今回はちょっとややこしい話になりますが、最後の仕上げに関係する大事な部分なので、しっかりと考え記録しておきます。
物質は通常温度の変化に伴い寸法が変化するのですが、その熱膨張率は物質によって異なっています。木も膨張しますし、アルミも膨張します。問題なのは木とアルミの膨張率が違うと言う点です。つまり同じ温度差下で、木が膨張する寸法よりもアルミのほうが膨張してしまうのです。これがどう影響するかと言えば、例えば真冬の一番縮んだ状態でアルミを固定してしまうと、夏の一番暑い時にはアルミが膨張し、伸びてしまい、最悪外れてしまったりする可能性があります。また逆に、真夏に固定すると、冬には縮んで隙間が出来てしまったりします。
この膨張は防げないので、作り方を工夫して膨張しても収縮しても影響が無いようにしておく必要があります。
先ず必要なのが温度差です。このテネシー州を中心に使いますので、少しオーバーですが、夏は華氏110度[摂氏43度]で冬は華氏0度[摂氏-18度]でとりあえず計算してみます。(まぁこれだけ暑かったり寒かったりすればキャンパーを使う事はありませんが、保管している間にも温度差に晒されますから、損傷の原因となってしまいます。
次に熱膨張係数ですが、アルミは12.3(10^-6 in/in oF)[22.2 (10^-6 m/m K)]です。
木は木目や種類によって違ってきますが、今回は合板と言う事で熱膨張は殆ど起こらないと考えて大丈夫だと思います。また、木の場合は熱膨張よりも水分による膨張の方が問題となりますが、こちらもエポキシでコーティングする事により殆ど起こらないものだと考えます。
熱膨張によって変化する量△Lは次の式で計算されます。 △L=L x α x △T (L:材料の長さ α:熱膨張係数 △T:温度差)
L=9フィート6インチ(114インチ)
α=12.3*10^-6
△T=110
△L=114*12.3*10^-6*110=0.154 つまり0.154インチ[4mm近く]の変化があるということです。
ただ上の計算には、間違いではありませんが、全ての状況を考慮されていなく大まか過ぎる所があります。
1)キャンパーの全長は9フィート6インチですが、アルミの膨張が影響する部分はドアとギャリーハッチの部分であると思われるので、実際にはもう少し短い。5フィート6インチ程(66インチ)。
2)アルミの取り付け作業を行う日は間違いなく華氏110度の日では無いので、温度差はマックスではない。取り付けを行う日を華氏90度と想定して、温度差を90とする。
3)熱膨張の問題ではありませんが、ドアとギャリーハッチに使うアルミトリムはリップが数ミリしかないタイプの物なのでこの辺りは気をつけないといけません。
△L=66*12.3*10^-6*90=0.073 0.073インチ[1.85mm]の変化となります。
もしも作業日が華氏80度だったら。△L=66*12.3*10^-6*80=0.065 0.065インチ[1.65mm]の変化となります。
膨張の方向ですが、一枚板であれば全方向に膨張するのですが、今回はギャリーの辺りに一番大きく変化があるのでは無いかと思います。夏に作業するわけですので、1.85mmは収縮する長さで、縮んだ時に1.85mmがカバーできていれば良いと言う事になります。
アルミトリムのリップの部分の寸法が確認できていませんが、1.85mm程度なら何とかなるのではないかと思います。しかも温度差はかなり極端な温度ですし、実際はガレージ内で保管されるのでここまで低い温度に晒される事は無いかと思います。必要であれば、若干長めに切っておいても良いと思います。