絲山秋子、久しぶりの新刊。
『超然』三部作、「妻の超然」「下戸の超然」「作家の超然」がおさめられた一冊。
……なんかもう、タイトルからして「グッ」ときてしまうことこのうえない。特に「下戸の超然」とか。だいたい、日常生活において「超然」なんて言葉、遣う場面なんてそうそうないでしょう。実際、このタイトルを見るまで「超然」なんて言葉忘れてたもん。そこにきてこのタイトル、それだけで凄まじい作家さんだなぁ、というかやっぱりあなどれない人間だなぁ、絲山……と思った。
もちろん、タイトルだけではなく、その内容もかなり「超然」としていた。(そりゃそーだろ)
「超然」の意味を知るうえでもまったくもって辛辣かつ感慨深く味わえる。
絲山秋子の本を読んだあと、いつも思うことなのだけれど、「ああ、本当にいいものを読んだなぁ」というのが、今作は絶大にまとわりついてきた。
「作家の超然」などは、自分は彼女のサイトでの日記などを読んでいて、その病状や経過などを知っていたのでぐいぐいと入ってきたし、「妻の超然」や「下戸の超然」での辛辣さ(というか「超然さ」)はひしひしと心を押してくる手ごたえを覚えた。
とにもかくにも「超然」な一冊。ここらで「ぴしっ」と身を引き締めたい人は、読んでおくにこしたことはない。
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