雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

それはちょっとした爆弾の如く

2010-10-10 | 雑記
 今日、ある用事があって前の会社に出向くことになったのだけれど、思いの外早く着いてしまったので、近くにある図書館で時間を潰すことにした。
「時間を潰す」と言っても、別段そこで本を手にとって読んだりするわけではない。それほどの時間が余っているわけではないし。
 では何を?
 これは、図書館ばかりではなく、書店でもよく自分が行う時間潰しなのだけれども、あ行の作家から、ずらーっならんでいる本の背表紙を、ずらーっと眺めていくのである。
 これがまた、その図書館、その書店によってあるものとないものがあるので、それらを吟味しながら「なんでコレがあってアレがないんだよ」とか「おー、コレが置いてあるとは渋いね」などと心で独りごちて愉しむわけである。

 今日立ち寄った図書館も一度入ったことがあるきりで、それほどそこの特性に精通していないので、よい時間潰しになると思った。
 そうして館内に入り日本の文芸の棚をぱぁーと眺めていく。
 あ行を越え、い、う、え、お、といく。そうして、か行に着いたとき、ふと、大きな単行本サイズにまみれてある、小さな文庫本が目に留まった。
 それは、梶井基次郎の「檸檬」であった。
 現代文芸書の派手な背表紙にまみれてあったソレは、あたかもその作品世界にあった一個の檸檬の如く、違和のカタチをその場に置かれているようで、私に小さな愉快をもたらしてくれた。
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美味しい時間

2010-10-10 | 雑記
 以前は、毎週日曜日には妻と休日を過ごしていたのだが、お互いに仕事が変わったこのごろは、二人とも休日が不定なのでなかなか重なることがない。だいたい月イチくらいである。それに関して妻がどう思い、考えているのかは知らないが、自分としてはそれくらいがちょうどいいと思っている。
 一応、毎朝(というか毎昼)には顔を合わせるので、なにか報告や連絡、相談(いわゆるホウレンソウ)があればその際に伝えればよいことなので、特に生活自体において支障はきたさない。
 
 さて、そんなふうであるので、稀にめぐってきた一緒の休日になると結婚して9年経った夫婦の倦怠感なども薄れていて、新鮮とまではいかないけれど、非常にナチュラルというか、やわらかい感じで過ごすことができる。そしてそれは、まるでデート感覚とでもいった具合の休日にもなる。

 このところの自分は仕事の関係で一日二食の生活を送り続けていて、それがもう二ヵ月半で体重が6~7キロ減ってきているので、休日になるとどうもその失った体重を取り戻そうとするのか、それとも慢性化した疲れを癒したいのか、以前よりも貪欲に食べるようになった。

 以下は、先日久しぶりに妻との休日を過ごしたときに食べたものである。

 朝、というか昼前に起きて身支度を整え、まずは少し車を走らせたところにある有名なパン屋へ向かう。そこは本当に繁盛していて、日曜日などはいつも混雑していてゆっくり選べられたものではない。が、これが平日休みの特権というやつか、平日昼前ということもあって数名の客しかいない。しかもお昼にめがけていろいろな種類の焼きたてパンが次々出てくる。
 さて貪欲な私が選んだのは、「クレッセント(たしかそんな名前の三日月形のパン)」「コーンパン(小)」「ウィンナーデニッシュ」「五種類のチーズパン(チーズ好きにはたまらないって書いてあった)」「ごぼうと鶏ささみのバケット」である。以前の私ならせいぜい二つくらいで事足りていたのだけれど、もうとにかく腹が減ってるのでそれだけ買って店を出た。そのままタリーズへ行きホットコーヒーを買い、さすがにタリーズでそのパンを食うのは憚れるので近くにあった公園へ行き食べた。妻はなんだか三つくらい選んでたけれどもさっき朝食を食ったばかりだとかでコーヒーだけ飲んでいた。


 晴れ空の下 むさぼる各種のパンの美味   (秀)


 食い終わった後、いつも水を汲みに行っている山の途中にあるそば処でいつも気になっていた「そばソフトクリーム」というのを食べたい、と妻に言ってみる。いつものケチンボの妻であったなら却下しているところであろうが、やはりやわらかな休日のおかげだろう、気前好く買ってくれた。
 これがまた、想像していたよりも美味しくて、かなりクセになる味であった。

 そうして山から下りて、町に戻って馴染みの喫茶店へ行きグァテマラコーヒーを注文する。そこの奥さんに「久しぶりにお二人で来られましたね」と微笑まれる。

 コーヒーを飲んだあと、その商店街沿いにある魚や惣菜がめちゃめちゃ美味いスーパーへ晩飯を買いに行った。そこで買ったのが「あじの刺身」「その店自家製いくら漬け(酒粕入り)」「大根なます」「ニラおやき」「れんこん、たけのこ、ぜんまいの煮物」。

 そうして家に帰ってから、まだこれだけじゃ足らんだろう、と貪欲さをむき出しにした私は「タイイエローカレー」というタイのカレーの缶詰をベースにリンゴジュースなどで味を調え、そこにオクラ、ジャガイモ、エリンギ、ニンニクなどを入れたカレースープを作った。
 食卓にはそのスープとスーパーで買ってきた食材、尚且つそば処で買ってきたその村産の大豆を100%使用した半固とうふを並べた。並べてみるとすごい量であったが、どれもこれも本当に美味しくて、貪欲に完食された。
 
 食べ終わったあと、妻が言った。

「やっぱり二人で食べると美味しいね」

 
 今月は三回ほどお互いの休日が合う。そのときもまた、美味しい時間を過ごそう。

 
コメント (2)
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