Ｄ127.おまじない？

IX.だいだい色の部屋（虹の世界） Ｄ127.おまじない？ 「そうさ、窓の近くの机の上の、ほら壁にかけられた大きな額の写真だよ」 「あっ、カール、どうしていたの」 「うん、ちょっとお先に赤色の部屋に行っていたんだよ。ここが、赤色の部屋のとびらだよ」 　パパのとった大きな写真があった。ユリカはその話をきいたことがあった。あまりによくとれているので、写真屋さんにたのんで、写真をひきのばしてもらったのだった。 　ユリカのママの写真のエプロンの赤い●からカールは顔を出していた。 「ねぇ、泣いてたの」 「なんでもないわ」 　ユリカは写真をじっと見た。ユリカは大発見をした。 「あっ、わたしのママ、この赤ちゃんは、この赤ちゃんはわたしだ！　そして、この家は小さいころ、住んでいたわたしの家だ」 　カールは、 「どうしたの」 　とユリカにきいた。 　ユリカは、うれしそうに、 「この家はパパの友達の井上肇さんの家なのよ。今、むかしのわたしを見ていたの。とても幸せそうだったわ。ママも私も、とってもとっても幸せそうだったわよ。ここは、海外赴任していた井上さんが、わたしのパパに留守の間かしてくれたのよ」 　とカールを真剣に見つめて話した。 　カールは、きょっとんとした顔で 「昔のきみ」 　と首をかしげた。 　ユリカは晴れやかな顔で 「そう、赤ちゃんだったわ」 　と笑った。 　カールは、いつもの奇妙な笑いをしていた。 「どうしたのカール！」 「えっ、あっ、そう。あの、ほら、だいだい色って、オレンジ色っていうだろう」 「いうわよ、それがどうしたの」 「オレンジで俺ん家ってね、ヌフフフ……」 　そういうとまた、脱力した笑いをしている。 「それ、駄洒落のつもり……」 「うん、そうじゃないの？」 「そうかもしれないけど、そんなのオヤジ・ギャグっていうのよ」 「そうかい、そうかい……」 　首を左右に振って残念そうである。でも芋虫の首ってどこですか？　なんて質問しないで下さい。わかりません。きっと顔の下とは思うのですが……。 「懐かしいわ」 　ユリカは家の中を見ていた。ママは、私にあんなに優しくしてくれていたんだわ。あんなに私のことが好きだったんだわ。 「でも、ユリカもいつまでも、赤ちゃんじゃないからなあー」 　残念そうにカールはしみじみと言った。いつまでもドナが赤ちゃんのままでいてくれたら、どんなに楽しいことだろうか、どんなに幸せなことだろうかと、カールは思った。 　しかし、いつまでも赤ちゃんなら、本人がかわいそうな気がした。 　そして、カールもドナが赤ちゃんだったころをしみじみと思い出した。まだ、ドナは魔法の魔の字も知らないころだった。楽しかったのうーと思い出している。 　しかし、我にかえったカールは話し始めた。 「はやく、次の世界へ行こうよ」 「わかっているわよ。でも、むかし住んでいた所なのよ。懐かしいわ」 　ゆったりとしているユリカは、幸せそうである。このまま、ずっと、ここにいたいくらいだとユリカは思っていた。 「はやく、はやく、赤色の部屋に行こうよ」 　カールはユリカをせかせた。 　ユリカは部屋の中を見まわして 「ええ、でも、懐かしいわ」 　とうれしそうである。 「ねぇ、はやく行こうよ」 　ユリカはしっかりと部屋の中を見まわしたあと、 「ええ！」 　と言い、首を上下にふった。 「どうなの。はやく、はやく、赤色の部屋に行こうよ」 　ユリカは何度も部屋の中を見まわして、 「ええ、でも、懐かしいわ」 　瞬きもせず、まるで目に焼き付けているようだった。 「ねぇ、はやく行こうよ」 　ユリカは心の中で、この景色をしっかり焼き付けておこうと思った。 　ユリカはしっかりと部屋の中を見まわしたあと 「ええ、行こうよ！」 　と言い、拳を握り首をしっかりと上下にふった。 閑話休題 おまじないは、 自分をコントロールするためには いいことなのではないでしょうか？ マインド・コントロールのすべてが 悪いものではありません。 肥満を心配して、 いつも食べすぎてしまう方も、 適量食べたのちに、自分に 思い込ませるように、 「食べた、食べた。お腹いっぱい」 と言ってみましょう。 もし、自己暗示がかかったら、 もうけものですね。 できなくっても、一円も 損をしませんよ。(^^) ↓１日１回クリックお願いいたします。 ありがとうございます。 ［レインボー・ループ］もくじ