今日から11月です。季節に追われている感があります。
11月になると毎年もう今年もあとわずか・・・と感傷的な気分になります。
「朝日に照らされた初霜のきらめきが見えてくる季節とか・・・」あと2カ月の激動を乗り越えますよ。
霜月の季語・・・冬(仲)
霜月や暮れても見ゆる塔の影・・・孤山
霜月や壺に活けたる枝蜜柑・・・島村元
霜月や去年知らざりし遊びして・・・大石悦子
柚子の季語・・・秋(晩)
柚子の香や秋もふけ行く夜の膳・・・永井荷風
ことごとく暮れたる柚子をもぎくれぬ・・・市村究一郎
貰うとき柚子に両手の平まるめ・・・檜紀代
柿の実がびっしりと実っています。
でも家主がいない庭の柿の実です。
この柿も台風が来たら広い庭に落ちてしまいます。誰にも愛されずに落ちてしまう柿がとてもいとおしい。
柿の季語・・秋(晩)
里古りて柿の木持たぬ家もなし・・・芭蕉
三千の俳句を閲し柿二つ・・・芭蕉
柿の種うしろに吐いて闇ふかし・・・秋元不死男
吊鐘の中の月日も柿の秋・・・飯田龍太
今年も季節の果物を頂戴いたしました。
みずみずしい葡萄は食べだしたら止まらなくなります。ご用心!ご用心!葡萄糖にご用心!
葡萄の季語・・・秋(仲)
黒葡萄天の甘露をうらやまず・・・一茶
黒きまで紫深き葡萄かな・・・正岡子規
一房の葡萄の重みいただきぬ・・・倉田鉱文
葡萄食ふ一語一語の如くにて・・・中村草田男
生垣の蜜柑の木に沢山の蜜柑が実っています。
熟した蜜柑が枝から道路に落ちて転がっています。拾う人もいません。
蜜柑の季語・・・冬(三)
葉むらより逃げ去るばかり熟蜜柑・・・飯田蛇笏
闇ふかく蜜柑をひとり探りえつ・・・加藤楸邨
かの夫人蜜柑むく指繊かりしが・・・安住敦
蜜柑むくめくるめく思い鎮むまで・・・富口陽子
みかんに爪たててやさしきことを言ふ・・・小川千草
無花果と書いて「いちじく」と読みます。花なくなりて実ります。
幼き頃に近所の生垣にこのいちじくが実っていて生垣越しにとって食べた思い出があります。
あんなに美味しいと思って食べていたのに今は果物やさんに並んでいても食べる勇気がありません。
いちじくの季語・・・秋(晩)
無花果を裂けばほどなく雨の音・・・大木孝子
音ひとつせぬ無花果の木を好む・・・百合山羽光
無花果割る親指根元まで入れて・・・小澤實
葡萄棚に今年も沢山の実がなっています。
多分通行人がお味を試食したかのように種が落ちています。
私も味を見たい衝動にかられましたがよそ様の棚です。葡萄棚を見上げて季節を楽しみました。
葡萄棚の季語・・・秋(仲)
黒きまで紫深き葡萄かな・・・正岡子規
原爆も種無し葡萄も人の知恵・・・石塚友二
老いてゆく恋人よ葡萄棚の下・・・今井杏太郎
葡萄垂れ献身といふ言葉かな・・・永島靖子
水蜜桃の薄皮をむきながら、したたる蜜と香りに至福の時間が流れます。
今日の私は指の間を流れる蜜を気にせず大きな口を開けて「水蜜桃」を丸かじりする。
桃の季語・・・秋(初)
白桃の荷を解くまでもなく匂ふ・・・福永鳴風
白桃に唇濡れしまま笑ふ・・・蒐絲子
白桃をすするや時も豊満に・・・登四郎
脣を吸ふごと白桃の蜜すする・・・占魚
さえざえと水蜜桃の夜明かな・・・楸邨