されたそうですが、
それ以前の修復の跡もあったとのことでした。

この度は、写真を撮ることも許してもらえましたので、
ご披露いたします。

ふっくらとした面立ちに、凛々しい表情をしていらっしゃいます。

大日如来にもいろいろなお顔、体つきがあるそうですが、
この大日如来と似たものは
妙福寺(鈴鹿市)にあるくらいで、
貴重なものだそうです。

当時、くりぬくのが一般的だったという胴体内部には、
垂水氏が大事にしてきた巻物が収められていたと伝えられています。
(それは、未だ見つかっていません)

つまり、この大日如来は、垂水氏の御膝下で
長く、住民に尊ばれてきたのでしょう。

1000年近く垂水の時の流れを見てこられた仏様は、
他にはいらっしゃるでしょうか?

長くここに住んでいるのに初めて知った、
初めてお目にかかった。

参加者は、感嘆して見入っていらっしゃいました。

後半の雲龍さんの笛の響きの中、
大日如来の表情が和らいでいくように感じたのは
私だけでしょうか? 

●「悠久へのひびき」

実は、垂水たんけん隊は、
雲龍さんとは切っても切れないご縁があるのです。

雲龍さんのお笛を初めて聞いている間、
私の脳裏には、
自分の家の近くにいくつかある史跡のことばかり。

その話をしたところ、
雲龍さんは、そちらにも奉納演奏させていただきましょう、
と言ってくださったのです。

それならば、私も知らなければ!
と自分の住む町の歴史を知るために
垂水たんけん隊を思いつき、
また人も集まってくださったのです。

ですから、最後の日に雲龍さんに来ていてだけたことは、
本当に嬉しくありがたいことでした。

この日雲龍さんは、「悠久へのひびき」と題して、
8種類の笛の響きをお届けくださいました。

そして、最後に、
春日大社、熊野本宮など大きな節目に吹かれたという岩笛、
そして「甦る」という意味を持つ転生の笛で締めくくられました。

雲龍さんには、
歴史を知るだけでなく、
笛のひびきを添えて、
「歴史から感じる」
「いのちのつながり」
ということを教えていただいたように思います。

 
●終わりは、始まり。

この日、もう一つ私たちが大事にしたことがあります。

これまでの活動を記録したものを
ファイルに綴じてお渡ししたのです。

 

垂水たんけん隊は閉じますが、
今後、新たに調べる人が現れた時、少しでもお役にたてるように、
垂水の歴史に光がさし、
ますますよき道が拡がりますように、
という願いからです。

予算・時間の都合、30部作りました。

コピーしやすい形にしてあります。

***** * ***** * *****

この日、参加者の皆さんには、
どのような思いを持たれたでしょうか?

今日のよき日は、お一人おひとりにも
きっとよき始まりにつながっていることでしょう。

私たちは、心弾ませ、解散いたしました。

皆さま、ありがとうございました。

                            

 

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