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厚生省の誕生-医療はファシズムをいかに推進したか-

2009年10月31日 | 読書日記など
『厚生省の誕生-医療はファシズムをいかに推進したか-』
   藤野豊・著/かもがわ出版2003年

帯に書かれてあります。下「」引用。

「「健康、予科を国家管理せよ」
政策化された優生思想」



ファシズムというものは……。下「」引用。

「このようなファシズムにの特異性を軽視する研究潮流が広まり、医療や福祉においてファシズム期と戦後の一貫性を重視する実証研究される研究状況のなかで、一方では、医療政策を軸にファシズムの特異性を分析しようとする高岡裕之の研究も提起されている。わたくしは、ファシズムを単に政治的独裁、経済統制、思想統制という点だけではなく、その「人的資源」の培養・動員を目指す生命・健康の国家管理体制という面にも注目し、高岡の研究に共鳴するとともに、そこから多くのことを学ばせていただいた。」

分析が必要だという。下「」引用。

「一九三一年の柳条湖事件に始まり、一九四五年の敗戦に至るアジア・太平洋地域に対する侵略の時代、すなわち一五年戦争期を総力戦体制の一環としてとらえるか、それともファシズム体制ととらえるかという論点は、換言すればファシズムの特異性をどう理解するかという論点でもある。単に医学者の戦争責任を追及し、医学が戦争協力した事実を批判して終ることなく、永続的な侵略戦争を維持するため、健康な「人的資源」の増殖を求めるファシズムの人口政策に、医学がどのように関わったのかという視点に立った分析ょを進めることが必要であろう。」

断種と法……。下「」引用。

「-略-「断種法」が刑法の障害罪に触れないかどうかという問題について展開され、厚生省や司法省が「断種法」について確固たる見解を持っていない事実を暴露する結果となったのである。
 以上のように、第七三回議会において、「民族優生保護法案」が提出されたが、衆議院の委員会における審議は、厚生省が優生政策を掲げるものの、まだ具体策についてはまったく未知数であることを暴露し、厚生省はこの時点では「断種法」にはきわめて慎重な姿勢を保った。そして、この法案も委員会で審議未了となった。-略-」

国立公園とファシズム。下「」引用。

「近代日本の国立公園史については、一九三一年の「国立公園法」制定以前の国立公園設置運動についての丸山宏の研究があるが、丸山は一九三一年以降の具体的な国立公園行政については言及していない。一方、一九三○年代~四○年代のツーリズムを研究した高岡裕之は、国民の身体的強化や思想統合、集団化といった議題と結び付いて、戦時下にツーリズムが高揚した事実を明らかにし、それを「ファシズム的民衆統合の一環として位置づけられていた」という評価を下したが、まさにそうしたツーリズムの場としても国立公園は活用されていた。」

ラジオ体操、ハイキング……。下「」引用。

「また、高岡はファシズム国歌が余暇の国家管理を目的に展開した厚生運動の研究においても、それが都市と工場を中心とした「体位向上運動」となり、ラジオ体操と並んでハイキングをもっとも重視した事実を指摘しているが、国立公園は、そうしたハイキング運動の場を提供することにもなっている。」

無医村問題も……。下「」引用。

「-略-また多くの兵力の供給源でありながら恐慌下の貧困により病気治療も自由にできない農民の体力も強化するものである。「無医村」対策も、そうした政策の一環に位置付けられていく。-略-」

戦後も続くファシズム……。下「」引用。

「その「健康」「福利」という価値感に反するひとびとは、精神障害であり、知的障害者であり、性感染症の感染源と決めつけられた娼婦であり、そして、ハンセン病患者であった。結論から言うならば、戦前、とりわけファシズム体制のもとで、これらのひとびとは、戦力外、生産力外とされただけではなく、国民の体力低下の元凶とされ、戦後は「文化国家」建設上の障害、「公共の福祉」への脅威とみなされていたのである。」








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