「りんぷうの会」 公式ブログ

会長:神田佳明(能楽写真家)
能楽撮影教室・能楽舞台撮影会は現在、休止中です

古谷久夫さんの白鷺写真作品集その2

2015年10月29日 | 会員写真ギャラリー

大変お待たせ致しました
古谷久夫さんの白鷺写真特集の第二弾をお届けします

第一弾の作品も名作揃いでしたが
第二弾も更に見応えのある作品を厳選してアップ致しました

冒頭写真、こちらは若い白鷺なのでしょうか
まるで産毛のような羽毛が半逆光の中、繊細な印象を残している作品

背景の川面の水しぶきもきれいですね

触ることはできないと分かりつつ、
思わずこの羽毛に触れてみたいと感じてしまいます



こちらはまた1枚目とは対照的なカット
何だか同じ鳥とは思えないほど趣が異なっています

澄んだ水鏡に映るのは白鷺なのか
それとも白鷺以上の何か別のものなのか

白鷺が見つめているのは
もしかしたら水底の別の世界か

様々なイメージが広がるようです



3枚目は躍動感あふれる写実的な作品
「名ハンター登場!」とでもタイトルを付けたくなります

飛び跳ねる魚もいいですが
白鷺の翼もいいですね

第一弾でご紹介させていただいた2羽の白鷺が
戯れているカットと並んで個人的には大好きな作品です

この作品を拝見すると先の水鏡の白鷺も
もしかして単に水中を泳ぐ獲物の魚を狙っていただけなのかもと思えてしまいます
(真相は果たしていかに??)



今回2度に分けて古谷久夫さんの白鷺写真作品を掲載させていただきましたが
最後のカットは「オオトリはこれしかない!」と当初から決めていた作品です

落花の中に静かに佇む白鷺が一羽

哲学者のように沈思黙考しているようにも見えますし
行く春の哀惜のようなものも画面から感じ取ることができるように思います

「諸行無常」
「年年歳歳花相似たり 歳歳年年人同じからず」





こちらはスペシャル・カット
特別に古谷さん撮影の能楽写真をご紹介させていただきます

能『楊貴妃』(シテ方喜多流能楽師 出雲康雅師)の舞台写真です

前回掲載の白鷺写真をご覧いただいた読者の方から
「これだけ見事な白鷺写真を撮影される古谷さんが
どんな能楽写真を撮っておられるのか是非、拝見したい」という熱いご要望を
頂戴しましたので、初公開のとっておき作品をお届けします

能楽写真とネイチャーフォトなので、まったくジャンルは異なりますが、
どちらも、やはり古谷さん独自の絵として成立していて
たぶん初めてご覧になる方も違和感を感じることはないのでは~と思います

一言すれば、上品で奥ゆかしくて繊細な作品世界だと管理人は考えております

第二弾のブログ記事作成のため編集作業を行っていて
古谷さんの白鷺写真を改めて拝見して
本当に心洗われるような感じでした

以上、2回にわたりお送りした古谷久夫さんの白鷺写真作品の巻、
いかがでしたでしょうか

これにて完結です



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古谷久夫さんの白鷺写真作品集その1

2015年10月17日 | 会員写真ギャラリー

10月も半ばを過ぎ、いよいよ秋が深まって参りました
皆様お変わりないでしょうか

大変お待たせいたしましたが古谷久夫さん撮影の白鷺写真を
アップさせていただきました 

冒頭写真、眼光鋭く、一見すると白鷺ではないように見えて
意外性があります

これまでにも古谷さんからは美しい白鳥の写真桜の写真などお送りいただき、
白鷺の写真も以前、1枚だけでしたが当ブログで掲載させていただいており
どの作品もすべてクオリティーが高く素晴らしかったのですが
今回の白鷺写真も本当に素敵な作品ばかりで管理人イチオシです



古谷さんは今年の夏に神奈川県大和市で「白鷺-引地川にて-」と題して写真展を開催され
「ある日、一本の木に沢山の白鷺たちが飛来し、仲間と川で魚をとったり、ダンスをしたり、
喧嘩をしたりしながら過ごし、春になって桜が散るのを見送りながら、どこかへ去っていく」

というストーリーで白鷺の写真を絵本風に展示されたそうです

今回アップさせていただいたのは、その一部となります



この2羽は、ふざけているのか、はたまた喧嘩しているのか
いずれにせよ、何だか見ていて心温まる楽しい作品です

白鷺って、こんなに表情豊かな姿を見せる鳥なのかと感心しました

引地川の白鷺のユーモラスな日常風景が見事に活写されていますね




こちらはまた打って変わって静かな迫力に満ちたカット
白鷺の羽の白から淡いグレー、濃色のグレーに変わるグレデーションが印象的です

胸元の濡れた羽の質感と下側の細かい羽の精緻な描写が
日の光を受けて好対照になっているのも秀逸かと思います

この写真も従来の白鷺のイメージをいい意味で裏切るインパクトのある作品ですね



この写真を拝見して、白鷺という鳥の美しさを再認識しました

白鳥や鶴がきれいなのは、ある意味、当然として
白鷺もこんなにも美しい鳥なのかと思いました

広げられた白い翼と水面に映る影の織りなす自然の造形美に目を奪われる作品です

おそらく古谷さんの白鷺に対する憧憬や尊崇の思いが
写真に強く投影されているので
よくあるネイチャーフォトとは一線を画す、
深い味わいのある作品に仕上がっているのではないかと思われます

しかも作品が叙情的でありながらセンチメンタルではない、
冷静な撮影者の眼差しも同時に感じられるところが古谷さんらしいと
勝手な感想ながら管理人はいつも感心しております


古谷久夫さんの白鷺写真、いかがでしたでしょうか

次回は第二弾をアップ予定です
お楽しみにどうぞ~



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出雲康雅先生の『海人』の舞台写真をもう1枚アップしました

2015年10月05日 | 能楽ニュース

続編記事を早くアップせねば~と思っているうちに
はや10月になってしまいました

皆様いかがお過ごしでしょうか

冒頭写真は先月の能楽舞台撮影会の能『海人』より
撮影は神田佳明会長 シテは喜多流能楽師の出雲康雅師です

能『海人』というのは現代人の感覚からすると、ちょっと不思議なお話で
要は我が子の立身出世のため母親が、はかなくも落命するというのが大筋なんですが
決して可哀想なお話ではなく、シテ(=主役)の母親は
成長して自らの悲願通り大臣の地位を得た我が子と再会し(と言っても母親は既にこの世のものではなく
亡霊になっちゃっています)法華経の功徳で成仏できると喜ぶんですね

撮影会当日、三浦裕子先生(武蔵野大学能楽資料センター長・特任教授)の解説を伺って、なるほどと思いました
この曲は讃岐国の志度の浦にある志度寺の縁起物という宗教的な側面を持ち
後場(=お能の舞台の後半部分)で母親が法華経の功徳を讃えて舞う早舞は
宗教的な法悦の舞でもあるそうです

三浦先生の解説で初めて知ったことですが、
昔の仏教思想では女性はそのままでは成仏できないと考えられていたとか

仏陀=お釈迦様が生きた当時のインドでは、ひどい男尊女卑だったようで
それを反映して、女性は輪廻転生の中で男性か竜に生まれ変わらない限り成仏できないと
されていて、『海人』でも後シテは龍女となって舞台に再登場するわけです

三浦先生の解説を伺うまで、元々、母親は海人=海女さんだったから
海にゆかりがないとも言えない(?)龍に後シテで変化(へんげ)するのかなと誤解していました

なるほど、そういった背景を踏まえた上で冒頭写真を再度、拝見すると
出雲先生の舞の迫力や迫真性の所以が分かるように思います

自らの究極の自己犠牲=落命の結果、我が子は位、人臣を極め
自身は卑しい海人で、しかも通常であれば成仏できない女性の身で
龍に生まれ変わって成仏まで出来る
こんなに喜ばしいことはないですよね

…しかし、女性は先天的にダメな存在で男か龍に生まれ変わって
はじめて成仏するって、ずいぶんな話ではあります


来月11月22日(日)に武蔵野大学の千代田サテライト教室にて
三浦裕子先生が櫻間金記師(金春流)と対談をされます
定員30名と少ない募集枠のようですが
ご案内させていただきます

◆能楽おもしろ対談
― シテ方金春流能楽師・櫻間金記氏をお迎えして ―

開催日:11月22日(日)
時間:15:00~17:00
会場:武蔵野大学 千代田サテライト教室(東京都千代田区四番町11番地)
受講料:3,500円
定員:30名
講師:三浦裕子(武蔵野大学能楽資料センター長・特任教授)
主催:武蔵野大学 社会連携センター
問合せ先:社会連携センター学術事業事務室 TEL:042-468-3222



さて
今後の当ブログの掲載予定ですが、先日の能楽撮影会で古谷久夫さんから
とても素敵な白鷺の写真作品をお預かりしましたので
近日中にアップさせて頂く予定です

また、以前ご紹介させていただいた山口鷺流狂言保存会の11月7日(土)の公演情報
(山口県教育会館、14時開演)も届いております
詳細につきましては後日ご案内致しますので
もう少々お待ち下さい


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