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偽モノ? ラバーソウル偽モノ事件

2015年03月07日 | BEATLES-BADFINGER関連

偽モノじゃなく、それは偽物のモノ。

ビートルズのレコーディングにおけるモノラル・ミックスの制作はホワイトアルバムまで行われました。
通常ビートルズ立会いのもと、モノにミックスダウンされた後、続けてステレオ・ミックスが行われたようなのですが、その作業にはビートルズはいなかったと言われています。あのサージャント・ペパーのアルバム制作時でさえステレオ・ミックスの作業には彼らは関与しなかったとも言われています。

つまり初期の頃は、モノ・ミックスの制作に重点を置いていました。例えば2トラックの録音をステレオ・ミックスで、一方が楽器で、片方がボーカルとなる場合、非常に聴き苦さを感じステレオ再生のメリットはあまり感じません。つまり、当時通常の2トラックや初期4トラックでの録音体制では、彼らの思い描くステレオでの再生を実現するのは困難だったのに違いありません。サージャント・ペパーのアルバム制作を4トラックと工夫した装置の併用だけで、あの様な複雑な楽曲をステレオ化したのはさぞ膨大な時間がかかった大変な作業だったと思います。ちなみに8トラックの録音装置は、1968年のホワイトアルバムセッション頃まで待たなければなりませんでした。

そのような状況で1965年にラバー・ソウルが制作され、後の2006年のラバー・ソウル偽モノ事件へと繋がっていきます。

英国でのラバー・ソウルのミックスダウン終了後、いつも通りビートルズの立会いなしに、プロデューサーのジョージ・マーチンとエンジニアによってステレオのミックスダウンが行われました。モノ・ミックスと同様にアメリカのキャピトルレコードにそのまま送られました。理由はわからないのですが、その際、ポール作曲のステレオミックスのI’M LOOKING THRUGH YOUの冒頭にあったとされる2回連続の失敗したギターのイントロが削除されずにテープに残っていました。さらにまたしても理由はわからないのですが、そのミックスのままキャピトル編集のステレオ盤ラバー・ソウルとして制作されてしまいました。

キャピトル編集のラバー・ソウルと言いますと、英盤のラバー・ソウルから、DRIVE MY CAR, NOWHERE MAN, WHAT GOES ON とIF I NEED SOMEONE が取り除かれ、英盤HELPから I’VE JUST SEEN A FACEとIT’S ONLY LOVEが新たに加えられました。ラバー・ソウルは今までの路線とは異なる新しいコンセプトのアルバムとして制作されたわけですが、米盤に関しては、HELPからの収録された2曲のために、ビートルズの意図するものとは全く違ったものが出来上がったといえるでしょう。

モノラル盤にはそのような間違いの箇所がもともと含まれていなかったことから、事件は2006年にキャピトルが出したTHE CAPITOL ALBUMS VOL.2いう復刻版のCDボックスセットで起こるのです。

ボックスセットのラバー・ソウルのCDには、アメリカ編集のステレオとモノの両バージョンが入っていました。そのボックスセットの購入者がモノバージョンのI’M LOOKING THRUGH YOUを再生すると、なんと冒頭に失敗したギターのイントロが2回聴こえたのです。

つまりその音源は、オリジナルのモノ・バージョンではなく、ステレオ・バージョンをモノにミックスした、偽物のモノ・バージョンだったのが発覚。キャピトルはすぐに間違いを認め正式なモノ・バージョンが入ったCDと交換しました。同梱されていた米盤BEATLES VIのCDにも同様の手違いがあったそうです。

私は、そのボックスセットを購入し一通り聴いたところ、モノの音源は問題がなかったのにステレオ音源のI’M LOOKING THRUGH YOUのイントロ部が音飛びしているように聴こえました。その時点ではCDの差し替えはすでに完了していおり、また1965年当時の事情も知らなかったため、すぐに欠陥のあるCDという理由でクレームを申し出ました。

そうしたところ、お前が持っているのが正しいバージョンだという回答が帰ってきたのです。 ビートルマニア失格。恥ずかしー

師匠:ビートルズ道とは奥の深いものじゃ。これからも精進し、道を極めるのじゃ。

私:ははーっ。

ところで、I’M LOOKING THRUGH YOUは当時ポールの恋人だったジェーン・アッシャーとの中がうまくいってなかった時期につくられた曲で、彼女に対して見た目は以前と変わらないけど、中身は全く変わってしまった。僕らの仲もこれでお終いだと愚痴めいて嘆く歌です。このメロディーからは想像できませんね。

ラバー・ソウル,出来れば英盤と米盤両方聴いてみて下さい。
ITUNE内にヘルプとラバー・ソウルがあれば、失敗したイントロを除いて、編集して聴く事ができます。曲順や数曲入れ替えることによって、全く違う印象に聴こえます。不思議ですね。


ラバーソウル、キャピトル編集


ラバーソウル、キャピトル編集曲目


ラバーソウル、英国編集曲目


問題のTHE CAPITOL ALBUMS VOL.2


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