大聖堂の主祭壇です。三大聖地という割にはこじんまりとしています。
ゴチック建築と違い、窓が小さいために内部は非常に暗いのですが、
その割に主祭壇は際だって明るく見えます。それもその筈、装飾は
金箔が貼られていて少ない光でも存在感があります。
天蓋を支える天使の彫刻の大きいこと。
副祭壇に掲げられたシャンデリア。上部には十字架をあしらったステンドグラス。
天井ドームの窓から差し込む光が厳かな雰囲気を醸し出しています。
キリスト像とマリア像。キリスト像に当てられたライティングが素晴らしいです。
ラテン諸国はカソリックが多いのですが、またマリア信仰の篤い国々でも
あります。スペインもご多分にもれずで、マリア像は大聖堂の至るところに。
これはもしかしたらルルドの奇跡かなぁ。あれは18世紀半ばのことですから、
そうだとするとこの像は新しい作品になりますが。
こちらは白馬に跨る騎士像ですが、創建者のフェリペ二世像かなぁ。同様の
モチーフとして守護神サンチャゴ(大ヤコブ)の白馬に跨り剣を振りかざしている
姿があります。恐らくこの像はサンチャゴのその伝説をイメージさせるように
作られたと想像します。
これはスペインがまだ統一されていない時代、小国が群雄割拠して内紛に
明け暮れ、外敵(アフリカ系アラブ国家)の侵入を許し、まさに内憂外患の
ただ中にあったフェリペ二世。彼が目をつけたのが、8世紀に発見された
サンチャゴの遺体を祀るこの教会。
これをキリスト教の大奇跡と宣伝し、サンチャゴを国家存亡の危機の救世主
と看做し、国民の国防意識を高め求心力の源とし、外敵との戦いに利用しました。
それはスペイン全土に広がり「レコンキスタ(国土回復運動)」という大きなうねり
に繋がり、なんと8世紀から15世紀までの長いモスリムとの戦いとなります。
折からアフリカ系アラブ国家の侵入に怯えていたヨーロッパ諸国も十字軍を
結成しこちらはエルサレム開放運動に繋がって行きます。
そして戦う騎士の間にはいつしか、全滅の危機になると白馬に乗ったサンチャゴ
が助けに来てくれると言う伝説が生まれます。
こうしてここ、サンチャゴ・デ・コンポステーラの大聖堂にはヨーロッパ各地から
巡礼者が集まるようになり、12世紀の最盛期には年間でなんと50万人以上
の参拝者が毎年訪れていたと言う記録があるそうです。
因みにこの巡礼路(エル・カミーノ El Camino)はフランス国境からの所謂
フランス・ルートがスペイン国内だけで約800kmもあります。当時の殆どの
人は徒歩で来たと思われますが、あのピレーネ山脈を越えねばならず、想像
を絶する難行であったと容易に想像されます。
日本でも現代のような旅行ブームが江戸時代末期に現出しています。それは
お伊勢参りにより火をつけられ、最盛期には日本各地の観光地に人が繰り出し、
なんと年間百万人の旅行者がいたというような記述を見たことがあります。
でも、それは江戸幕府の参勤交代により日本の道路インフラが整い、比較的
安全な通行が出来たからで、このスペインの巡礼路のようにイスラム勢力との
戦いに明け暮れていた時代の巡礼とは比べようがありません。
如何にヨーロッパ庶民がキリスト教に帰順していったかが、この事実を見て
分かります。度重なる異敵への恐怖がキリスト教をヨーロッパに深く根付かせた
とも言えるかも知れません。
実はこのスペインのレコンキスタの時代に、何回か大聖堂はアラブに占領されて
います。不思議なことにアラブ勢力はこの教会の破壊は行っていません。
ひとつは彼等は融和策を採っていたこともあるのでしょうけど、ヨーロッパ全部
のキリスト教徒を敵に回すことにもなりかねない象徴の破壊は流石に出来なかった
というのが実相かも知れませんね。
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Phoenix 東北&関東
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窓が大きく取れないので、暗さは否めません。
これでも写真をソフトで補正したり、GF1の
明るいレンズでないとまっ黒けの写真ばかりと
なっていた筈です(苦笑)
海外で一番食事が合う国です。美味しい、
安いというのが最高(笑)
国民性もいいので(親切な人が多いです)、
とても過ごしやすいですよ。
イタリア建築はやはりルネッサンスの元祖の
プライドと独自性があります。あと大理石の
建物と言うのが大きな違いでしょうね。
スペインは花崗岩です。建築形式と彫刻は
フランスの影響が地政学的にもありますので、
イタリアの建築の影響は薄れていると思います。
流石歴史を感じさせてくれます。
それと参拝者の熱気がすごいです。皆さん
この場に来られた喜びを表しているのが
とても感動的でした。
ちょっと暗い感じがしますが、
それだけに威厳を醸し出しております。
とても興味深く歴史を読ませていただきました。これはぜひこの目で見たいものです。
最後の写真のマリア像の上にいらっしゃるのは聖フランチェスコかなと思います。
どことなくイタリアの教会とは装飾が違うような気がします。
厳かで厳粛さを感じますね。
きらびやかな色は少ないけど、暗闇の中の光を感じると言うか、素晴しいです!
何だか見ているだけで厳かな気持になります。
素晴しい大聖堂 見せて頂きありがとうございます<m(__)m>