夜泣き屋_ブログ店

僕がいなくなったときに、ウチのチビたちが楽しめるような、「ウチのチビたちのためだけの千夜物語」を目指します

ep34 ハルナの名前の由来 その3

2006-01-20 07:49:02 | バレ
ハルナが、ママのお腹に入っている時、こんなに素晴らしい宝物は
ないって言えるくらい、毎日毎日撫でました。ハルナの声が聞こえる
わけでもないのに、お腹に耳を当てて、「うんうん、うんうん」と相槌
を打ったりしました。お腹をトントンとつついてしばらく手のひらを当
てていると、トントンとその手のひらがけられて、返事をもらったよ
うな気持ちになっていました。

そして、陣痛が始まって、ママを産院に送っていった。

ハルナはなかなか生まれてはこなかった。

「生まれそうになったら、連絡しますので、お父さんは一度帰られて
ください。」

と言われて、一度家に帰った。 手持ち無沙汰にビールを2缶飲んで
ウチの親父(オマエたちのおじいちゃん)から、

「オマエ(僕ね)が生まれてくる時は、虫が知らせたんやろか、俺は、
わかったぞ、夜中にピーンと目が覚めた。」

なんて言ってたのを思い出しながら、眠った。

明け方の4時半、病院から電話があった。それで、大急ぎで産院に
駆けつけた。ママは、すでに分娩室に入っていた。

「タバコ吸ってきたろ?臭いから出て」

と、怒られたっけ。

そこからもなかなかハルは生まれてこなかった。

「お父さん、ちょっと処置をしますので、外に出ていただけませんか。」

と先生に言われ、分娩室を出た。ナースセンターに置いてあるパソ
コンのディスプレーには、ハルが入ったお腹に当てたれた、陣痛の
大きさと、ハルの脈を示すグラフの波形が表示されていて、それを
見守っていた。・・・ふいに、

ツーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

と、波形が消えて、一直線になった。

「え、死んだ?」

予測しなかったことに、目が点になった。おろおろしていると、分娩
室から

「ぎやぁぁぁああぁあぁぁぁああああッ!」

というママの悲鳴が聞こえた。

そして、その後、先生が血のついて白衣を着て分娩室から出てきた。

「処置は済みましたから、今後は順調に生まれてくることでしょう。」

お腹から生まれてくるときに、赤ちゃんは、クルリと回りながら生ま
れてくるらしい。が、ハルは、反対に回っていたらしい。先生は、
ハルの頭にコッチ回りだよ。と、○を書いて、どちらに回るのか教え
たらしい。

こうして、いよいよハルが生まれてくる瞬間が近づいてきた。

再び分娩室に呼ばれると、看護婦さんが、

「お父さん、もう朝になりましたよ。カーテンを開けてもらえますか?」

とおっしゃったので、カーテンを開けると、黄金色の朝の光が飛び
込んできた。分娩室から見える家々の屋根に朝日が照り返して、
ても幻想的に見えた。

ほどなくしてハルは生まれてきた。

ハルの顔を見た瞬間、腰が抜けた。

「ウマレタァ、ウマレタァ。」

という力のない、いかにも腰の抜けた情けない声が、「あなたの
産声」という、産院がプレゼントしてくれたテープに残っている。


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