すぎなの風(ノルウェー編)       ∼北欧の北極圏・トロムソから∼

北欧の中のノルウェー、
北極圏でも、
穏やかで住みやすいトロムソから
お届けいたします。

「限られた中で渾身をこめる」

2009-10-31 | セミナー・イベント

●中村麻美「天地人」原作挿画展より(その2)

「美術館にいく」。

これは、私の好きなことの一つ。

でも、会期中に足を運ぶのは、せいぜい二回。

それが、今回企画をさせていただいたおかげで、
「6日間、しかも長時間会場にいる」という体験ができました。

●私は、籠の中の小鳥

この度は、
連載小説「天地人」460回分の挿画から60点を展示。

連載小説の挿画の仕事は、
毎日のように期限とともに
FAXで原稿が送られるそうです。

毎日ですよ。
しかも460回分ですからねー。

本人曰く、
「私は、籠の中の鳥のようだったわ」。
(写真:
「小鳥と南天」では、籠から小鳥を出してあげている

「毎日する」というのは、私の教室で大切にしていますが・・・。
これは、大変!
でも、尊いこと。

だからこそ、これらの作品が見たい。
そう思ったのが、そもそもの始まりでした。

また、彼女にとって新聞連載小説の挿画は、初めての仕事。

これは「苦行」でもあったようです。

しかし!

挿絵原画のサイズ12cm×16cm。
この限られたスペースでの
斬新な色使い、大胆な仕掛け、勢いのある筆さばきは、
見る者にも心地いい!

小説家の想いと読者の心をつないだことでしょう。

●連続性ある挿画展だからこそ

彼女は、昔から何事にも誠心誠意こめる人。

一方、絵の中には、遊び心も生き生きと保たれていました。

一枚から伝わってくるというより、
連続性ある挿画展だからこそ、
バランスをもって伝わってくるんだ!

これは、発見でした。

●挿画展で見つけた答え

彼女の絵で、私が最初に惹かれた一枚の絵。
「小笠原流弓馬術」。
凛として唇を締め的を見つめ、矢を射らんとする武将の姿。

えー、いつの間に彼女は、こんな絵を描くようになったのー!?
どんな生き方をしてきたの?

その関心が、
今回の挿画展に至る一番のきっかけだったかもしれません。

来るもの拒まず、限られた中で渾身をこめる。

そんな彼女の生き方が、「小笠原流弓馬術」に凝縮されていたんだ。
 
これまた、挿画展をさせてもらって合点がいきました。

●「和の心」灯り始めた・・・?

挿画展の彼女の姿で、心に残ったこと。

和服姿の彼女は、90度のお辞儀をするのです。

そんな姿を目の当たりにすることは、私の近辺ではなかなかありません。

また、彼女は、感謝・礼を尽くすということを疎かにしません。

そういう彼女の仕事ぶりは、
次なる舞台をどんどん展開しているように思います。

今後の作品も楽しみです!

 

彼女の生き方・絵の核心にある「和のこころ」。

挿画展を終えた私の心に微かに灯り始めている・・・かな?

この灯火、大事にしていきたいものです。

 

コメント
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