夜泣き屋_ブログ店

僕がいなくなったときに、ウチのチビたちが楽しめるような、「ウチのチビたちのためだけの千夜物語」を目指します

幸せな死

2011-01-18 20:06:13 | Weblog
「夜泣き屋」復活シリーズです。



雪が、ザックリと降った次の日。



あるおばあちゃんのお葬式に出かけた。


親せきが一緒に乗るタクシーの都合で、早めに着くと、ウチよりさらに山の中のそのおばあちゃんの家は、深い、真っ白い雪に覆われていた。


99歳になるそのおばあちゃんの孫は、40をとうに超えている。私の従兄弟である。


その孫が、雪に埋もれた庭と屋根の雪をかいていた。


お葬式に来るのは、近所のお年寄りである。


焼香の時に、屋根から雪の塊でも落ちて来ようものなら、また、別の葬式をあげなくてはならなくなる。喪主でもあるその従兄弟は、少ない時間をけずって精一杯、雪を集めていた。


葬式、出棺、火葬、その後の法事。




白い雪に覆われた景色に溶け込んだような、静けさの中で、誰一人として泣きじゃくる人もいない。みんな、口々に、


「おばあちゃん、ありがとうね。」

「おばあちゃん、ありがとうね。」


と、あらん限りの感謝の言葉を棺になげかける。





おばあちゃんは、99歳。


白寿のお祝いの後、「100歳になる」のを楽しみにしながら、急になくなった。体調を壊したあと、入院した先の病院でも、明るい笑顔を忘れず、看護士さんたちにかわいがられて、近所のおばちゃんたちにも慕われながら、なくなっていった。




【・・・誰も困らない。】



・・・そう、そのおばあちゃんが亡くなっても、誰も困らない。



明治に生まれたそのおばあちゃんは、明治・大正・昭和・平成と、まさに激動の時代において、4人の子供を立派に育て上げ、たくさんの孫に慕われて、その上に、近所の人にも頼りにされて、立派に自分の役目を果たした。

「しなければならないこと」をすべて成して、そして、幸せにも天寿を全うしたおばあちゃんの、幸せに満ちたお葬式。





========


「・・・なんで死んだの~!!」


「残された子供はどうするの~!!」


・・・と、棺にすがる者はいない。


みんな、



「ありがとう。」



「おばあちゃん、ありがとうね。」



って、感謝しながら、迎えるお葬式。



正直に言って、「うらやましい」と思いました。

長生きは、するもんだと。。。


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