落語コーディネーター菊池明美の公式ブログ

神奈川県川崎市のNPO法人リール理事長の菊池明美です。落語で人と街と世界をつなげます。落語会開催のお手伝いをいたします。

夕日と落語の噺

2013-09-16 18:11:57 | 落語会

豪徳寺の木々の向こうにお日様が沈んでいきます。台風が過ぎ去った後の夕焼けが、まぶしいほどの美しさです。

夕暮れを告げる寺の鐘の音は茜色の空の向こうにまで静かに伝わっていきます。

枝雀師匠の落語のネタ・・枝雀師匠は日の入りの情景に人生を重ねて見ていたのでしょう

新作「夢たまご」・・・夢たまご売りとの奇妙な掛け合いがほのぼのします。この噺にも日の入りのシーンが出てきます。「お日ィさん 山の向こうにお帰りになるや 西の空まっかや 西の山にお沈みになるお天とうさん好きや 何となく落ちついてくるや。。。ゴーン」と鐘の音。

新作「山のあなた」・・・夕日に向かい「今日も一日ありがとうございます。」「明日もよろしければ又お姿を表してくださいませ」とこの噺の中にも夕日の台詞があります。

また「山のあなたの空遠く 幸い住むと人の言う・・・」その幸せ(せぇわい)は山のあなたから見ると山のあなたの住むところが「山のあなたのソラ 遠ーくです。」そうあなたの街にも幸いが住んでいますよと、この噺の中でおばあさんが私達に優しく語ってくれます。

 

 


奇数(七)と落語の噺

2013-09-16 13:47:39 | 落語会

秋の七草は万葉集の「山上憶良(やまのうへのおくら)」によって定着しました。

「秋の野に 咲きたる花を 指(および)折り かき数ふれば 七草の花」

「萩の花 尾花葛花 なでしこの花 女郎花(おみなえし) また藤袴 朝顔の花」

漢語や仏典には、七を特別な数とする考え方があります。(竹林の七賢人・七宝・七生・・・)

また七草・七夕・初七日・お七夜などけじめの数でもあります。

落語のネタ・・・「七福神」・「七度狐」・「七条の袈裟」・「七草」・「七福」・「七両二分」


源氏物語より野分(のわき)と落語の噺

2013-09-16 10:18:41 | 落語会

台風が関東を通過中です。

強い風と雨が吹きぬけていきます。こういう時は台風が過ぎ去る事を静かに待つしかありません。自然の猛威にただただ祈るしかありません!

平安時代の貴族も台風(野分)に思う気持ちは同じです。野の草を風が吹き抜ける様を源氏物語にもあります。

「源氏物語28帖(野分)」より

風さわぎ 村雲まよふ 夕べにも 忘るる間なく 忘られぬ君…夕霧

訳:野分が吹いて雲さえも彷徨う夕べで、あちこち飛び回って忙しくしていましたが、決して貴女の事を忘れていたわけではありませんから。

吹きみだる 風のけしきに 女郎花(おみなえし) 萎れぬべき 心地こそすれ

訳:吹き荒れる激しい風に女郎花の様な私はすっかりしおれてしまいましたよ。貴方がきてくれなかったから。

下露に なびかましかば 女郎花(おみなえし) あらき風には しをれざらまし

訳:滴り落ちる露にでもしっかり掴まっていなければ女郎花などは、あの激しい風には耐えられませんよ。貴女には誰かつかまる人もなかったのですか。

落語のネタ・・・「九州吹き戻し」

 平安の雅を感じる「貝合わせ」。貝は大型の蛤が用いられ、特に伊勢桑名の海から捕れる耳白が最上とされ「貝合わせ」の際に片手で取れる7センチ前後の物がいいとされています。貝の内側に源氏絵・花鳥・和歌などを極彩色や金箔で書かれ左右同一の文様をあらわします。

落語のネタ・・・「はまぐり買い」・「延陽伯」・「がまの油」・「豆狸」