雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

ジャージの二人/長嶋 有

2008-10-16 | 小説
 夏も終わりの軽井沢。しかしそこにはオシャレな避暑地のイメージはなく、父と息子、大の大人が古着の小学校ジャージ姿でだらんだらんと日々を費やしている。
 けど、それが、避暑地での本当の有意義な過ごし方だろうと思える。実に、羨ましい。

 その「だらんだらん」感とともに、とってもゆるく話は進んでいくのだが、ときおり心に引っ掛かる父のセリフや息子の父に対する想いが、いい。

 親子というよりは友達感覚の二人のやりとりは、ほのぼのとしてしまう。実際、こんな父親はあれだけど、こういう関係が保てるのなら、いいなぁ。ふつうあり得ないだろうけど。

『ジャージの二人』ではとりあえず、このゆるい設定に慣れてもらって、同時収録の『ジャージの三人』で、もう少し突っ込んだお話になるので、そこからこの作品の本質が読み取れる、ような気がする。
 でも、とくに、そんなに小難しく考えずに、ジャージのおっさんたち同様、ゆる~りと読むのがオススメ。

 人間には、休養が大切なんです。
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