磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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夏の刻印

2008年11月06日 | 読書日記など
『夏の刻印』
   小久保均・著/昭和出版1980年

折れた八月』直木賞候補
『夏の刻印』芥川賞候補
……この本にある作品です……。



■目 次■
夏の刻印  3
生者の仕事  71
あの年の桜  125
父たちの死  177
午後の景色  215
 あとがき  269

◆『夏の刻印』芥川賞候補◆

戦中世代……。下「」引用。

「「あなたって戦争が好きなのよ」という妻の、「野蛮ねえ」という中学二年の娘の感想を私は相手にしなかった。
 そんな私だから、むろん「オリンピック作戦」という言葉に接したのは初めてではない。それは米軍が昭和二十年十一月一日を期して開始する予定であった日本本土上陸作戦の呼称であり、それを迎え討つわが軍の作戦名が「決号作戦」であることも知っていた。」

原爆病院の死の数は励ましだった……。下「」引用。

「かなり以前のことだが、原爆病院が、被爆者に与える心理的影響を慮ってという理由で、例年行っている同病院での死者の集計の発表を中止するということがあった。これに対する被爆者の感想を記事にする必要から、白井に意見を求めたところが、こう返事した。『気をつかっていただいてありがたいことだけど、逆に余計なお世話だと思う人もいるんじゃないか』と。このいささか他人事のような歯切れの悪い表現を、小生は次のように解釈してショックを受けたものだ。知ってもいようが、あのバクダンは人間から生きる意欲みたいなものを巧みに抜き取ってしまう特別の力を隠し持っているらしく、被爆者に物心両方面で極度の困窮状態に陥っている人が多い。もやは生き続けるこに精も根も尽き果てたそれらの人たちにとっては、原爆病院においての死者の続出こそが大いなる励ましになっているのではないか。白井はそう言いたかったのではないか。-略-」

玉砕することが美学なのだろうか?
そして生き残った者たちは、その逆なのか?……。

切腹した作家=三島由紀夫だろう……。下「」引用。

「みんなが切腹した作家や、ガス自殺したノーベル賞作家のことを話題にしていると(われわれはすぐ〈死〉を話題にする)、酔っ払った白井が、だしぬけに『ようやるのう』と口を挟んだのを小生は思い出した。みんながぎょっとして見返ると、白井は『自然死がいいぞ』と言ったんだ。」

病院では自然死ではない……。
現代のほとんどは自然死ではない。
観念的で、実際には見てもいないことだろう……。

しあわせになってはいけない? 下「」引用。

「しあわせになってはいけない、あいつらがしたくともできなかったことをしてはいけない、楽しんではいけない、笑ってはいけない、苦しく生きなければならない、寒々と生きなければならない--そうした多くの禁止と当為とを抱きしめて、きみはきみの生涯を生き、そして死によってその生き方を完成させたのではなかったか。どうだ、白井よ、間違っているだろうか」

一億総火の玉! 一億玉砕!
--ボクの友なら「おれの分まで仕合せになれ!」だろうなあー。
幸せではなく……。
--そりゃ、羨ましくっても、呪うようなことはボクもしたくないと思う……。
そんなひどい心の状態を直してほしいとは思うけど……。

そして、大学教授の平和運動は無駄だという。下「」引用。

「大学回りをやったこともあるという新聞記者の刈田によれば、教授は隠微な嘲笑をこめて「内向的な観念家」と陰口されているという。“内向的”ではない“観念家”というのを知らないが、ひところ教授はすすんで原水禁運動にも参加し、あちこちの集会に出席しては大いに語ったものの、その論ずるところは晦渋をきわめ、やかで人々に飽きられ、相手にされなくなって、ふたたび“象牙の塔”に戻っていったというのである。」

いや、無駄ではないだろう!
キング牧師の望み、オバマで花開いた!
オバマだけの成果では決してない!

We can do it!

--アメリカは日本よりははるかに民主主義の国!
アメリカでも、戦争愛国美談を今もつづける人たちは、また焦土にしようとしているが……。彼らの場合は他国であるが……。

そして、一億総懺悔!?……。 下「」引用。

「茶の間に戻りながら私が思い出しているのは、いつか妻の言った言葉であった。三月十日の東京大空襲を小学校五年生の眼で見た妻は、「あなたはすぐにヒロシマというけれど、東京だってひどい目にあったのよ」と言ったのだった。私は「何をいう、スケールがちがうよ、スケールが」と言い返したように思い出すが、そういうふうに言うべぎではなかった。
 東京も、大阪も、熊本も、仙台も都市も農村も、みんながひどい目にあったのだ。いや、あの時代、われわれには悲惨な死を死んでみせることしか、戦争の悪を証明する術がなかったのだ。市民もそうやって死に、兵士もそうやって死んだ。特攻隊もそうやって突っ込んでいった。」

戦争責任の追及はしない!
--愛国戦争美談に近い思想を受け継ぐ人たちはそうだろうと思う……。
……そこには民主主義的な考えはない!
駒になる人、それを操る人……。
戦争を遂行した人たちの責任は問わない人たち……。
--むごい差別主義者たちが愛国戦争美談を語る!
  平和の内でも差別をくりかえし世の中を荒らす。
……そこには本当の愛国心はない!

戦争システムを考えたうえには、核兵器を軽んじることはできないし、後遺症など非人道的だったことは誰も否めないだろう。

だが、忘れてはいけないことは、東京大空襲などもひどかった。もちろん、非人道的なものであった。これもきちんと残していかなくってはいけないだろう……。

もくじ

忘れさられようと意図的にされているものと、ヒロシマ・ナガサキを同じようにして、戦争システムの強化をはかるような思想には私は反対だ!

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