雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

バランス

2008-07-27 | 雑記
 午前中、スーパーで158円のバナナをおばちゃん店員のレジの打ち間違えにより198円で買わされた。

 すぐに気付けばよかったのだが、気付いたのは精算後。私が品物をポイポイ袋に入れている最中、妻が「たしかバナナは158円だったはず」と不審気味に言うので、「どれ?」とバナナコーナーへ確かめにいって、「あ、ホントだ」。

 それでは訂正してもらおうか、と思うも、これがなかなかレジが混みあっていて忙しそう。サービスカウンターを見遣るも、そこには誰もおらず、しばしの逡巡の後、「まぁ、いいんじゃね?」と、泣く泣く40円を諦めた。



 そして午後、私たちは時折足を運ぶこぢんまりとした喫茶店へコーヒーを飲みにいった。
 
 その店は本当にこぢんまりとしていて、カウンター席が五つ、六つと、申し訳程度のテーブル席が「ポツン」とひとつ置いてあって、コーヒーはこだわりの有機栽培豆を使用した様々な種類をどれでも一杯250円で提供してくれるのだが、その他のメニューはジュースが二種類、という、シンプルでとても静かなお店なのである。

 いつものように私たちはそれぞれ、好みの豆を選び、注文して、コーヒーが出てくるのを待っていた。その際、もはやメニューを見るまでもないのだが、何気に手持無沙汰感から目の端に留まったメニューを見ていると、いままでのメニューの下に新たなメニューが。

『ブラジルチョコレート 40円』

 おおっ!見てみろ、ブラジルチョコレートだとさ。と妻に目配せすると、妻も「おおっ!」と興味を示したので、試しに一個買って帰ることにした。

 程なくコーヒーを飲み終え、レジに行き、いつももの静かな店主に「あの、ブラジルチョコレートひとつください」というと、何故だか店主は慌てて「あ、は、はい・・・」と店の奥の冷蔵庫から直径3cmほどのわりと大粒なチョコをひとつ持ってきた。その際、私は「これ、中に何が入ってるんですか?」と訊ねると、店主は何故だかうろたえつつ「えーっと、カシューナッツとか、」・・・・・と、そこで言葉を濁らせると、おもむろに店の奥へ行き、もうひとつチョコを持ってきて、「あの、どうぞ、もうひとつ食べてみてください」と差し出した。

 いやいや、あの、もう、一個買ってますから、そんなに説明しづらい中身なのですか?

「あっ、いや、じゃあ、これも買いますよ」と妻は言うが、店主は「いえ、これは試食で・・・あの、いつも来ていただいているんで・・・・」そういったことを、何故かしどろもどろの態でおっしゃる。それがあまりにも必死なので、「それじゃあ、いただきます。ありがとうございます」と、笑顔で受け取った。

 店を出た私たちは「あの人、かなりシャイだよな。接客にはむいてないけど、ものすごく好感を持てるな」「ホント、ホント」などと言いあってた。

 すると妻が「そういえば、バナナの40円、ここで戻ってきたね」と言った。

 あぁ、ホントだ。


 そうかぁ、なんだかいつも、「自分たちは得をしている」と感じることなどあまりないけれど、「損をしている」ということも、そんなにはないんだろうなぁ、と思えた。
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4 コメント

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Unknown (ノロモン)
2008-07-29 02:26:28
そうだよな~ 俺もせめて前戯ぐらいは長くしよ♪
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プラマイゼロですな… (プル)
2008-07-29 22:03:11
そういう秀さん夫婦のような人がもっと居てくれれば、世の中に溢れるクレーマーらも減るんだろうなぁと思いましたよ…(-.-;)
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ノロ♪ ()
2008-07-29 22:46:15
逆の発想は?前戯短くして本番長く・・・ごめん、ムチャ言って。。。
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プルさん♪ ()
2008-07-29 22:57:30
いや、うちらはたまたま忙しそうだったから、泣く泣く身を退いただけで・・・ホントはやっぱ間違いは正したほうがいいんだよね。じゃなきゃおばちゃんずっと198円で売っちまうからなぁ(酷

まぁそのうち誰かが言うだろ、っていうワケの悪い放任主義者なんだわ、、、ワタクチ。。。
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