「りんぷうの会」 公式ブログ

会長:神田佳明(能楽写真家)
能楽撮影教室・能楽舞台撮影会は現在、休止中です

2017年11月4日(土) 山口鷺流狂言保存会 定期公演のご案内

2017年10月17日 | 能楽ニュース

本日は来る11/4(土)に山口県教育会館ホールで行われます
山口鷺流狂言保存会 定期公演のご案内です。

これまでにも当ブログで寺田良子さん撮影の山口鷺流狂言の舞台写真を
何回かアップさせていただいておりますが
冒頭写真は去年 11/3(木・文化の日)に山口市の野田神社能楽堂にて開催された
山口鷺流狂言 伝承130周年記念公演の舞台写真で
狂言『二人大名』より 
大名:土村 廣隆 大名:伊藤 隆 通りの者:米本 次郎

遊山に出かけた二人の大名が、たまたま通りかかった男を
太刀で脅してお供にしてしまうが
怒った男は逆に渡された太刀を振りかざして、大名たちを脅して
鶏の蹴り合う真似をさせる。形勢逆転。
男に脅され必死に男の要求に応じる二人の大名の姿が
何とも滑稽で哀れでもあり笑いを誘う。

『二人大名』のハイライトシーンの写真になります

この後、調子に乗った男は大名二人の着物を脱がせ
流行りの小歌に合わせて「起き上がりこぼし」の真似をさせ
ゴロゴロ転がる二人の隙を見て、まんまと逃げ去るという
いかにも狂言らしいストーリーです。






こちらも同じく去年 11/3の山口鷺流狂言 伝承130周年記念公演から
新作狂言『狸騙(たぬきだまし)』
男:米本 文明  狸:米本 太郎

人間と狸の騙し合いを描いた楽しい新作狂言で
鷺流狂言の現在唯一の「技術保持者」で大黒柱の米本文明師が創作。
2015年(平成27年)に山口県立大学で初演され
今回が二度目の上演とのこと。

モンパと呼ばれる狂言独特の着ぐるみ姿で
くりっとした目で愛嬌たっぷりの「賢徳」の面(=主として牛や馬など動物を表す
ユニークな造形の狂言面)が印象的な可愛らしい狸の舞姿ですね。

◆新作狂言『狸騙』のあらすじ
男が友人の何某(なにがし)を訪ねる道中、寝ている狸に出くわす。
いたずら心から男は「小僧、小僧」と呼びかけて狸を起こし、
狸は自分が人間の小僧に化けていると思い込み、男に連れられて何某の家へ同行する。
男と何某が狸を騙したまま、二人と小僧気取りの狸の間で酒盛りが始まる。

酒宴たけなわ 冷や麦を供された狸は汁に写った己の姿に驚き逃げ出してしまう。
男と何某は、してやったりで大笑い。





ここから狸の反撃開始。
家路を急ぐ男の前に何某の女房が現れ「暑い夜なので湯浴びを」と誘う。
何某の女房の正体は騙されて恥をかいた狸である。

男が風呂だと思って招かれた所、実は泥の田んぼ。
いい気持で湯、いや泥を浴びる男。
泥で洗う顔に墨が塗りたくられ真っ黒になり。。。




闊達自在な米村文明師。
さすがの名演技に会場は固唾を飲んで見守っていたそうです。
演者としても、また、この作品の作者としての存在感も破格だったとのことで
次回上演の機会には是非とも拝見したいと思いました次第


今回ご紹介させていただいたのは寺田さん撮影の舞台写真の
ごく一部ですが、舞台の上も観衆も和してなごむ鷺流らしい温かな公演の雰囲気が
掲載写真からよく伝わって来るかと思います。


今年の3月、60年以上に渡って山口鷺流狂言の保存・伝承に尽力されてきた
功労者で長老の技術保持者、小林榮治先生が永眠されたそうです。
小林先生から引き継いだ鷺流狂言の伝統を次代へと更に継承していくための
新たなスタートとなる今回の定期公演。
会場が山口県になりますが3連休のお休みの中日です。
よろしければ是非〜と思います。


◆山口鷺流狂言保存会 定期公演

日時:2017年11月4日(土) 13時開場 14時開演
会場:山口県教育会館ホール(山口市大手町2-18)
狂言「宮城野」
狂言「不毒(ぶす)」 
狂言「骨皮(ほねかわ)」
狂言「鬼瓦」
狂言「梟」

入場無料・申し込み不要 先着500人

https://www.facebook.com/sagiryukyougen


ワンポイント解説
【山口鷺流狂言について】
現代では狂言の流儀として大蔵流と和泉流の二流儀が広く知られておりますが
江戸時代には、もう一つ、鷺流という狂言の流儀が存在し
大蔵流とともに幕府直属の流儀として隆盛だったそうです。
残念ながら明治維新をきっかけに後ろ盾を失い
急速に衰退しプロの流儀としては存続し得なくなってしまったのですが、
山口県と新潟県の佐渡、佐賀県の高志(たかし)で
奇跡的に伝承され、地域の大切な伝統芸能として今も継承されております。

昨年は長州藩お抱えの鷺流狂言方であった春日庄作が
明治19年(1886年)に野田神社の神事能で狂言を奉納して、
ちょうど130年に当たるという記念の年で、
同じ頃、山口で春日庄作が町衆に狂言を教え始めたことが
現在の山口鷺流狂言存続につながったことから
伝承130周年記念公演が開催されたとのことでした。




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GINZA SIXの蔦屋書店は能楽書籍コーナーが充実しています

2017年10月01日 | 能楽ニュース

10月になりました
皆様お元気にお過ごしでしょうか

本日は読書の秋 到来〜ということで
GINZA SIXの蔦屋書店の能楽書籍コーナーのご紹介です

ご存知の通りGINZA SIXは今年4月、地下3階に観世能楽堂
備えてオープンした複合商業ビルで話題のスポット

6階にはアート関係の書籍、特に日本文化関連の書籍に力を入れて展開している銀座 蔦屋書店があり
能楽書籍コーナーも非常に充実していて、おすすめです

りんぷうの会の会長である神田佳明が長年にわたって撮影してきた書籍も
豪華本を含めて多数、並んでいて壮観でした








 
神田撮影の書籍は、書棚の上段に『井伊家能面百姿』『井伊家能装束百姿』(平凡社)と
『能面打ち・上巻』『能面打ち・下巻』(淡交社)があり、
中段には、表紙を鬘扇が飾る『華の能』(講談社)と、
友枝昭世師の〈松風〉が美しい『面からたどる能楽百一番』(文章は当会副会長の
三浦裕子武蔵野大学文学部教授)が並んでおりました




下段は狂言コーナーになっていて、
青地に黄色の背表紙が印象的な『山本東次郎・狂言面』(玉川大学出版部)と
小林責監修『狂言面』(淡交社)がありました

銀座にお越しの際は、是非よろしければお立ち寄りください


ちなみに、GINZA SIXの蔦屋書店はホームページも
とても美麗で内容的にも充実しておりますので必見です↓

https://store.tsite.jp/ginza/



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